"その幼稚さが嫌なの!もっと大人になりなさい!失敗から学びなさい!受け入れて、認めることからはじめなさい!"
普段は怒らないボスが上司を呼び出した。
ボスは女性で今年42歳、上司は男性で30歳。
近県にエステやリラクゼーション関連で7店舗あり、ボスは抜き打ちで店舗の状態を見て回る。
幹部同士は、抜き打ちに備え、連絡を取り合いボスの来店情報を共有していた。
掃除をして、備品のチェックや売上のファイル、日報の打ち込み...
その日は、横繋がりからの情報がなく、正真正銘の抜き打ち来店だった。
店長を含めて5人で在るこの店舗にだけボスは来た。
それには理由があった。
2年前に昇格した店長は、高圧的な人で在職社員の話を聞かない人。
若く、早く昇進したのは"顔"を使い分けるから。
その話しを聞いた他店の社員からの密告があったらしい。
4人を封じ込めて5人構成の"お山の大将"。
えらく低い山で威張り散らしていると噂が流れたようだった。
上司と接した人は、同じことを言う。
自己中心的だと。自分だけが正しくて他はないと。
手柄は自分で失態は部下に被せる。
本来なら、手柄は店全体で失態は自分の責任となるべきなのに。
私も、何度か擦り付けられて、責められて、泣かされた。
ボスが上司を昇格させたのは、あらゆる噂や実例を知った上でも、人一倍、努力をしてきたことを買った。
しかし、そのチャンスを活かせなかったのが、目の前で怒鳴られている上司。
"あなた、明日から早く店に来て、掃除からはじめなさい!誰の手も借りないで!命令もしないで!皆、私の社員であり、あなたの社員ではないから!とにかく、私が許可するまでやめないで!早勤手当ては特別支給するから!"
怒りが収まらない様子の社長。
何も言い返す隙間を作らせない社長。
次の日から、上司は掃除や整理整頓に努めた。目に余り、手伝うと、ボスから連絡があり、"手伝うことは、ためにならないからやめてと連絡があった。これは社長命令よ。"と。
いつものように、手伝ってほしい空気を出す上司。私は社長命令に従った。
正直...少し気分が良かった。