最初から、彼女に好意を持ちました。
しかし、私は、彼女とはあまりに年が離れ過ぎている独身の男。夢のために努力して、学費を生活費を自分でやりくりしている彼女が健気で、まぶしいくらいに輝いていて...
私は、彼女のために"あしながおじさん"になりました。
彼女からありがとうと言われたり、笑顔で話し掛けてくれたりは、本当にうれしかった。
もっと、もっと感謝されたい...学費や生活費だけではなく、お小遣いまで。彼女からせがまれたのではなく、余裕ある男に思われたかったからです。
次は何を渡そうか、いくら渡そうか、彼女の喜ぶ顔をみたい、その一心でした。
私は、彼女のためにマンションの契約をしました。
駅から近い新築、2LDK。少し広いとは思いますが...
鍵と地図を渡しました。2日後、弾んだ声で、お礼の連絡が入りました。"喜んでくれてよかった"私は余裕をみせました。
月末に引っ越すと。早く住みたいと。
そう、言ってくれました。
彼女が引っ越しをすませて、数日後、私は彼女のマンションに話題のお店のケーキとワインを差し入れしました。
喜ぶ顔のためです。しかし、彼女は激怒したのです。
合鍵を持っていたこと、勝手に部屋に入ったこと、同棲しているわけじゃないと。
彼女は、机に鍵を置いて、出ていきました。
謝っても許してくれません。
彼女は取り乱して大声をあげて叫びました。
私は静かにしてほしかっただけ。
口を塞ぎ、暴れた彼女を静止させました。
力加減をせずに...

あしながおじさんは施しのキモチをなくし、"イイヒト仮面"は剥がれおち、下心や有益を隠しきれなかっただけではなく、健気に頑張って生きている若い女性の命を奪ってしまいました。