「あなた、もしかして、私が女だからってなめてる?
よくも、まあ、やってくれたわね!
解雇されて終了...とか、考えてる?
甘い、あり得ないし。
それ、望んでるのなら、全額返してからよ。
ムリよね、一生かかっても返せる額じゃないもの。宝くじでも当たれば別だけど。
解雇はしないわ。むしろ、さらに、コキ使うから覚悟して!ぐっすり眠るのは、死んでからでいいんじゃない。それだけのことしたんだから。
顔がいいから、広報として雇ったのは事実よ。頭の回転もいいし、仕事も十分やってくれたのも認めるわ。お給料だって、諸々の加算を含めて渡しているはず。
その上で、あなたは私の会社のお金に手を付けたのよ。
"彼は怪しい"と、匿名でメールが届いたのが、ひとつきまえ。私は、笑い飛ばしたわ。やっかまれて可哀想って。でもね、内容があまりにもリアルで、私のスケジュールも照らし合わせると、調べた方がいいと。
もうひとつは、覚えのない社名口座への送金が繰り返しある。金額はそこそこでも頻繁。その口座を調べたら、あなたの関係者にたどり着いた。
あなたが豪遊してた夜、私は大口の契約のために奔走し、獲得した夜だった。
あなたは社長の私より偉人?
調べるとでるわ、でるわ。
月によっては、給料プラスで、私の報酬の倍以上を取得してるわよね。アホらしい。
私が女だからかしら?
あなたに惚れてるとでも思ったのかしら?
否定はしないわ。しかし、肯定もしない。
バレたら、甘い言葉とか、結婚とかも考えたのかしら?
残念ながら、そこまでの好意はないし、あなたは社員で私は社長。
無礼よ、わきまえなさい。
ただ働きはさせない。でも、返済はしっかりしてもらうから。
それまで、あなたに自由も解放もない。
せっせと働くのね。今まで以上に。
その甘いマスクと饒舌を最大限に活かして。」