【書籍情報】
ヒト心身状態の計測技術―人に優しい製品開発のための日常計測
牧川 方昭,吉田 正樹,南部 雅幸,塩澤 成弘,岡田 志麻
出版社 : コロナ社 (2010/10/1)
ISBN-13 : 978-4339072266

【概要・コメント】
人の生体計測技術,特に病院などの診療のための計測ではなくて,日常計測を行うのに必要な知識・技術について述べた教科書である。

結論から言うと,生体計測を始めて学ぶ学生には非常にお薦めできる1冊である。

特に,基礎電子回路,生体計測のための電子回路,生体電極と生体センサなどの部分は,初めて生体計測を行う学生が基礎を学ぶ(復習する)のに適している。
インピーダンスマッチングやグラウンドの取り方など,計測において注意すべき点がまとめてある点も素晴らしい。

ただ,大変残念なのはこの教科書,誤字・脱字が非常に多いことである。特に数式の部分の誤りが多く,初心者が式をトレースせずに途中経過または式展開の結果だけを利用した場合には,悲惨なことが起きるであろう。

 

是非,次回の増刷の際には修正して頂く,または正誤表を挟んで頂きたい。

2010年の書籍ということで,今となってはApple Watchを使えば出来てしまうことが,新しい研究として書かれていることもある。一方で,Apple Watch(と同等のデバイスを)を作れない研究者に,新しい研究は出来ない。
その意味で既存の製品が出来ていることでも,その原理・原則を勉強することには意義があると思う。

市販の生体計測装置を使っている学生も,その利用上の注意の意味を理解するためにも,本書は役に立つであろう。

 

 

【書籍情報】
インタフェースデザインのお約束 ―優れたUXを実現するための101のルール
Will Grant 著、武舎 広幸、武舎 るみ 訳
出版社 : オライリージャパン (2019/11/9)
ISBN-13 : 978-4873118949

【概要・コメント】
原則(ルール)、ガイドラインというタイトルがついてるが、正直なところが原則と呼べる内容ではない。

原則を作るための体験記という表現が適切であると思う。

守るべきデザイン、または採用してはいけないデザインについて、羅列しているが、なぜそのように考えるべきかの統一的な(整理された)基準や考え方が示されていないため、この書籍の内容を記憶しておくことは難しいであろう。

特に、ここ5年のUXデザインにおいては、それなりに有効な助言となる原則もあると思うが、10年後、20年後も有効な助言となる項目はほとんどないと思われる。

やはり、統一された上位の概念(考え方)を示してくれない書籍は、読み終わった後も感動がないというのが正直なところである。

ちなみに、訳者があとがきとして付け加えた規則は、かなり辛辣かつ秀逸である。個人的には、この付け加えられた規則の方が、グッと心に響くものであった。

オライリーという優れた出版社の書籍にしては、珍しく辛口批評とならざるを得ない書籍であった。

とは言いながら,印象に残った文章を以下にいくつか抜粋する。

【重要項目】

  • P.2 UXデザインで頼りになるのは持って生まれた[生まれ持った、が正しい日本語だが]才能ではない。しかるべきコツやルールを覚えれば良い
  • P.92 結局のところ、究極のインターフェスは「ノー・インタフェース」なのだ
  • P.49 とにかく我流のコントロールなんて作るな
  • P.129 UI要素を必須、用意、可能の3種類に分けよ
  • P.176 新しいだけで歓迎するユーザはいない。有用かどうかがユーザにとって大切なのだ
  • P.179 ユーザにとってうれしいのは、あなたのサイトが既知の他の全てのサイトと同じように動作することなのだ



【準重要項目】

  • P.10 テキストレンダリングにかけてはブラウザの方が我々よりよほど優秀だ
  • P.34 アイコン本来の目的?中略?それは「ユーザに、コントロールを瞬時に識別するための簡潔な視覚的表現を提示すること、また、クリック(タップ)するべきターゲットを提供すること」
  • P.40 アイコンはジョークに似ている。説明なしでわからなければダメだ
  • P.55 スライダーは数値化できない値だけに使え
  • P.56 必須入力事項は極力少なくせよ
  • P.118 (ユーザジャーニーは)そのジャーニーが始まったこと、ある時点で終わること、終わったこと、をユーザに告げる必要がある
  • P.122 階層順に現在位置をたどれるパンくずリストを活用せよ
  • P.128 「言葉で説明するのではなく、見せろ。」(ロシアの創作家・小説家 アントン・チェーホフの名言)
  • P.166+167 メッセージを伝える際に色情報だけに頼るべきではない。ただし、ユーザに取って色が貴重な補助的情報源になり得ることは事実だ
  • P.179 UIデザインではベストプラクティスの採用は盗用にはならない
  • P.186 複雑なものの中で、何をユーザに対して非表示にすればUXを改善できるのか、じっくり考えて欲しいからだ

 

 

【書籍情報】
なぜか好かれる人がやっている100の習慣
藤本 理恵子
出版社 : 明日香出版社 (2020/8/17)
ISBN-13 : 978-4756921055

【概要・コメント】
最近、人間関係でやや疲れることが多かったので、たまには自己啓発本を読むのも良いかと思い、この本を手に取ってみた。

この本、タイトルと内容が適合していない。
むしろタイトルよりも本に書かれていることの素晴らしいという珍しい例である。

科学書ではないので、エビデンスの記載は不十分であるが、心理学実験などの例を豊富に掲載して、我々が知っておくべき、人間の特性について多様な視点から解説してくれている。

人に好かれるためには、人を好きにならなければならない。
結局、結論としてはこれになるわけだが、これがロボットエンジニアには難しい。

そもそも、人が(それほど)好きではないから、ロボットなんてものを開発しているわけで。。。
でも、人の仕組みが分かればある程度の諦めもつく。
他の人がなぜ、自分を好きになってくれないか、その理由を知るために本書を手に取るのも悪くないだろう。

やはりオタクに恋は難しいのである。

この書籍で、その他気になった文章を引用する。

  • P.34 いつも外側が内側に影響を与え、内側は外側に現れることを理解し、ポジショニングする
  • P.40 心理学では「全体は部分に現れる」と言われている

     
  • P.42 人は無意識に自分に似た人から安心感や信頼感を得る
  • P.50 集団や組織に受け入れてもらおうと思うなら、服装もページング(同調)が必要
  • P.52 心理学ではペース(合わせること)&リード(導くこと)が必要と言います
  • P.56 自分の報告は相手への質問とセットで
  • P.64 オウム返しをすることで、相手があなたに抱く信頼感はUPします。
  • P.68 正そうとするのではなく、理解することが必要です。 正義感の強い人ほど正そうとしてしまいます。
  • P.70 人は自分に選択権のないことは嫌いなのです
  • P.76 相手の気分が良くなる質問をする
  • P.89 相手の成功を喜ぶことで自分の成功に近づく!
     
  • P.94 完璧というのはとても威圧的で、近寄りがたいのです
  • P.99 過酷な環境でも腐らない!
  • P.103 ガンジーの言葉に「世界にそれを望むなら、自らがその変化となれ」
  • P.105 立場が上がれば上がるほど、あなたが行う行為にありがたみが出てくるものです
  • P.110 たくさんあるはずの選択肢を限定して質問することで、こちらの意図している答えを導くのが、「エリクソニアン・ダブルバインド」です。
  • P.129 アンドリュー・カーネギーの墓石には「己より賢明なる人物を身近に集める術を修めし者ここに眠る」と書かれています。
  • P.133 問題型の質問は否定的な思考と言い訳を生み出し、解決志向の質問は肯定的な思考と解決策を生む
  • P.139 楽しんでいるから仕事は成功する
  • P.141 うまくいかない状況で、恥をかきながら頑張っていると応援してくる人が現れます。
  • P.145 曖昧にできる大らかさが心の健康にも、人間関係にも重要です。
  • P.147 自分を褒めてねぎらう!
  • P.149 人は今の自分から過去の出来事に意味づけをしています。

     
  • P.152 マザーテレサは「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから」と言っています。
  • P.155 人は無意識にネガティブな情報を優先します。だから意識しないと、他人の粗探しをしています。
  • P.161 良い・悪いのジャッジを緩め、どちらでもいいと考えられる人は他人に寛容です。
  • P.167 まず自分を十分に満たすことで人に優しくできます。
  • P.170 正面から少しずらして謝った方がいい。 グレーは刺激が少なく、弱々しく見える色です。
  • P.175 正論を振りかざすだけでは、苦い薬をそのまま飲めと言っているのと同じです。受け取りやすい言葉にするから、相手に届くのです。
  • P.184 目標を立てる時は肯定的な言葉で立てることが重要です。
  • P.187 「しくじり効果」で完璧な人より、欠点がある人の方が、好意を持ってもらえる
  • P.189 失敗を許されない環境では人は行動できない

     
  • P.197 スーツを着ると、自信を持ち、物事を広く総合的に見ることができる
  • P.201 相手を知り、相手の役に立とうという姿勢が大切なのです
  • P.205 人は商品に詳しい人からではなく、自分に詳しい人から買いたいのです
  • P.215 相手に八つ当たり気味に言葉を発しても、忙しくない時に親切に接すれば帳消しになると思っている人がいます。でもやられた方は嫌な記憶・感覚が長く続くのです。
  • P. 218 感情がさやに収まっている

     
  • P.225 出来事は変わらなくても印象は変えられる! (サブモダリティーのチャンジ)
  • P.227 心理学の世界では、過去と他人は変えられないと言われます。
  • P.230 ストレスや不安の軽減、喪失体験からの立ち直りとして書くことは有効な方法です。
  • P.233 人は自分を理解してくれる人に心を開かずにはいられない