【書籍情報】
日本のインフラ危機
岩城 一郎
出版社: 講談社 (2025/12/25)
ISBN-13: 978-4065418697
【概要・コメント】
まず、この手の新書の最後に感動したのは初めてである。
本書を読もうと思ったきっかけは、日本のインフラ危機のレベルを正しく知りたいと思ったからである。
しかし、本書を読み終わって、日本のインフラは危機的状況ではあるものの、それに対する答え(へのヒント)を我々は十分に持っていると感じた。
問題提起で終わる新書が多い中、それに対する具体的な解決策(の種)まで提示している本書は大変すばらしい。
ぜひ、目を通して欲しい。
常日頃より、デジタルトランスフォーメーション(DX)の要素は
【分散―並行―統合】
だと考えているが、本書を読み終わった後に、
インフラ保守のDXにおいても同じ要素が大切であると感じた。
もっと我々は芯を食ったDXを追い求めていく必要があるだろう。
以下に本書を読んで気になった情報をまとめておく。
- P.20 アメリカでは1930年代に集中整備されたインフラの老朽化が50年後1980年代に深刻化し、"交配するアメリカ"と呼ばれる社会現象になった
- P.21 単位面積(km^2)あたりの橋の数は日本が1.93, 米国0.06, ドイツ0.34, フランス0.36, イギリス0.62, 中国0.08と諸外国と比べても日本が圧倒的に多い
- P.24 建設後50年以上経過する道路橋の割合は2023年約37%、2030年54%、2040年75%となる。
- P.48 インフラの老朽化問題は、高速道路会社、国、都道府県で管理されているものに比べて、市区町村、特に地方の小規模自治体で管理されているもののほうが深刻な状態にある。
- P.53 2023年度の建設投資は71.4兆円、このうちインフラに関わる政府投資額は約24兆円、メンテナンスはその1/3の約8兆円程度である。
- P.60 土木学会インフラ健康診断書2024によると、道路・鉄道部門においては2020年に比べて2024年では、橋梁、トンネル、路面などの健康状態は回復する傾向にある。一方で港湾や河川部門の結構状態は悪化傾向にある。
- P.65 国管理では点検後5年以内にすべての橋で修繕に着手されている。一方で都道府県・政令指定都市・市区町村管理の橋では5年が経過しても23%の橋で未着手である。
- P.65 橋梁の管理において、早期措置段階、緊急措置段階の橋梁の措置が完了し、予防保全への移行が可能となった地方公共団体の割合は2022年度末で11%しかない。
- P.110 昔のコンクリートは基本人力により、水の量を極力抑えて(火山灰なども混ぜて)丁寧に人の手で締め固められ、密実な構造であったため長持ちすると考えられている。一方で高度経済成長期になると迅速に現場内で運搬できるように水を多く使った柔らかいコンクリートが使われるようになったため、耐久性が低下したと言われている。
- P.119 凍結防止剤散布下においてコンクリート床版は、凍害、塩害、アルカリシリカ反応、さらには披露という劣化が重なる。これに対する複合防御網として水セメント比(水結合材比)の提言、フライアッシュ(製鉄工程の副産物)の利活用、膨張剤の利用、防錆鋼材の使用、十分な空気量の確保が有効である。
- P.165 NEXCO3社で管理している高速道路構造物のうち最も劣化が深刻化している部材は床版である。2023年1月に公表された更新計画では500kmの更新が必要と見積もられていて、対策として1兆円が必要と見積もられている。そのうち4,500億円が床版の取り換え工事である。
