【書籍情報】
あの頃の誰か
東野圭吾
出版社: 光文社 (2011/1/12)
ISBN-13: 978-4334748975

【概要・コメント】
東野圭吾先生の短編小説,連投2冊目である。

前回図書館で借りた本を返却しに行ったら,この本が棚に置いてあったのでまたまた読んでみた。

この本には,東野先生が「言い訳」と称する「あとがき」がある。

そして,そのあとがきの中で,なぜこれらの短編小説が長い間出版されなかったのかの経緯・理由が書いてある。
このあとがきを読まないと,この短編小説はすごく消化不良になるだろう。
別の言い方をすると,このあとがきも含めて,この文庫本は完成したような気がする。

つまり,この短編集の中にある小説はどれもいろいろな意味で問題作である。

内容が面白くないというわけではないが,素直に「面白い!」とは言い切れない,何か奥歯にものが挟まったような感覚がある。
このような本を出版するのは,読者の期待を裏切る行為なのかもしれないと思いつつ,東野先生の傑作がただ必然的に生まれるのではなく,これらの問題作が基礎となり,もしくは生贄となり,生まれているのだということがよく分かる気がする。

その意味で,「容疑者Xの献身」などの名作を読んでいない人は,絶対にこの本から読み始めてはいけない。
おそらく東野先生の能力を大幅に過小評価してしまうであろう。
逆に,東野先生の作品に少し飽きを感じてきた人には,とてもお薦めできる短編集である。
いろいろな作品が,いろいろな経緯で作られるというのは,モノづくりの過程を楽しむ1つの方法であろう。

でも,やっぱり長編小説の方が面白いか・・・。