【書籍情報】
154-失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する
中尾政之
出版社: 森北出版株式会社 (2005/11/2)
ISBN-13: 978-4627664715

【概要・コメント】
機械工学を中心に,技術的視点で分析すべき失敗の事例を集めて,それを分類し紹介している書籍である。

何よりこれだけの失敗事例を集めたの素晴らしい。
そして,本書を読むと,今後も技術的な失敗は無くならないだろうな,と思う。

正直,これを執筆している著者にとっては当たり前な工学的知識かもしれないが,実際の設計現場にいる技術者たちが,これらの知識をどれだけ保有して実際の設計にあたっているかは疑わしい。

そして計算機科学という新たな技術分野が著しい速度で発展する中で,これらの古き工学をベースとする知識を技術者が学ぶ機会がどれほどあるのかという疑問もある。

科学技術が万能でないことは,昨今の戦争や自然災害への対応がお粗末なことを見ても分かるが,それにしても,本書を読み,今後も類似の事故が起こってしまうという予測がおそらく当たるだろうことは,技術者として悲しいことであるし,やるせない気持ちになる。

そのような半分諦めがありつつも,ひたむきに過去の事実と向き合い,知識を吸収するしか我々には方法がないのであろう。
※少なくとも人工知能が失敗を予測してくれる世の中は,しばらくは来てくれそうもない。


ところで,失敗百選をただ見たいのであれば,以下のWebサイトに情報が掲載されている。
http://www.shippai.org/fkd/lis/hyaku_lis.html

ただ,それをある程度カテゴライズし,「読者にとってどのようなカテゴリが予想外なのか?」を問いただしてくれるのが本書の重要な役割であろう。

本書は(機械工学を中心とする)技術者としての基本知識を見直す良いきっかけを与えてくれるに違いない。

ちなみに,本書は技術的視点を中心として分析をしているため,人間中心的な視点での分析は,巻末に少しだけ書かれているに過ぎない。

全ての失敗が人間の周りで起こっていることを考えると,もう少し人間中心の議論が展開されても良いのではないかと感じた。