【書籍情報】
リバース
湊かなえ
出版社: 講談社 (2017/3/15)
ISBN-13: 978-4062935869
【概要・コメント】
久しぶりに"すごい小説"を読んだ。
昨今,様々な物語において伏線を徹底的に回収することが求められるが,伏線をキレイに張ることと,それをキレイに回収することには大きな違いがあると思う。
前者は,事実を細切れにしてちりばめれば良いので,技術が未熟な小説家でもある程度はできよう,一方の後者は,登場人物の視点で,アクセス可能な論理的限界を見極めつつ行わないと読者の違和感を生んでします。
違和感を持って回収された伏線は爽快感よりもむしろ不信感につながってしまう恐れすらあると思う。
その意味で,この書籍は見事に伏線を回収した本だと思う。
<以下,ネタバレに繋がる記述があります。>
この手の本では一般的に「犯人が誰か?」または「トリック・動機は何か?」で読者を驚かせることが多いが,この本はこれらの項目はある意味,最初からこの2つに関しては,勘の良い読者であれば分かるような書き方をしている。
その意味では,終章の途中までは,「あーあ,結局予想が当たったか,,,大した本ではなかったなぁ。」と(おそらく敢えて)勘違いさせるような作りになっているところが憎らしい。
本当に著者が回収したかった伏線は,この本の最後の最後の1行であるからである。
こんなに爽快感を持って読み終えられた本は何年振りだろうか?
前の記事でも書いたが,自分としては東野圭吾先生の「容疑者Xの献身」が人生の中で一番インパクトを持った小説であったが,ある意味それに勝るとも劣らない小説であるように思う。
特に,文庫版で300ページちょっとで,この満足感を出しているのはすごいと思う。
長い文章を読むのは苦手だけど,軽ーく読んで大きな驚きを得たいという方には,強くお勧めできる一冊である。