真緒の気になっている男子は目立つゆえに情報も知らないうちに入ってくる。
他校に同じ部活の彼女がいるらしい。
この時点で自分とは何の接点も持つことはないと思う。
それ以上に根っからの田舎育ちの真緒にはない洗練さが、まぶしすぎた。

 たまに、彼氏に用があって違う階の教室の前を通る。高い確率で隣りのクラスの彼に会う。
 どうしても見てしまうので、気持ちはばれているだろう。目が合う。
 好きな子と、つきあっている子が違うのは、いけないことなんだろうか。
 到底、人には言えない。
そんなに上手くいくわけない。
蘭は、それが同じだけど、ときどき泣きそうな顔をしているのは自分なら耐えられそうもないと思う。

 彼氏のクラスに行くと、すぐ誰かが呼んでくれて嬉しそうな顔で飛んで来る。
罪悪感に拍車をかけてくれる様に、そこにいるクラスのムードメーカー的女子が優しい表情で話しかけてくる。
お似合いよ と。
よく言われます と、心のなかで返す。
 何故、つきあっているのかと理由付けするなら、同じ部活で、彼氏の道着姿がかっこいいから、いつも優しく癒やされるから、明るくて私に無いものをたくさんもっているから、帰り道反対なのに家まで送ってくれるから、彼氏が自分を彼女にしていたいから。
 こんなことは誰にも言ってはいけないことと思う。 

 自分のクラスに戻るとき、真緒はもう下を向いて歩いた。