少し離れたところで、真緒が待っていると派手彼氏はこちらを見てきた。
ほどなくして、蘭は来た。
会える時間は、やっぱり幸せなのだろう。機嫌が良すぎる。
電話とかいつもしているの と、聞こうとしてやめた。
もう、蘭が幸せならそれでいいと思うべきで自分は関係ないと思うようにしなければと思う。
部活に行くと、まず掃除からする。
道場は素足になるところなので安全と清潔の両方が大事になる。
男子も女子も道着に着替えて、一年生は雑巾掛けでも足腰を鍛える。
板の目に沿って端から端まで一気に走り掛ける。最初は出来なかったけど、真緒も蘭も、かなり体力がついてきたみたいで、余裕がある。
先輩は女子で4人しかいないし、一年生の子1人と真緒との6人の練習が始まる。
道場に出入りする時、一度立ち止まって目前の壁にある日の丸にお辞儀するのが、しきたりで、もうかなり板についてきた。
もちろん彼氏もいるし、休憩中にこちらを見てくる。先輩らにからかわれたりしても真緒はさほど照れたりしない。
先輩たちは勝手に二人をいちゃついてるように思っているけど、まだキスもしてないのだから。
自分が同学年の子よりいろいろな感情が幼いことを真緒は分かっていた。
それで、早熟めの蘭にお子様扱いされていた。でも、早熟をうらやましいとは思わなかった。
中学のときに男子に告白されたことは2回ある。もちろん中学生で付き合うなんて考えられなかったので断った。
幼い頃から真緒は自分が結婚の出来ない子だろうと思っていた。
理由は、 真緒の顔には目立つ傷痕があるから。
女の子の顔にこんなものがあること自体、自分を不幸な子だと思ってしまう。
鼻の上部と右目の間の小さな部分に、6歳の時、自転車の練習中に転んで落ちた時に傷を負った。
小学生の時はクラスの皆にその理由を聞かれては答えていた。それでも悲しい気持ちを抑えなければいけなかった。
まだ小学生だった兄が見てくれていた時に起きた事故だったから、兄はどうしても自責の念にかられていたけど、あの時防ぐことなど出来なかったのは幼くてもわかる。
隠しようのない目立つ傷痕は、さらに消極的にさせたけど、真緒の目はぱっちり二重の人も羨む美しい形をしていた。
蘭もいつも真緒のような目になりたいと言っていた。
中学校に入学して、初めて同じクラスになったとき、他の地区から転校してきた蘭は真緒をアイドルになれるくらい可愛いと褒めた。