蘭は学校からの帰り道にいろいろな話しをしてくる中に、真緒のことをほぼ無視している女子らのことを平気で出す。
 真緒は蘭の中に残酷さを感じながらも平静を装って聞いている。
 でも、蘭はやっぱり天然なので真緒の毎日の環境とかをクラスが違うから理解してないと思いたかった。
 それに、真緒の気持ちをはっきりさせると二人の間の見えない溝が深くなると思っていた。
  彼氏と別れた後の蘭は、悩みがすっきりした様な顔立ちになっていた。
 真緒はあんな葛藤があったことなど、忘れたかの様な蘭に疑問を持つようになる。 
  
  真緒をいまだに悪く言う子らは真実とか、真緒の本当の気持ちなど、どうでもよくて誰かをやり玉にあげることで自分を守るとか、仲間どうしの結束を固めているつもりなのだろう。もう、それくらい真緒も分かっていた。
 そんな女子たちに構っていられるほど、真緒の家庭内での環境はのんきではないから、自分の出来る限りを尽くしてきたけど、蘭に気持ちを分かってもらえないことは心が沈んだ。

  一学期も二学期も真緒の成績は自慢出来る様なものでなかった。
 真緒のクラスは他よりちょっと優秀な子が多いから、それにつられて自分も学年では上位を目指していこうとしていた。
 それでも他に気になることが多過ぎて、集中できない。

 いつまでも続くかと思われる家庭内での肩身の狭さと、学校での人間関係の難しさは真緒の精神をいつの間にか限界まで追い込んでいた。
 そして一番つらかったのは蘭の何気ないと思う言動に違いなかった。
 蘭は真緒の彼氏と仲良いところをうらやましいと言う。 蘭は、真緒は彼氏と相思相愛で、体も健康そのもので毎日学校に来れて、部活もがんばっていて、幸せな家庭で頼れる兄弟がいて、綺麗な目をした色白でうらやましい、と言う。
  いつもいっしょにいても、真緒の真実をすべて蘭は知っているのではないし、話せるような簡単な感情なら、いつもこんな苦しい訳がなかった。
 真緒の方こそ、ずっと蘭をさんざん妬んできたのだから。
 いつかは、部員数の多い文化部の顧問に蘭は才能をかわれて、直々にスカウトされていたし。
 真緒は、毎日ちゃんと通学はしているものの、屈折して自分らしくいることの出来ない環境は逃げ出したい気持ちだった。

  二学期の進路相談の時、真緒は、もう退学する…と、担任の先生に言った。
 先生は真緒を驚いた様な顔で見て、必死で止めてくれた。
 真緒は自分の口から出た言葉に少し驚きながらも、もう半分以上本気だった。
 何もかもが苦しくて耐えて行けそうもない気持ちになっていた。
 
  彼氏にもそのことを言ったら顔が青ざめて心配の域を越えて、もう泣きそうになっている。
 絶対辞めないように説得された言葉は、今の自分には、ほとんど心に響いて来ないと思ってしまった。
 彼氏を悲しませる自分は、だめな彼女だと後ろ向きな感情で、振られることを想像する。 彼氏を幸せにしてあげられる素敵な子は他にいくらでもいるのだから。

  家に帰った真緒は、母親にも退学したいと思っていることを打ち明けた。