例えば、今、一〇メートルの直線トラックがあり、これを一〇秒で完走できる身長一八〇センチの選手がいて、一方で、全てのサイズが十分の一に縮小された世界が並行して存在すると仮定します。

 

そして、元の世界のトラックと縮小された世界のトラックのスタートラインを並べ、二人の選手に自分のトラックで走ってもらいます。二人の選手がゴールに到着して自分の時計を見たとき、確かに一〇秒経過していることを知ります。

 

しかし、元の世界の選手からは、縮小された世界のトラックは一〇メートルにしか見えないため、元の世界の選手が、縮小された世界のゴールと同じ地点を通過するには一秒しかかかりません。

 

この時、二人の選手が互いに相手が走っている様子を見ることが出来るとしたら、元の世界の選手には、縮小された世界の選手の動作が遅く見え、逆に縮小された世界の選手からは、自分より身長が一〇倍も大きな選手が、まるでビデオを一〇倍速再生をしたかのように、素早く走るのが見えます。

 

つまり、そこにあるのは “自分から見た(相対的な)時間と空間 ”なのであり、「早く、大きく」見える人もいれば、「遅く、小さく」見える人もいるということです

 

(次回に続く…)