これから数回に渡り、仏教とキリスト教について連載しますが、両者の一番の違いは仏教が「多神教」であるのに対し、キリスト教が「一神教」であるという点です。一神教は意識する対象がシンプルなためその教義も単純で、これを「信仰型」の宗教といいます。

 

これに対し、仏教や神道、ヒンドゥー教、道教など東ないし南アジア系の宗教は多神教が多く、それゆえその教義も体系化され、哲学に近い難解なものが多いため、これを「哲理(悟り)型」の宗教といいます。

 

とくに仏教は、ニーチェやハイデガーらの西洋哲学者だけでなく、近年は発展著しい認知心理学や脳科学、AI(人工知能学)、量子理論(本稿では量子物理学を思想面にも応用するためこの呼称を使います)でも、その体系や結論の妥当性が大まかに裏付けられています。

 

ただし、この結果、当然のこことして一神教は多くの大衆に受け入れられやすいのに対し、多神教は長く一部のエリート層の学問とされて来ました。実際、キリスト教の信者数は世界一ですが、仏教も一見、一神教に近いシンプルな教義を採用した宗門、宗派は多くの信者を擁しています。

 

私は、このような現状に物足りなさを感じたことから、あとで日本神道とその背景となった日本の伝統哲学カタカムナにも触れますが、主に初期の原始仏教の哲理を中心に、その難解な内容をシンプルにして理解を容易にし、生活に生かせるように解説します。

 

(次回に続く)