一葉です。いつもお付き合いくださりありがとうございます。
去る6/8に「のろまな亀のつぶやき」 を運営されておりますマリモ様から、何とまたお話を頂いてしまいました。
マリモ様曰く、プレゼント品を時事作にしたことが気になっていたとかで、だからなのか今度は異世界パラレルですよ。
どうぞと言われたので有難く頂戴いたしました。
マリモ様作のお話をどうぞお楽しみください。
■ 盲目妻は離婚を望む ■ 著者/マリモ様
他に追従を許さぬほどの大国であるタカラダ国。
そこの貴族内でも高位に位置するツルガ公爵家は、当主となったばかりの息子が嫁を迎えたことで幸せムードに満ち溢れていた。
もっともそうなってるのは当人や側近たち以外のようだが・・・。
「はあぁ・・・今日もまた離婚を切り出すことが出来なかったわ。」
広々とした室内にドドンと置かれてる、数人はまとめて寝れそうなくらい大きな寝台。
それに1人腰かけこう呟いたのは、少女と呼んでも差し支えない女性だった。
全体的に華奢で可愛らしい印象のまだ年若い彼女の嘆き、それに同年代の侍女はすまし顔のまま言葉を返す。
「そうでございますね。貴女様が決意をなさった時から、本日で早半年。
こうして未だ言い出すことすら出来てない現状を鑑みれば、この先合意にこぎ着けるなど至難の業かと。
もういい加減出来もしないことに労力を割くより、あるがままを受け入れられた方が御身の為と思いますよ。」
一応丁寧な物言いながらも、言ってることは全くもって遠慮ない。
人によっては無礼と捉えてしまうだろう。
しかし言われた少女は特に気にならなかったようで、普通に話を続けてく。
もっともその中身はとても普通とは言い難いものだが。
「ダメよ!そりゃこのままでいたい気持ちはあるけど、でもそれではレン様に苦痛を強いてしまうじゃない。
私、あの方に嫌われることだけは避けたいの。」
「これまで何度も申し上げてきましたように奥様、そのようなことだけは絶対にございませんよ。
本当に心配されるべきことはそんなものではなく、旦那様の本性を知り愛想を尽かした後の逃げ道の有無とかです。」
「本性って何よ、本性って。
仮にそんなのがあったとしても、あの何事においても完璧な方なら些末な問題でしょ。
もしそうじゃなくレン様の本性が変態じみていたとしたって、私があの方を厭うわけないじゃない。
ましてや逃げ出すなんてあり得ないわ。」
「そうですか・・・さすがは奥様、素晴らしいご返答です。
ただ今の話に少々不可解な点がありましたのでお聞きしますが・・・完璧?
完璧とは一体どなたのことなのでしょう。
まさかとは思いますが、あの妻限定で見事なまでにヘタレを発揮しまくりのウチの旦那様のことでしょうか。
・・・いやはや、“恋は盲目”という言葉通りこうも見事な節穴になられるなんて、恋愛感情とは恐ろしいものでございますね。」
「・・・いつも思うんだけど、カナエの冗談って反応に困るわ。
せめて真顔じゃなきゃ少しはこちらも・・・って、話がズレちゃった。
とにかく!私が望むのはあの方の幸せだけ、よってこのままい続ける気など一切ないの。分かった?」
「はいはい、お好きにどうぞ。
どうせ無駄な努力に終わるでしょうから・・・にしても来ませんね。」
「もう、真面目に聞いて・・・・・・って、確かに遅いわね猫ちゃん。
いつもなら既に布団の中に丸まってる頃合いなのに。」
「この時刻に現れないということは、今夜は奥様お1人ですわね。」
「えぇ~・・・この部屋広くて1人とか寂しいのに・・・。」
「仕方ないでしょう、我慢なさいませ。」
相当1人寝が嫌なようですっかり眉尻を下げた高貴なる女性と、一向にすまし顔を崩さない侍女のやりとりは終了する。
その同時刻に別の場所では、まだ男2人が交渉を続けていた。
「お願いですから、早く俺を猫にしてください。
変えてくれないといつまで経っても、キョーコのいるベッドに潜り込めないじゃないですか。」
「いや、だから普通に人間の姿で入れてもらえばいいだろう?
お前たちは夫婦なんだから。」
「それが出来れば苦労してませんって。
もし拒絶されでもしたら、どうするんです。
彼女に嫌われた暁には俺、立ち直れなくなる自信がありますよ。」
「おいおい・・・さすがにそれはツルガ公爵家当主として、つーか男として情けなさすぎだろ。て、いうかレン。
怖気づき生身で触れ合うのをお前が避けたことにより、自分はお飾り妻だと勘違いしたキョーコ様が離婚を考えてると、そうカナエに報告されたの忘れてやいないだろうな。
外堀を埋めに埋めて結婚した女を手放したくないのであれば、まだ言い出されてない今のうちに動いとけ。」
「でも、嫌われたりしたら・・・。」
「でももクソもあるかっ!
あのな、カナエから聞くキョーコ様に、お前を嫌ってる様子は見受けられない。
ならば余程のことをしなきゃまず大丈夫なはずだ。
というわけだから行け、で、拝み倒すなり何なりしてやることやらせてもらってこい。後で泣かずに済むように。」
「そう言われても急にはちょっと・・・やっぱり今夜は魔法を使ってもらえませんか、ヤシロさん。
友達であり、雇用主でもある俺を助けると思って。
ほら、もうこんなにキョーコ欠乏の禁断症状が・・・早くあの細い体にすり寄り、波打つ髪の香りを胸一杯吸い込まなければ・・・。」
「お前ぇ・・・・・・もういい分かった、今回だけはかけてやる。
その代わり後々泣きついてきても知らんからな、ボケ主人が!」
最後に罵倒されつつも結局お抱え魔法使いに要望を叶えてもらえ、嬉々として黒猫姿で目的地に向かう元長身の美丈夫。
本日を凌いだ彼がこの先、本性を晒すことなく盲目妻の誤解を解くのか、はたまた離婚は嫌だと必死に追い縋り暴露するはめになるかはまだ分からない。
果たしてどちらの未来を手繰り寄せるか、それを知っているのは神のみであろう。
おわり
ヘタレを極めた蓮様が楽しすぎてノリノリで書いてるうちに、こんなに長くなっちゃいました。
大分遅くなっての贈り物ですみません。byマリモ様
知らなかった。ヘタレって極めることが出来たのですね(笑)
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