不器用な恋人 ◇1 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 いつもありがとうございます、一葉です。

 弊宅閲覧者数・延べ50万人様を記念して、萌え様からお与かりした記念リクエストをお届け致します。


 こちらは原作沿い成立後蓮キョです。

 それ以外の設定…ってほどでもないそれはお話から感じ取ってください。



 なお、こちらはリクエスト成就作となりますので、内容リクエストを頂いても応諾できません。ご了承ください。



■ 不器用な恋人 ◇1 ■





 日本でデビューしてから、5年余りの年月が過ぎた。その間、されたインタビューはとうてい数えきれない。

 その過去の経験から、唐突にインタビューをされたとしても蓮にはそつなくこなす自信があった。


 ましてや今日これから行われるインタビューは、クランクインと同時にスケジュールに組み込まれ、先日ようやくクランクアップとなった映画の宣伝用である。事前打合せなど本来なら必要なかった。



「 社さん、付き添って下さらなくても平気ですよ。時間になったら迎えに来てくだされば 」


「 そうか?じゃあ30分後に迎えに来る…で構わないか? 」


「 ええ。構いません 」



 にもかかわらず、このインタビューのために蓮と社はLME事務所で事前打合せを済ませていた。

 なぜかと言うと、スケジュールを組んだ頃と今では明らかに違うことがあるからだ。



 実は先日、蓮はキョーコとのことを公表したばかりだった。

 つまり、二人が恋人同士であることを公にしたのである。



 詰まるところこのインタビューは、そうなって初めて受けるインタビューであるということ。



 しかし、先ほども言ったようにこのインタビューは映画の宣伝用であり、クランクインした時からスケジューリングされていた。

 なのにこのタイミングをこれ幸いとばかりに焦点をずらしたインタビューをされたらたまらない、というのがLME事務所としての見解だった。


 従って、普段なら不必要な事前打ち合わせなんてものを敢えて済ませたのである。




『 答える義理は無いからな。映画の宣伝だけしてくればいいから 』




 俳優セクションの松島主任からはそう言われていたけれど、本音を言えばそれは蓮の本意ではなかった。

 蓮はむしろ積極的にキョーコとのことを話したいと思っていたのだ。


 それは牽制の為でもあり、自慢したいためでもある。だから意図的に社の同席を阻止したのだ。


 


 キョーコとのことを隠すつもりなど無かった。

 質問されたらもちろん、ひどく照れくさい気持ちにはなるのだろうが、その感情さえも蓮は楽しみたいと思った。

 なぜなら、蓮にとってキョーコは初めての恋人だからだ。



 それは、日本でデビューして以降、という意味でもあり、自分が初めて恋心を認識した相手、という意味でもある。


 今まで付き合ってきた彼女たちを蓮は自分なりに好きになったつもりでいたけれど、それは本当につもりでしか無かった。そのことはキョーコと付き合い出してからはっきり自覚し出した。



 なぜなら、キョーコだけだからだ。


 自分の中でこんなにも強い独占欲が湧き出すのも。なりふり構っていられないのも。


 自分が出来ることなら何だってしてあげたい。

 自分がそうすることであの子が笑顔になってくれるのならその努力を惜しみたくない。

 自分がこんな風に考えた相手はキョーコだけだったのだ。 




 なればこそ、蓮は声を大にして言いたいのである。

 キョーコは自分の彼女ですよ、と。


 もしインタビュアーが予定にない質問を繰り出してきたとしても、口を閉ざす気など蓮には微塵も無かった。




「 早速ですが敦賀さん。今度出演なさる映画についてお話を聞かせていただけますか 」


「 はい。この映画もスタッフ一丸となって頑張りました。実は映画の撮影期間というのは現場ごとにマチマチで、時にはロケのために何か月も家を空ける場合もあるんですね。この撮影ではそれが3日ほどあったんですけど、俺自身、その間の寂しさを乗り越えて無事クランクアップを迎えることが出来て今はホッとしています 」


「 あら、寂しかったんですかぁ?その理由をうかがっても? 」


「 構いませんよ。もちろん映画の撮影は仕事ですから、会えないのは仕方ないと思っていたんです。でも、感情と理屈が一致しない時ってあるじゃないですか。都合上、どうしてもタイミングを合わせることが出来なくて、その3日間は電話が出来なくて本当に寂しかったです。もちろんメールでもいいんでしょうけど。でも、どうせなら声が聞きたいじゃないですか。俺、頑張っている訳だし 」



 映画に関する質問だけのはずなのに、それに答えればいいだけなのに、二人とも映画に絡めて自分が聞きたいこと、言いたいことを割とストレートに伝えていた。

 互いの思惑は、見事に合致していたのだ。


 蓮は臆しもせずに裏話を語り、それを聞いたインタビュアーは名前こそ出さないものの、最近恋人になった京子の事だろうと瞬時に判断できるほど蓮の答えはメロメロだった。


 インタビュアーの質問が、これ幸いとばかりにそちらに標準を合わせた。もともとその話が聞きたかったのだから。



「 そうですよねぇ。頑張っていたらご褒美が欲しいって思いますよね! 」


「 そうでしょう? 」


「 よく分かります。私の場合はちょっと値の張ったスィーツが自分ご褒美なんですけど、敦賀さんは電話・・・ということでいいのでしょうか 」


「 電話・・・だけじゃないですよ。他にも色々あります 」


「 あら、そうなんですね。あ、そう言えば、映画の中で主人公が、彼女と自分の関係について自問自答しながら、恋についての長所と短所を呟くシーンがあるじゃないですか。あれはあくまでも主人公の話ですよね。敦賀さんご自身はどうですか?恋愛に絡めて、自分の長所と短所は何だと思っておられますか? 」


「 んー?そうだなぁ…短所は、ふと気づくとあの子の事しか考えていないことかな。あ、でも、演技をしている間はその限りではないですよ。でも、ちょっとした時につい考えちゃっている自分に気付くんですよ。そういうとき、なんだか照れくさい気持ちになりますよね。それがまた愛しいっていうか 」


「 まぁ♡うふふ。では、長所は? 」


「 長所は、この思いが漲るままに、めいいっぱい彼女を愛してあげたいと思っている所かな。いつも考えます。彼女が喜んでくれるのなら、多少困難なお願いでも俺が何とかしてあげたい、俺が何とかするからって。それで気づいたんですけど、俺、意外と尽くすタイプなのかも 」



 当然のごとく蓮の脳裏にはキョーコの笑顔が浮かんでいた。それでも蓮自身はいつものように淡々とインタビューに答えていたつもりである。

 しかし、インタビュアーから見た蓮の態度は、今までとは全く違っていた。



 何しろ表情が違うのだ。そして声音も全く違う。

 蓮の頬は穏やかに緩み、その笑顔が今まで感じさせたことのない幸せを醸し出していて、また蓮の声音は彼が今まで演じてきたどんなドラマの優男より何倍も優しい声だった。



「 敦賀さんは、本当に京子さんのことが大好きなんですね! 」


「 あれ?俺、彼女のことを話しているつもりはなかったんだけど、判っちゃいました? 」


「 くふっ!!分かっちゃいましたよ! 」



 蓮の答えにインタビュアーは素直にはしゃいだ。


 こんな一面が敦賀蓮にあると知ったら、きっと世の女性の大半は身悶えるに違いない。


 今は昔とは違って、芸能人が身近な人や愛する人を大切にする姿勢を見せると、むしろ応援の声は高まる。


 それは、ファンたちが自分の推しメンのそういう姿を知る事で、自分に人を見る目があるか、ないかの判断をしているからというのもあるけれど、推しメンのそんな姿を許容するファンの存在を見て、その芸能人の人となりや評価が上がるという理由もあるのかもしれない。


 いずれにせよ、欲深い嫉妬を抱くより、よっぽど健康的で健全なエールであると言える。



「 ここだけの話、もしかしたら京子さんにベタ惚れだったりします? 」


「 します!実は 」



 躊躇なく首を縦に振った蓮の姿をインタビュアーは清々しく見つめた。


 間違いなくこのインタビュー記事は雑誌の売り上げを伸ばす材料の一つになるだろう。

 それに貢献できることは嬉しいし、このタイミングで仕事が出来たことをインタビュアーは嬉しく思った。



 しかし・・・。



「 敦賀さん 」


「 はい 」


「 ひとつ、いいことを教えてあげましょうか 」


「 なんですか? 」


「 敦賀さんみたいなタイプの男の人って・・・ 」



 一本指を立てたインタビュアーは、密談するかのように気持ち蓮に顔を近づけると、蓮が思いもよらなかった言葉を放った。



「 ・・・・ですよ 」


「 …っっ?! 」






 蓮が眉間に皺を寄せたそのインタビューから数日後。

 久しぶりにキョーコと二人で蓮がキョーコ手作りの夕食に舌鼓を打っていたときのこと。




『 ・・・・・ついに、ついに日本上陸です!来月1日オープン!! 』


「「 え 」」




 二人は唐突にそのCMに釘付けとなった。

 なぜならそれは、キョーコが夢中になっているブランドのオープン予告CMだったから。



 さる王家のお姫様も御用達にしている人気急上昇中の有名ブランド、リップミーは、デザインの美しさもさることながら、質のいい材料をふんだんに使いまくった高級品で、もちろん自慢して持ち歩ける物ばかり。

 けれど日本に販売店は一軒もなく、通販で手に入れるか、海外に行って入手するかの二通りでしか方法がない代物だったため、キョーコにとっては夜空に浮かぶ星と同じぐらいに遠く、憧れの存在だった。


 それが日本で店舗展開するという告知CMだったわけである。釘付けにならない方がどうかしていた。



「 うそっっ?!あのブランドが日本に来るの?! 」



 京子として世間にその名が広く知られるようになったキョーコは、おかげで忙しい毎日を過ごしている。

 次いで、生来の貧乏性からかまだ一度も海外旅行をしたことがなく、従ってそのお気に入りブランドの品を一つも持っていなかった。


 仕事でなら何度か海外に行っているのに。



「 信じられない、嬉しい!!すごい、欲しい!!買いに行きたい!! 」



 一緒にテレビを見ていた蓮が、自分の目の前でキョーコの笑顔がキラキラと輝きを増してゆく様を見逃すはずが無かった。



「 えー、すごいすごい。どんなのが販売されるんだろう。いくらぐらいなのかな。でもでも、現地までの交通費を考えたら絶対こっちの方が安いわよね!ううん、この際、高くったって構わない。一つぐらいはバッグが欲しい。でも、最初は財布とか、キーホルダーでもいいわ。ただ、1個ぐらいは絶対になにか… 」



 CMはとうに切り替わっていたのに、キョーコは夢見る表情だ。

 そんなキョーコを見て、蓮の胸もまたときめかない訳がなかった。




 キョーコを喜ばせるのが俺の使命!俺の誇り!!俺の欲求!!!




 そのブランドバッグを自分がプレゼントしたら、キョーコはどれだけ喜んでくれるだろう。


 もしかしたら、両手をあげて自分をギュウしてくれるだけじゃなく、プレゼントしたバッグを色んな人に自慢して、ついでに、敦賀さん大好き♡…なんてことをあちこちで言いふらしてくれるかも。




 よし!キョーコのために俺が動こう!!




 蓮がこの答えを導くのに要した時間はわずか4秒。


 愛しい彼女のために、自分が出来ることならなんでもしたい。

 喜んでくれることなら本当に何でも。

 それが蓮の本心なのである。



 そのときふと

 数日前のインタビュアーの言葉が蓮の脳裏に蘇った。

 途端に蓮はその言葉を散らかすように頭を大きく左右に振った。



「 ・・・・・っ・・・ 」



 まさか、あんなことを言われるなんて想像もしていなかった。

 心外にもほどがある。


 好きな相手を喜ばせたいと思う気持ちに男も女もないだろう。

 ましてや恋人なら余計にそうだ。


 そう考えるのはひどく普通で、とてつもなく当たり前のことだと今の自分は思っているのに。



 夢見るキョーコの隣で

 頬を赤らめ天井に祈りを捧げているキョーコを見つめながら


 蓮は確信を得た笑みを浮かべて、うん、うん、とその場で二度頷いた。






 ⇒◇2 に続く


こちらは7話以内でサクッと完結する予定です。




⇒不器用な恋人◇1・拍手

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