その腕の中で眠りたい ◇2 | 有限実践組-skipbeat-

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 前話こちら⇒その腕の中で眠りたい◇1



■ その腕の中で眠りたい ◇2 ■





 その翌日、先に目覚めた蓮の隣にはキョーコがいた。


 意識的になのか、自然とそうなってしまうのか。横向きに寝ている彼女が惜しげもなく自分に寝顔を晒しているのがひどく愛しい。


 キングサイズのベッドで二人は共に一糸まとわぬ姿のまま、その中央で寄り添うように密着していた。


 伏せられたまつ毛の長さを確認するようにキョーコを見つめた蓮は、赤ワインで正解だったな…と、含み笑いを浮かべた。





 ――――――― なんだ、深夜到着なのか。だったら空港近辺のホテルがいいよな。よし、分かった、久遠。いい部屋を手配しといてやる!もちろん、祝いの酒も用意してやるからな!




 国際電話でホテルの手配をお願いしたとき、声しか聞こえていないのにデュリスが胸を叩いたのが分かった。


 父親のクーを飛び越え、お願いしたそれがよほど嬉しかったのだろうか。

 あるいはまだ過去の悔いを引きずっているせいなのか。


 いずれにせよ、蓮は素直にその好意に甘えた。



「 ありがとうございます 」


『 礼などいい。こんなことぐらい朝飯前だからな 』


「 ところで、お祝いのお酒・・・は嬉しいんだけど、それ、リクエストしてもいいかな。出来れば赤ワインがいいんだけど 」


『 なんだ、結婚祝いに赤ワインか?そりゃ別にいいが…。いや、でも一般的にはこういう場合はシャンパーニュだろう。ここで遠慮することはないんだぞ、久遠。ドンペリでもルイ・ロデレールでもペリエ・ジュエでも、何でも用意してやるぞ? 』


「 …くす。それ、本当に嬉しいんだけどね。でもキョーコがダメなんだ。発泡酒が苦手なんだよ。だから… 」


『 そうか、キョーコが。……よし、分かった!!だったら極上に美味い赤ワインを用意してやる。任せとけ! 』


「 ありがとう。楽しみにしているよ 」




 実際に用意されていた赤ワインはデュリスの言葉通りとても美味しいものだった。

 キョーコが止まらなくなるぐらい…。




「 ……んん……っ………あぅ、コーン、もう起きてた? 」


「 うん、さっき目覚めたとこだった。どうする?もう少し寝る? 」


「 やん、二度寝はしない。もう起きる 」


「 了解。じゃあもう少ししたらモーニングを食べに行こう。それから色んなお店を回って…。挨拶前にエステにも行きたいって言っていただろ。それに、君が着るウエディングドレス。もちろん探しに行くんだろ? 」


「 行きたい!あのね、もう着たいドレスは決まっているの。こういうのがいいな~っていうデザインが頭の中にあってね 」


「 え、それは初耳 」


「 でも問題は、そういうドレスがあるかどうかなのよね 」


「 ん、どういう意味?キョーコならシンデレラドレスタイプかなって、実は俺、予想していたんだけど。違うの?どんなデザイン? 」


「 あのね、全体的なシルエットはマーメイドなんだけど、背中が大きく腰辺りまで開いていて、両肩も出ていてね、膝下が丸見えのスカート丈でレースがふんだんにあしらわれていて、それでいてスカートの裾が後ろに長く伸びている真っ白なドレスを着たいの!! 」


「 ……なんだかずいぶん具体的だな。それって誰かが着ていたやつとか? 」


「 ううん。実はこっちに来る間の飛行機でそういう夢を見たの。そういうドレスを着た自分の夢。それで、いいなぁって思って… 」


「 なるほど、正夢か。じゃあ絶対見つけないと 」


「 …あると思う? 」


「 為せば成る!そう信じて探そう。きっとそのドレスは君の魅力を何倍にもしてくれるよ 」


「 ほんとに?そう思ってくれる? 」


「 思うよ、もちろん。でもね、本当に君の魅力が最大限に発揮されるのは一糸まとわぬ姿なんだけどね 」


「 やだ!まさか裸で式に出ろと? 」


「 言うわけないだろ。それを見られるのは俺だけの特権だ。だからこそ許容するんだ俺は。本当は嫌だけど。キョーコの肩と背中と足をみんなに見せるのは… 」


「 ぷっ!! 」


「 教会にも行く? 」


「 行ってもいいの?だって、式を挙げるのって… 」


「 行こうよ。もしかしたら挙式中の様子を見学できるかもしれないし。見学することで何か変わるかもしれないだろ 」


「 …うん、嬉しい!! 」



 それから二人は手早く身支度を整え、あっという間にモーニングを食した。


 朝食後にキョーコは自分の荷物をジュニアスイートに移動させたから、結局、自分で取ったスタンダード・シングルには数時間、荷物を置いただけ。


 ホテルの滞在は一週間を予定している。

 蓮がジュニアスイートにいるのなら、その時間帯に自分も同じ部屋に居ることは明らかで、だからさすがのキョーコも意味ないな、と思った。



「 だから最初から一緒の部屋にすればいいのに 」


「 けじめ!けじめだと思ったの!! 」



 予想外だったのはチェックアウト・カウンターに行った時だ。キョーコはチェックアウトの理由を尋ねられた。


 しかしよく考えればそうだろう。ホテル側からしてみれば、一週間滞在予定だった客が一晩でキャンセルアウトを申し出たのだ。

 その理由がもし、ホテル側の落ち度だったとしたら4つ星ホテルの名が廃る。だから確認されたのだろうと後で思った。



「 チェックアウトでございますか?ご予定では一週間と伺っておりますが、何かご不満な点がございましたのでしょうか? 」


「 いえ、そうじゃないんです。ただもうこの部屋を取る理由がなくなってしまって… 」


「 では、お急ぎのご用事が出来て、ということでしょうか? 」


「 いえ、そうでもなくて…。えーっと 」



 キョーコは完璧自己都合であるその部分をどう説明しようかと悩んだが、その様子を面白可笑しく見ていた蓮がすぐに口を挟んだ。



「 すみません。彼女、今夜から俺の部屋に一緒に泊りますので 」


「 はい? 」


「 俺の婚約者なんです。LAには式を挙げに来たんですけど、昨夜はちょっとした行き違いで別の部屋を取ってしまって。でも結局すぐ仲直りをして一緒の部屋に泊ったので、荷物を一晩置いただけになってしまったんですよ 」


「 あ!ああ、そうでしたか。それはようございました。ではこちらのお部屋でお休みにはならなかったのですね? 」


「 はい、実はその通りで、荷物を置きっぱなしでスーツケースから一個も出さなかったぐらいで… 」


「 左様でしたか。それではお部屋代は不要でございます 」


「 え? 」


「 お荷物をお部屋に置いただけならばお部屋代は結構です。これは私どもからのほんのお祝いの気持ちでございます。結婚なさるお二人が別々の部屋を取る必要はないだろう…と、私どもも思っておりましたので 」


「 …っ!! 」



 さすがは4つ星ホテルだ、とここは褒めるところだろうか。

 恐らく交代時に申し送りがなされ、昨夜のカウンターでの出来事が翌日スタッフの知るところとなっていたのだろう。



 このあと蓮とキョーコは、笑顔満面のホテルスタッフたちから、おめでとうございます、と祝辞をもらって見送られ、多くの宿泊客の注目を浴びまくってしまった。



「 この度はおめでとうございます。いってらっしゃいませ、お気をつけて! 」


「 ありがとう。行ってきます 」



 手を振るスタッフに手を振り返す蓮の隣で、キョーコは顔を真っ赤に染めた。



「 あうぅぅぅ……恥ずかしい!! 」


「 だから言っただろう。結婚する二人が別々の部屋を取る必要はないって 」


「 だって、コーン!!……じゃないっ、敦賀さん!! 」


「 ん?なんでいま言い直した? 」


「 だって、今は敦賀さんスタイルだから 」



 こんな時でもなんと律儀なことだろう。言われて蓮が吹き出した。



「 それ、俺と結婚したあとキョーコは俺をどう呼ぶつもり? 」


「 え?えーっと…… 」



 実は結婚後、キョーコの芸名が敦賀京子になることはもう決まっていた。リアルでも芸能界でも、キョーコは自分のものになる。


 だからなのか、どんな呼び方でも構わない、と蓮は以前から思っていた。だから今までそれを聞いたことが無かったのだ。



「 ……お仕事中は敦賀さん、かな 」


「 仕事以外では? 」


「 えっと、どうしよう。あ、でも、敦賀さんスタイルの時は……敦賀さん、はおかしいから、蓮さん…とか? 」


「 キョーコ、いいね、それ。俺は蓮さん呼びを希望する 」


「 へ? 」



 言って蓮が歩みを止め、並列歩行していたキョーコのあごを人差し指で持ち上げた。

 突然の強制行動に戸惑ったキョーコの額に優しいキスが降りる。


 LAの街を行き交う人々から歓喜があがり、蓮は照れまくるキョーコを笑いながら自分の腕の中に隠した。



 そのときは何となく、キョーコから周囲へと蓮は自然に視線を浮かせたのだが…。




 ………え…?



 瞬間、自分の神経が尖った気がした。

 もしかしたら自分は何かを感じて周囲に目を向けたのかもしれない。


 でも確信は持てなかった。


 何しろ見たのはほんの瞬きだけで、しかもそれなりに距離もある。加えてこの雑踏だ。とてもじゃないがそうだと断言は出来なかった。



 なにしろロサンゼルスはカリフォルニア州で最大の都市で、かつ全米でも有数の世界都市だと言われているのだ。国内での人口はニューヨークに次ぎ多いという事実もある。


 そんな人類のるつぼと評されるこの地で、一人や二人似ている人間が居たとしても少しも不思議なことではないし、何よりあれから3年の月日が流れている。にもかかわらず、その頃と全く変わったところがないなど、むしろあり得ないと言えるだろう。




 だから、たぶん、気のせいなのだ。




 心にかかる何かがあった。

 だが敢えて、蓮はそれを無視した。


 






 ⇒◇3 に続く


( ̄▽ ̄)何気に45巻のネタバレをしないようにしている自分がいます(笑)バーンと書いちゃっていいでしょうかね。…いや、もうちょっと悩もう。ちなみにホテル側との会話は英語です。英語ですよ。



⇒その腕の中で眠りたい◇2・拍手

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