絵本の外の王子様 ◇3 | 有限実践組-skipbeat-

有限実践組-skipbeat-

こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


※出版社様、著作者様とは一切関係がありません。
※無断での転載、二次加工、二次利用は拒断致します。
※二次創作に嫌悪感がある方はご遠慮ください。

 いつも有難うございます。

 弊宅500記事を記念して、くりくり様からお与かり致しましたリクエストをお届け致します。


 こちらは現代パラレル蓮キョです。設定はお話から察して下さいませ☆



 前のお話はこちらです⇒絵本の外の王子様<1 2>  



■ 絵本の外の王子様 ◇3 ■





 ――――――― 翌日の昼過ぎ。



 俺は、キョーコちゃんが通っているLME大付属高校の校門前に立っていた。

 迎えに来た訳だけど本人からの許可はない。


 試験が終了したのだろう、生徒たちが一斉に出て来た気配を感じて俺は校舎側へ振り向いた。



 学生服の波間に目ざとく見つけたキョーコちゃんを呼び寄せようとしたけれど、今朝ほど見かけた見慣れぬ男子がまたもや彼女に話しかけているのを見て、俺は鋭く舌を打った。



「 キョーコちゃん 」


「 お疲れ、光くん。テストどうだった? 」


「 聞くだけ野暮だよ。受けただけで自信なし 」


「 あははは 」



 俺には無表情だったくせに、その男には笑うんだ。


 もしかしたらそういう事?

 そいつが今の君が好きな人?




 離れていた9年の間に、キョーコちゃんに好きな男が出来るかも…なんて、そんな可能性があることすら一度も考えなかった自分に驚く。



 だって、信じて疑いもしなかった。

 キョーコちゃんはずっと俺を待っているに違いないって、俺はそう信じていたから……。





『 ………へぇ~、そう。戻って来たの。ふぅん…… 』


 かつて慣れ親しんだ家の中には、記憶のそれとは違う家具がひと通り揃えてあって、中でも身長190cmの自分が余裕で寝られるキングサイズのベッドがあったことは本当に有難いと思った。


 けど、スプリングに身を沈めた所で意識が沈むことはなく、キョーコちゃんのセリフが俺の頭をぐるぐるグルグル回りっぱなしで俺は眠れない夜を過ごした。


 朝、けだるく身を起こした俺が2階の洗面所で顔を洗っていたとき、キョーコちゃんの声が耳に届いてそのまま窓の外を眺める。


 紺色の制服に身を包んだキョーコちゃんの姿が見えて

 学校に行くんだな、と思った。



「 行って来ます! 」


 9年という長さを実感して口元を緩めたその2秒後、俺はあり得ないほど目を瞠った。

 見慣れぬ男子学生が俺のキョーコちゃんに声をかけていたのだ。



「 キョーコちゃん、おはよう 」


「 うっそ、光くん?おはよう。こんな朝早いなんて珍しいね 」


「 さっき親にたたき起こされたんだ。今日から期末試験なのに遅刻するつもりなのかって… 」


「 あははは。そうだったんだ。良かったじゃない、遅刻にならなくて 」


「 そうだけどぉぉ~~ 」



 なんだ?誰だ、あの男?!



 二人の様子がやけに近しい感じで胸の奥がざわついた。

 幼なじみの彼女の顔はキラキラ笑顔が輝いている。


 突然襲い掛かって来た焦燥感に俺は愕然としてしまった。



 そんなこと、考えたことなど一度も無かった。


 離れていた9年間で

 キョーコちゃんに好きな男が出来てしまう可能性なんて……。




 居ても立ってもいられなくなって、あの子を追いかけようと階段を駆け下りた。

 突っかける様に靴を履いて飛び出した俺とほぼ同時に隣家から出てきたのはキョーコちゃんのお母さん。


 仕事に出かける所だろうってことは、きっちりまとめられた髪型とスーツに身を包んでいたことですぐに察することが出来たけど、さすがの俺でも昨日の今日再会したばかりでキョーコちゃんの学校はどこですか…なんて質問を出せるはずも無かった。



 けど結局、あの子のお母さんにこの高校を教えてもらって、そのお陰でいま俺はここに居ることが出来ている訳だけど。



「 ……俺には無表情だったのに… 」



 目前の光景に思わず苦言を呈する。



 あの小さかったキョーコちゃんが見知らぬ男と肩を並べて笑顔なのが嫌だった。



 小さい頃はそれこそ、蓮くん、蓮くんって

 本当に懐っこい笑顔で俺に近寄って来てくれたのに。




 ――――――― れぇぇんくぅぅぅん、おはよぉぉぉ!!!

 行ってらっしゃぁぁぁいぃぃ!!




 毎朝、小学校に行く俺を見て、ちぎれんばかりに手を振ってくれたあの頃の君が懐かしい。



 俺を見るたび笑顔になってくれたのに

 君は俺のことが嫌いになった?




 だけど俺は、片時だって忘れなかった。

 君が欲した将来の夢。


 その願いを叶えるべく

 俺は約束を果たしに来たのに……。




「 昔は可愛かったよなー……なんて。

 嘘だよ。いまだって変わらず可愛いよ…… 」


「 へ?! 」



 まるで羊の群れのように校門を通り過ぎる学生たちの波の中から、なぜか女子高生たちだけが俺を一斉に取り巻いた。


 あり得ないほど甲高い声があちこちから立ち上りそのパワーに圧倒されそうに。



「 ぎゃふ~~~んっ!!誰、この人ぉ? 」


「 あっ!!いや、俺は決してアヤシイ者じゃ… 」


「「「「 ちょっと、まさか芸能人とか言う??! 」」」」


「 え?……いや、全然違うけど。俺は一般人だか… 」


「 うっそ!?だってこんなにカッコいいじゃん!これからデビューするとかじゃないの!? 」


「 うん、全然違うから 」


「 えー?本当にぃ? 」


「 本当だよ 」


「 それで?どうしてここにいるんですかぁ? 」


「 どうしてって…… 」



 自信を失いかけていた分、見知らぬ女子高生たちから貰った突然の賛辞に気を良くした俺は、ニッコリ笑って幼なじみを迎えに来ただけなんだけどって、言おうとしたのだけど。


 視線を感じて顔を上げた途端にキョーコちゃんと目があった。



「 は?なんで蓮く……じゃない、敦賀さんがここにいるの? 」


「「「「「 敦賀さんっ?!! 」」」」」



 キョーコちゃんが発した俺の名字を誰もが一斉に大合唱。

 もちろん俺も復唱したよ。


 なんだよ、敦賀さんって。

 そんな呼び方、今まで一度もしたことなんてないくせに。



 蓮くんって、普通に呼べばいいだろう。



「 ちょっと?! 」


「 はうっ?! 」


「 この人ってば最上さんの知り合い?!だったらお願い!私に紹介して!!! 」


「 はぁ? 」


「 うそ?!部長の知り合いなんですか?私!私にも紹介して下さい。部長、どういったご関係なんですか? 」


「 ど…どうって…… 」


「 カッコいい!超絶かっこいいよ、この人!ねぇ、最上さん。紹介してぇぇぇ!! 」


「 あたし!あたしも紹介して欲しい~!! 」


「 ……ふっ…… 」



 ………告白する。

 俺、こんなにも沢山の女の子達にカッコいいって言われてすごく気持ちが良かった。



 昨夜のキョーコちゃんの態度からこっち、俺は自信を失いかけていたから。



 アメリカに居たときだってそれなりに女の子からアプローチを受けていたから、自分なりにイイ男に成長できたかなって、実は少し思っていた。

 だから、昨夜のキョーコちゃんの冷たい態度は強く俺の胸に刺さっていたんだ。



 でも気を良くしたのは一瞬のことだった。


 だってちっとも面白くない。

 俺の紹介を強請られているキョーコちゃんには少しも焦った所が無かったから。



 なんでだよ。少しは戸惑ってくれてもいいと思う。

 だって俺はね、こんなに沢山の女子高生に囲まれても、君だけしか可愛く見えない男だ。


 そう。君が一番かわいいよ。




「「「 早く!!早くぅぅ… 」」」


「 …で?キョーコちゃん、この人とどんな関係? 」


「 ど…どんなって…。どうして光くんまでそんなこと… 」



 ちょっと待て!そっちこそお前は誰なんだ。

 キョーコちゃんの何なんだ?!


 光という男からの質問を受けたキョーコちゃんが眉をひそめたのが癪に障って、満面に笑顔を浮かべた俺は、黄色い声援をバックにキョーコちゃんの肩を抱き寄せた。



「 聞かれているんだから素直に答えればいいだろう 」


「 ……はい?それよりなに?この手… 」


「 この子の代わりに俺が答えてあげるよ。俺はね、この子の家族も同然の人…って思ってくれていいよ 」


「 ちょっ…!!! 」


「 家族も同然?! 」


「 え?…ってことは……この人は最上さんのお兄さんみたいな人ってことぉ!?すごい、羨ましいよぉ、最上さん!! 」



 ちがう!何でそういう解釈をするんだ。


 夫だ、夫!!

 俺は近い将来キョーコちゃんと結婚して家族になる男だって言ったんだ。



「 ぶちょぉぉぉ~~!!早く紹介して下さいよぉぉ!! 」


「 ……っ… 」


「 部長?…って、そう言えばさっきも。なに?何の部長? 」


「 そんなこと蓮く…じゃない、敦賀さんは知らなくていいの! 」


「 なんでだよ…… 」


「 えー?家族同然なのにご存じないんですかぁ 」


「 ちょっ……やめてよ、言わないで!! 」


「 どうしてですか。英語の弁論大会で優勝したことだってあるのに隠す必要ないじゃないですか。どっちかって言うと自慢していいと思いますよ 」


「 ……英語? 」


「 はい!最上部長は英語部の部長です!! 」


「 ……え…… 」





 ……甦る、9年前の別れの日。




 ――――――― じゃあ、お手紙は?!キョーコ、学校で毎日お勉強していて、ひらがなと簡単な漢字は書けるようになったのよ!だから…



 『 それもごめんね。そこはね、英語を使う国だから、キョーコちゃんが書いた日本語のお手紙はこっちには届かないの 』




 脳裏に焼き付いた別れの日。

 いまだって鮮明に思い出せる泣き顔だらけのキョーコちゃん。



 それは、この子も同じだったのだろうか。

 英語が何なのかさえ分かっていない風だったのに…。



 この子の心にそれが深く刻み込まれていたのだとしたら

 ものすごく……。ものすごく、ものすごく嬉しい。



「 ……っ…それ、本当に? 」


「 はい、本当ですよ。ねぇ? 」


「 本当よね。最上部長は関東地区で上位に名を連ねる英語弁論大会の覇者ですよ 」


「 そう……なんだ……。なんだ、そうなんだ。ふ……ははっ…… 」




 英語を勉強してくれていたんだって

 それが判っただけでもう、俺は勇気百倍気分だった。






 ⇒◇4 へ続く


よし!今のところ順調!…なんて。いっつもだいたい4話目あたりまでは順調なんだよねぇぇぇ。


ところでお気づき?2話と3話で不自然な所があるのを。ふふふふ…。でも。気付いても内緒にしてね♡



⇒絵本の外の王子様◇3・拍手

Please do not redistribute without my permission.無断転載禁止



◇有限実践組・主要リンク◇


有限実践組・総目次案内   

有限実践組アメンバー申請要項