いつもありがとうございます。(。-人-。)一葉梨紗です。
懐かしいタイトルに何事か…と思われたお嬢様も多いかと思います。
草原の海は2014年4月30日に連載をスタートさせ、たった14話しかないというのに2016年1月31日に完結した、一葉が初めて手掛けた異世界パラレル蓮キョでした。
完結を迎えた時は後書き的な意味を含めた裏話をUPしようと予定していたのですが、本編がシリアスまっしぐらだっただけにその世界観を壊すのはどうか…と、考えたってことと
ある程度の長さの連載が完結にたどり着くと、燃焼しきった感が半端なくてわざわざ裏話を手掛ける気にならなかった…という理由から公開を見送った、というのが本当のところでした。
ではなぜ今なのか、ですが。
草原の海は再読して下さる読者様が多いのか、連載終了してから一年半が経過しましたが、その間も最終話のおまけ話に目を通して下さる方が予想外に多く、実はもう少しで1000拍手に到達する…という、本気で予想していなかった有難い事態になっております。
嬉しい…なんて言葉では言い尽くせないほど有難いし、とても光栄なことだと思い、一度はやめた裏話をお届けしようかな、という気になった次第です(笑)
ただ、最初に一葉が躊躇したように中身は裏話…っていうか、暴露話です。
なので難しく考えず気楽にお付き合い頂けたら嬉しいな、と思います。
当然の事ながらネタバレがかなり含まれております。それといつもの様に長いです。どちらもご了承の上でお付き合い下さい。
ちなみに草原の海・本編はこちらです↓
【◇1・出逢い /◇2・憩い /◇3・憂い /◇4・想い /◇5・惑い /◇6・共鳴 /◇7・身震い /◇8・願い /◇9・秘めた儀礼 /◇10・戦い /◇11・悲鳴 /◇12・神意 /◇13・再生 /◇14・君への想い 】
■ 草原の海 ◇今だから言える裏話 ■
草原の海はご存じの様に、キョーコちゃんが人魚、蓮くんがケンタウロスで物語を綴りました。この配役にしたのは当然意味があったのですが、それに関しては後ほど触れたいと思います。
二人がともに人間ではない所から始まることもあって、人体に対して正しい知識を持っている人が読むと、最初から深読みしながら物語に沈んでいける。そういう風にお話を構成したつもりです。
例えば第二話でのキョーコちゃんのセリフ。
「 ええ。人魚は陸に上がると体内の水分を失いやすいの。知ってる?体内の50%の水分を失ったら簡単に死ねるのよ?3時間も陸に上がったりしたら、間違いなく気絶できるほどには水分を失えるわ… 」
このセリフで突っ込んだ人ってどのぐらいいるのかしら(笑)
人の身体の約60%は水分である事をご存知ですか?
体内にある大量の水分は主に血液や細胞の中に含まれ、栄養素の運搬や老廃物の回収、排泄や体温調節という、生命維持の上で重要な役割を担っています。
人は5%の水分喪失で脱水症状、または熱中症に至り
10%喪失で筋肉が痙攣したり臓器に異常が起こり、約20%の水分喪失で死亡すると言われています。
このお話では、神様が作った命の中でも特にケンタウロスは尊ばれる存在であるという位置づけであるのに対し、人魚は神様が作ったものではなく、いわば水溜まりでボウフラがわくかのように突然生まれた種族という設定です。
物語の序盤ではその事実は出てきませんが、体内の50%の水分を失うと死に至る、イコール人魚…が、いかに下等な生き物であるかを示唆するためのセリフだったのです。
それから、ケンタウロスが人魚に触れると人魚だけが火傷をする…もあながち嘘ではないですよ。
魚の体温…ってあまり気にした事がないかも知れませんが、もともと魚は変温動物です。
種類によって生息地域が異なりますから一概に体温は一定ではありませんが、魚の体温は水温とほぼ同じと考えるのだそうです。
常温に置いておくと魚が腐っていくのは、そもそも外気温が高いから。
魚は体表を粘膜によって保護していて、その粘膜が剥がれてしまうと体力を消耗し、保護能力の落ちた体表から雑菌に感染されやすくなります。
実際に魚を飼っていらっしゃる方ならご存じかと思いますが、素手で魚に触れたら火傷するって言いますよね。
お話し中にある、高熱で肉が焼ける不快な異臭がした…はだいぶ大袈裟な表現を使用しておりますが、それだけ二人が暮らす世界には隔たりがあるのだということを伝えたかったのです。
ところで、ケンタウロスって実在できると思います?
一葉、実は人魚に関しては居てもおかしくは無いかな…と思っていたのですが、一方でケンタウロスは絶対実在しない…と思いながらお話を綴っておりました(笑)
それを考えたのは物語の終盤で社さんが蓮くんの上体と馬の下体を切り離した時。
そもそも腰には中枢神経に重要な脊髄が存在しているので簡単に切ったらいかんとひとりツッコミをしておりましたが。
蓮くんは人としての身体が腰まであって、その下が馬の形。
じゃ、馬の中身は全て腸なのか?……と考えた時にこの矛盾に気付きました。
当然、本物の馬であったとしたらそこには心臓を始めとする五臓六腑が存在している訳ですよね。
また、もしそうだとしたらまさか蓮くんの立派な肢体の中身が食道だけってのも想像しにくい(笑)
どちらにも同じように臓器が収まっていたとしたら、人の身体から馬の身体への繋がり方が判らない。
だから私はケンタウロスは絶対生き物としてあり得ない!!…と思いながら物語を綴りました。
あり得ない説で言えばもう一つあります。
人魚のキョーコちゃんが出来なかった延命儀礼。
そもそも人と交わることで子を育むことが出来るなら、人も人魚も、そしてケンタウロスも受胎後の細胞分裂周期が全く同じでなければ成立しないことになります。
物語ではそれが出来る訳ですから、当然、同じという事になる訳ですが。
だとしたら、人魚の肉を得て不老不死を手に入れた蓮とキョーコには子供を作ることが出来るのか…ですが、結論から先に申しあげますと、答えはNOだと私は思います。
実はこの物語が完結したとき、何人かの方から子供が出来て幸せになるんですよね?…と頂いたり、赤ちゃんが生まれた未来の二人のお話が読みたいとリクエストを頂いたりしたのですが、こちらは説明付きで返信の上、丁重にお断りいたしました。
考えて欲しい。
まず、不老不死の二人からもし子供が生まれたとしたら、その子供は恐らく不老不死ですよね?
蓮とキョーコはいいですよ。
お互いに愛する人がいるのですから。
でも、子供は?
その子供はずっと一人になってしまう。
愛し合っている両親を見ていればそのうちいつか絶対、自分も…と夢を見る日が来るでしょう。
例えばそれで愛する人を一時的に得られたとしても、気の遠くなるような長い時の、本当に瞬きの時間の幸福になってしまう。
それは永遠には続かないのです。
私がもしキョーコの立場で、子供を作ることが可能な身体だとしたらまず間違いなく生みたいとは思わない。
自分が苦しむならいいけれど、本当に苦しくて切ないのは自分じゃないのだもの。
たかが作り話でそこまで考える?って思われるかもしれませんが、自分が容易に想像できることですからやはり書こうとは思えなかったのです。
けどその前に、キョーコは受胎に至りません。
不老不死に関して…というより、細胞に関する基礎的な知識がある人なら誰でも理解できると思いますが、そもそも通常、細胞は死滅するものです。
人の体内でも毎日細胞は死滅し、また新たな細胞が生まれています。
赤血球は120日が寿命。リンパ球T細胞は4~6ヶ月、血小板は10日ほど。
そして人の身体のすべては3年で新しい細胞に生まれ変わっているのです。
細胞は生まれ、分裂して死滅してゆく。これが普通のサイクルです。
ところで、現時点で不老不死と謳われている生物がこの地球上には存在しておりますが、厳密に言うとその生き物(ベニクラゲ)の細胞は不老ではなく、ある程度老化現象が進んだあと死に至らずに若返りを繰り返すのだそうです。
この物語の蓮くんとキョーコちゃんは不老。
不老とは、細胞自体が老いない…という現象ですから、もし二人が愛し合って精子と卵子が結合したとしても、細胞は分化しない…と一葉は考えました。
ちなみにベニクラゲの細胞メカニズムについてはまだ解明されていないそうですが、医学や生化学がどんなに進歩しても、判らない事があるっていうのはある意味ロマンですよね。
それもいつかは解明されるのかも知れないですけど。
話は変わって、社さんの神の手について。
実は、物語をスタートさせたときの社さんの役割は、神様と繋ぎを取るための、あくまでも代理人という位置づけでした。
けれど物語を進めていくうちに、神様=社さんでも支障がない事に気付いたのです。
そもそも登場人物を増やすことで物語は必然的に長くなってしまう傾向にあります。
また主要な登場人物は少ないほど読者様を混乱させずに済みます。
そんな訳で、登場することも無くローリィ様は8話あたりでクビに(笑)
そう決断したことに後悔は一つもありませんし、却って物語に深みが出たかな、と自分では思っております。
最後に、なぜ人魚とケンタウロスにしたか…。
これは、人魚×人間というスタンダードなキャスティングは既に複数名の方が執筆していらしたし、同じような話を書くのは面白くないな…と自分自身がそう思ったから。
また、ラストは絶対、キョーコちゃんも蓮くんも人であって欲しいと思っていました。
蓮くんはともかく、人魚であるキョーコちゃんが人になるには足が絶対に必要です。
だったら四つ足の恋人から2本、足を譲って貰って、お互い2本足の人になればいいじゃん★という単純な発想で蓮くんをケンタウロスにしました。
以前も言ったことがあるのですが、私は基本的に物語のラストが見えないと続き物の連載をスタートさせることが出来ないのですが、二人の配役を思いついた直後、草原の海で子鹿のように足をプルプルさせながら懸命に歩こうとするキョーコちゃんと、それを幸せそうに見守る蓮くんの姿が脳裏を過ぎり、思わず感動してしまいました。
この二人はちゃんと幸せになれるんだなって思って。
もちろんそうじゃなきゃ書く気にもなれませんでしたけどね。
それにしてもラストがあんなにもハッキリした映像で見えたのって、実は初めてじゃないかってぐらいで、そのシーンは一話目よりも先に書き終わっていました。
ところでね、社さんから下体を作って貰ったキョーコちゃんと蓮くんでしたが、蓮くんが先に人の足に馴染んでいるのは彼が一ヶ月先に目覚めたから…が理由ではないのですよ。
もともと足を使って歩いていた蓮くんは、歩行時に使う筋肉を意識せずに選択することが出来たはず。
対してキョーコちゃんはずっと水中で泳ぐことを常としていた事からまずそれすら判らなかっただろうな、と。
筋肉って、あれば必ず使えるモノではありませんよね。
利き手ではない逆手ですぐ箸を使えるかっていうと決してそうじゃない。仮に使える様にしようとしたら、相当の努力と月日を要すだろう…って理解出来ますよね?
キョーコちゃんのもそれと同じです。
あればすぐに使いこなせる訳ではないのです。
それと、彼女は目覚めるまでに2ヶ月近く要していることも重要点。
人の身体は一週間寝たきりで20%筋力が低下すると言われています。
二週間で36%、三週間で68%、四週間で88%、五週間で96%(※厚生労働省調べ)
寝たきりの期間が長いほど筋肉も落ちて行っている訳で、つまりキョーコちゃんは筋肉の使い方を学ぶと同時にそれを付けて行かねばならなかったのです。
それには相応の努力と時間を要します。
ドラマやマンガ、あるいは小説などで、何か月も寝ていた人がある日急に目覚め、派手にアクションを起こして逃亡…なんてのを見ると、現実を知らねぇ奴だな…と一葉なんかはつい頭の中で激しく突っ込んでしまいます。
これは作り話だからね~って、暗に告知しているってことですから、プロとしてどうなんだって思ってしまう(笑)
ちなみに一葉、子供の頃は夏休みを使って入院していました。
2ヶ月ほど寝たきりになるのですが、起き上がっていいよって言われる頃には筋力は落ちるだけ落ちていますので、初めは5分とイスに座る事さえ出来ません。
頭にまで血が届かなくなって眩暈がとにかく酷いのです。
それが現実なのです。
動くなって言われてもベッドで動いていた子供でも、やはり起き上がることさえ困難になるのです。筋肉って本当に大切ですよ。
そうそう。
たとえば休日、疲れて一日中寝ていたとします。
そうすると当然、筋力は落ちる訳ですが、元に戻すのにはやはり時間がかかるのですよ。
一日安静臥床で一週間。一週間なら一ヶ月、二週間なら二ヶ月。四週間なら半年と言われています。
この失ってしまった筋力を戻すのにお勧めなのがウォーキング。
マラソンやジョギングはふくらはぎに負担をかけ、急に始めると逆に筋肉を傷めてしまうので、あくまでもウォーキングがお勧め。
膝や腰に負担が少なく必要な筋力が自然につくと言われていますので、日々、意識的に歩くようにした方が良いかもですよ。
キョーコちゃんもたぶん、蓮くんに支えられながらたくさん歩いた事でしょうね。
幸せな二人の姿はいまも一葉の脳内で簡単に浮かんできます。
さて、まだ伝えきれていないことがあると思うのですが、何だったのか覚えていないのでもういいかな。
次回、もし草原の海をお読みになる時は、そうだったのか…と思いながら楽しんで頂けたらまた別の感想が浮かぶのかな、と思います。
それにしても、一年半という月日をかけ、たった一つの作品に1000に手が届く拍手を頂けた事に心から感謝します!!
そしてこんな裏話にまでお付き合いを頂きましてありがとうございました。
今後も少しの智慧と多大な妄想力を絞りに絞って執筆して参ります。
変わらずお付き合い頂けましたら嬉しいです。
よろしくお願いします(。-人-。)
有限実践組 一葉梨紗 拝
⇒草原の海◇今だから言える裏話・拍手
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