SS キスより甘いチョコレート | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 いつもお世話になっております。(。-人-。) 一葉です。


 正直に言う。

 こんなに全力疾走したのって、このブログを運営して初めてかも知れない(笑)

 …ぐらいの勢いで書き綴ってまいりました、蓮誕SS。


 何話まで伸びるんだよ…と思っていましたが本日がラストです。

 相当息切れしておりますが、後悔はありません。


 お楽しみいただけたら幸いです。


 2017年蓮誕・前のお話はこちら↓

 君から一番近い場所【前編 ・後編】

 誰より一番近い場所


■ キスより甘いチョコレート ■





 妻となった彼女とグアムで過ごす最終日。

 俺は、いくつかの店を渡り歩いていた。



 今日、2月14日はバレンタインデー。


 日本では女性が好意を持った男性にチョコレートを贈る日だけど、アメリカでは既婚男性が妻に向けて愛を囁く特別な日なのだ。



 どんなに厳つい顔をしていても

 どんなに不精な男であっても

 この日を無視することはない。


 愛する妻に正面から向き合い、アメリカ中の男達が日頃の感謝と愛を囁く特別な日。



 俺の妻になってくれたキョーコの為に

 俺もそうしようと思っていた。



「 ミスター、おまたせ。キュートに綺麗に、が出来たよ 」


「 ありがとう。…ん、本当に綺麗だ。これなら喜んでくれると思う 」


「 そうだろう?!きっと手放しで喜んでくれるさ 」



 手渡された花束を抱え、嬉しさに笑みを滲ませた。


 妻の下着と、チョコレートと、そして花束。


 もっとも定番だと言われているそれらを無事に手に入れた俺は、その3つを大切に紙袋に収め、何度も確認しながらグアムの街並みを足早に歩いた。





 結婚式が終わったあと、俺たちは一度日本に戻った。


 彼女の母親との対面はとても緊張したけれど

 意外にもあっさりと受け入れてくれたことに俺は心底驚いた。


 二人の関係は良好になった…とまではいかないまでも、それなりに好転したのだと思っていたから。


 俺は本当の姿のままで彼女の母親と対面した。



「 ……あなたがこの男性と結婚するということは、あなたに何かがあったときこの人に連絡が行く…ということよ。それをあなたは理解しているのね? 」


「 もちろん判っています 」


「 そう。それならいいわ 」



 眉間には幾重にも刻み込まれた深い皺。

 あっさりと伏せられて吐き出された溜息。



 彼女を産んだという母親は、そう言ってから俺の方へ視線を向けた。

 娘さんとの結婚を許して下さい…と申し出た俺に。



「 あなたがどういうつもりでこの子と結婚しようと思ったのかは判りませんけど、少なくとも偽装結婚ではないことだけは判りました 」


「 もちろん真剣です。あと2年で成人することが判っていながら、それすら待てないほど真剣に彼女を愛しているんです 」


「 ……お渡し頂いたこれを見れば、定期的にちゃんと収入のあるお仕事があることも分かります。その額と、加えてこの貯蓄額を見ればどの程度のお仕事をしていらっしゃるのかも。

 私に異論はありません。もとよりこの子の人生はこの子のものですから。この子がそう決めたのならいいでしょう。結婚式も終わっているみたいだし 」



 向き合ったのは彼女の母親が勤めている法律事務所の応接室。

 眉間に深い皺を刻んだまま、まるで表情を変えずに淡々と話を進めてゆくその様は俺の想像をはるかに越えていて、正直面食らった…という印象が強かった。


 自分の一人娘が外国人と結婚しようというのに

 彼女の名前を呼びもしない。



「 …では、このままここで少しお待ちください 」


 そう言って応接室に俺達を残し、扉の向こうに消えた母親の背中に向けて彼女は自嘲の笑みを浮かべた。



「 たぶん、安心したんでしょうね 」


「 え? 」


「 結婚式です。終わっているなら自分が参列する必要はないんだって、考えたんだと思います 」


「 ……そう 」



 寂しい…と

 俺がそう思うのはおかしい事なのだろうか。


 こんなにも簡単に、俺の想定外に何の問題もなく話が進んでいくことを素直に喜べない自分がいる。



「 最上さん。俺、ちょっと出て来る… 」


「 ……はい 」



 このとき、応接室の扉を出てすぐ男の人と目が合った。



「 あれ?最上の用事、もう済んだのかな? 」


「 あ、いえ。少し待っていてくれと言われたので… 」


「 ああ、そうか。彼女、言葉足らずだっただろう?娘が結婚するだなんて言って来たことに内心、血相変えているだろうから余計に 」


「 ……変えています? 」


「 …と思う。結局、血は争えないのね、とか考えている事だろうよ…って、君、日本語ペラペラなんだな。見るからに外国人って感じなのに 」


「 ええ、まあ。ところで、血は争えないっていうのは? 」


「 あいつの見た目年齢から娘の歳を引くと、母親がいつごろ娘を出産したのかだいたい想像つくだろう?そういう事だ 」


「 藤道さん!!何なさっていらっしゃるんですか 」


「 いや、たまたま通りがかっただけだ。僕からもひとことお祝いを言いたくて 」


「 それじゃ故意に通りかかったってことじゃありませんか。余計なことはなさらないで下さい 」


「 はいはい、退散しますよ。じゃ 」


「 もう!! 」


「 あの… 」


「 お待たせしました。こちらが国際結婚をするのに必要な書類です。あなたにお渡しします。あの子のこれからのことも 」


「 ありがとうございます。あの… 」



 そのとき、俺たちのやり取りが聞こえたのだろう

 最上さんが扉を開けて顔を出した。



「 あの、書類…ありがとうございました 」



 母親の顔をまっすぐ見つめ、そう言って頭を下げた最上さんを見つめた母親は、そのとき一瞬だけ目力を弱めた気がする。



「 これはあくまでもこちらが用意できる書類よ。申請に必要な証明書は今から行けば発行してもらえるでしょう 」


「 はい 」


「 ひとことだけ言っておくわ、キョーコ 」


「 はいっ?! 」


「 もし離婚するようなことになったら私に言いなさい。弁護士として最大限のことをしますから 」


「 彼女と離婚する予定なんて一生ありませんっ!! 」


「 ……っ……ふ。……だそうよ。いい人を見つけたわね? 」


「 …――――――― ……お…おかぁ… 」


「 気を付けて帰りなさい 」


「 お……お母さん、ありがとう!!!! 」



 二人で深く頭を下げ、再び顔を上げたとき

 最上さんの目には結婚式の時には見ることが出来なかった大粒の涙が溢れていた。




 この二人が、わだかまりを無くした親子として関係を深めていくにはきっとまだまだ時間がかかるのだと思う。


 けれど関係は確かに修復されつつあることを実感出来た。

 それは俺にとって何よりの収穫でもあった。




 買い物を終え、愛しい妻が待つオーシャンフロントのヴィラ風ホテルに向かうバスに乗り込んだ俺は、買い物の最後に手に入れた真っ白なカードに、やはり先ほど手に入れたばかりのピンク色のマジックで沢山のハートマークを書き込んだ。


 バスの揺れのおかげで所々歪んだが、彼女に向かうまっすぐな気持ちに嘘はない。


 中央に、結婚式で宣誓した言葉を刻んだ。



「 バレンタインだねぇ。奥さんに? 」


「 はい。実は先日ここで挙式したばかりの新婚ほやほやで… 」


「 そう。おめでとう。大切にしてね。

 私の夫はねぇ、いまきっと天国からプレゼントを贈れない~って焦っている頃なのよ。だから今年は私があの人のために花束を用意したわ 」



 優雅な帽子をかぶった妙齢の貴婦人は、そう言って胸に抱えた大きな花束を見て愛おしそうに笑った。






 ――――――― もうすぐ

 もうすぐ帰るよ、キョーコ



 そして一緒に日本へ戻ろう。



 新たな気持ちで

 新たなスタートを俺と一緒に始めよう。




 目的地のバス停で降り、一目散に部屋に向かう。

 紙袋に詰めたプレゼントを見下ろし、彼女のために咲き誇っている花束を確認して笑みを深めた。



 部屋に入る直前にチョコレートを一つ口に含もう。


 扉を開けた途端、きっとキョーコは俺を見上げて

 何も言わない俺に向かってどうしたの?って聞くだろう。



 君のために買った下着も

 君のためにしたためたカードも

 君のために用意した花束もすべて俺の気持ちだけど



 君と交わすキスより甘いチョコレートなんてこの世には無いってことをいま証明してあげるよ。



「 コーン、お帰りなさい! 」


「 ん…… 」


「 ……どうしたの? 」



 そう。それが素敵な合図。

 君に甘いキスをあげる。



 口の中いっぱいに溶かし込んだ


 俺からの愛を君にあげる。








   END


お付き合い頂きましてありがとうございました!!

最後に、蓮誕がこんなに長くなることを予想していなかった時に考えていたバレンタインSSを本編と絡め、おまけとしてお届けいたします。



■ キスより甘いチョコレート・おまけ ■



「 あまっ… 」


 唇を放した途端、そう言って微笑んだ彼女の頬にキスを落とした。

 口の中から溢れたチョコレートが彼女の顔にもちょこんとついて、思わず笑いが込み上げる。


「 ただいまキョーコ 」


「 お帰りなさい、クオ…ひっく!! 」


「 ……しゃっくり?どうした? 」


「 う…ごめ……どうしてだろう。なかなか止まらなくて… 」


「 ん?いつから?さっきから? 」


「 うん。実は、懐かしいな、と思って…っ…さっき…っ…ヤシの実のジュースを…っ…飲んだら、こんなことに…っ……っ… 」


「 それ、一人で飲んだの?俺には分けてくれないんだ。いつも二人で半分こしていたのに 」


「 ちがっ…コーンの分も…っ…ちゃんとあっ……っ… 」


「 普通、しゃっくりって驚かすと止まるとか言うけど、既に俺とのキスはキョーコにとって驚くに値しない行為になり下がったってことだね。うん、判った 」


「 …っ…なに…言っ…っ… 」


「 じゃあそれ以上の凄い事をしなくちゃだよな。うん、ちょうどいい。バレンタインで俺、君に似合いそうな下着を買って来たから取り敢えずこれに着替えて? 」


「 ちょっ……っ…やら、コーン…っ…なにする……っ… 」


「 君のしゃっくりを止めてあげる。ついでにこのまま一気に愛を深めよう。

 君のお母さんに許可をもらうまではと思って俺、我慢していたんだから。何もかもが丁度いいから、ほら 」


「 やっん……ちょっとコーン、恥ずかしいぃぃぃぃ!!! 」


「 ……ん? 」


「 あ、ほんと。しゃっくり止まったみたい 」


「 止まるタイミングは今じゃないだろ。じゃあもう一度驚いて 」


「 ちょわあぁぁぁっ!!もう、せっかく止まったのにぃぃ、もう、あんっ、コォォォォォン~~~っ!! 」



♡Congratulation♡



⇒キスより甘いチョコレート・拍手

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※これでラストとか言ったのですけど本当のラストはこちらになりました(笑)⇒内緒のハッピーエンド


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