メリークリスマス♪あんどハッピーバースディ・キョーコちゃん♡♡
さて、本日は後編です。あの出だしで本当に倖せに導けるのか…とお思いの方もいらっしゃったかもですが。
でも大丈夫!二人を倖せにすることは一葉の使命ですから!!
いつものように長いぞ後編。
少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。
2015キョコ誕前編こちら⇒「キャンドルの祈り◇前編」
2015年・祝キョコ誕・SS
■ キャンドルの祈り ◇後編 ■
「 敦賀さん、あの… 」
「 ……シッ! 」
「 ………はい 」
許可を頂いて乗り込んだ助手席で私は声を発することを禁じられていた。
正確に言うと、口を開こうとするたびに敦賀さんがジェスチャーでそれを制した。
たとえそれであったとしても、いつもの敦賀さんなら温厚紳士っぽく柔らかい笑顔を浮かべそうなのに…
この人の顔は整った彫像のように固まった表情のまま。
結局、私たちがまともに言葉を交わした最初はたどり着いたマンションの玄関先で、鍵を解除した敦賀さんが私に振り向いてくれたときだった。
「 最上さん。悪いけどここで少し待っていてもらえる? 」
「 え?はい 」
「 ごめんね? 」
「 いえ、大丈夫ですけど… 」
敦賀さんを吸い込んで、玄関の扉は閉ざされた。
なんだろう?
確かに今日は急遽お邪魔をするわけだけど
まさか敦賀さんに限って家の中が汚いってことは無いわよね。
第一、いままでだって突然訪ねたことはあったけど、この家の中が乱れていたことなんて一度もなかった。
そしてそれを裏付けるかの如く待ち時間はひどく短く
逆に何をしていたんだろうと考える間もないほど。
「 いいよ、おいで 」
「 はい。お邪魔します 」
招かれて足を進めた私が、扉が閉まるとともに思わず驚嘆の声を発してしまったのは、それまで確かに点いていたはずの電気が消えて、自分の視界が急に真っ暗に閉ざされたから。
「 …う…きゃあっ?!? 」
「 最上さん、大丈夫。そのまま少し待って… 」
「 …は…い 」
そのとき、私は気付いたの。
視界に頼れない暗闇の中だからこそ判った。
敦賀さんの声はいつもと同じ、とても優しい声だった。
「 …あ…れ? 」
視界に、優しい明かりが灯る。
暗闇にほうっと浮かんだのは炎のゆらぎ。
一度は途絶えた私の視界を復活させてくれたそれは、よく見ると居間へと続く廊下に等間隔に並べられていた。
「 キャンドル…? 」
「 そうだよ。最上さん? 」
「 はい 」
「 この前、君だけが俺の願い事を聞いていただろ 」
「 …う…はい 」
「 だから君もここで俺と同じ事をしてくれないか? 」
「 同じ…こと? 」
「 そう。最上さん、もうすぐ誕生日だし。日本では、バースディケーキに年齢分のろうそくを立てて一気に吹き消す風習があるけど、あれって本当は一本ずつ吹き消していくものなんだよ 」
「 え?そうなんですか? 」
「 まあ、必ずそうしなきゃいけないってことは勿論ないけど。でも敢えてそれをやって?願い事を唱えながら、一本ずつ炎を吹き消していくんだ。大丈夫。ちゃんと19本用意してあるから 」
「 …ねがい、ごと… 」
…――――――― それって私、年貢の納め時ってやつかなぁって考えて苦笑が浮かんだ。
だって、私が思う事はいつも敦賀さんのことばかりで
だからこそ
この恋心を知られたくはなかったけれど
この人にだけは嘘をつくこともしたくなかった。
だけどそう考えると不思議に思う。
そういえば、なぜあのとき敦賀さんはあの願いを口にしたんだろう。
私、敦賀さんが言ったあの言葉の意味を考えるばかりで
どうして敦賀さんがあの願いを口にしたのかを考えたことは無かった。
「 …最上さん? 」
玄関先で靴を履いたまま、私は敦賀さんが持っているキャンドルに向かって願い事を口にした。
「 敦賀さんがいつも健康でいてくれますように 」
吹き消えたキャンドルを廊下に置き、敦賀さんが新しいキャンドルを私に手向ける。
手招きに従い靴を脱いで一歩を進んだ私は、大きな手に灯った炎に向かい、また願い事を口にした。
「 敦賀さんがいつも、全力でお仕事が出来ますように 」
敦賀さんは何も言わなかった。
「 敦賀さんがいつも笑顔でいてくれますように 」
ただその行動を淡々と繰り返してくれた。
「 敦賀さんを煩わせる人が現れたりしませんように 」
吹き消すたびに私の歩みは進んで行き
まるでキャンドルに誘われるかのように家の奥へと進んで行く。
「 敦賀さんが良いお仕事に巡り合えますように 」
「 敦賀さんの心がいつでも安らげる場所が、必ずどこかにありますように 」
そう言えば、いつか聞いた事がある。
「 敦賀さんに不名誉なことが起こりませんように 」
祈りと願いは
「 敦賀さんが悔やむことがありませんように 」
似て非なるものだと。
「 敦賀さんがこれからもずっと、誰からも好かれますように 」
願いは努力をすれば必ず手に入るとは限らないもので
「 敦賀さんが躓いたりしませんように 」
祈りは
「 敦賀さんが誰かから恨まれたり憎まれたりしませんように 」
そうあって欲しい…と、強く心に思うものだと。
「 敦賀さんが弱さに負けたりしませんように 」
「 敦賀さんの人生がつねに喜びで満ち溢れますように 」
そうだとしたら、いま、私が口にしているこれは
「 敦賀さんが事故に遭ったりしませんように 」
「 敦賀さんが怖い思いをしませんように 」
決して願い事などではなく
「 敦賀さんの努力が必ず報われますように 」
「 敦賀さんがこれからもずっと、お芝居を続けていけますように 」
秘めて来た想いのまま
大好きなこの人に捧げる
「 敦賀さんが抱く素敵な願いは、すべて叶いますように 」
私が出来る、精一杯の祈りなのかも知れない…
18個の願いを口にし終えたとき
私の眼には自然と涙が浮かんできていた。
実際、こんなにも多くのことを自分が口に出来るとは夢にも思っていなかった。
私、本当に、この人のことが好きなんだ。
「 最上さん、どうした?あと一つだよ? 」
「 …はい。ちょっとだけ、待ってください… 」
バカ正直すぎるほど頬を伝う涙を拭って
炎の揺らぎの向こうで私の顔を覗き込む敦賀さんを見上げる。
「 …正直、俺のことばかり言うからちょっと驚いた 」
少しだけはにかんだ敦賀さんのそれを見て、私は
言葉に変えようとしていたその願いに躊躇いを抱いた。
「 敦賀さん、ごめんなさい 」
「 なに? 」
「 最後のお願いは、口にできません… 」
「 どうして? 」
「 それは私には出来ないことだからです。こんな大それたこと願えるわけない。
私が、一生敦賀さんを倖せにしてあげたい…だなんて、そんな、出来もしないこと… 」
想いはとても単純で
そしてとても純粋なもので
敦賀さんへの想いを自覚してから今日まで
私はこの恋心が、自分をどれだけ倖せにしてくれるのか、そのことに気付いていた。
あなたが私の目標で
あなたが私の人生の指針で
あなただけが、私の中で唯一何ものにもかえることができない
かけがのない人なのだ
「 約束です。教えてください、敦賀さん。あのとき言った言葉の意味を。
どうして…?どうして私にあの言葉を聞かせたんですか? 」
「 …最後の炎を吹き消してもいないくせに 」
「 だって 」
「 いいよ、教える。もしかしたら、あれからずっとその事ばかり考えていた? 」
「 考えていました!考えて、考えて、私、禿ちゃうんじゃないかってぐらい思い悩んで… 」
「 うん、ごめんね。
実は、思惑は二つあった 」
「 …ふた、つ? 」
「 そう。もともと俺は、君には誤魔化したり嘘をついたりしたくなかった。だからあのとき、正直に願いごとを口にしたんだ。それが一つ目 」
「 願いって!!だってあの言葉は…!! 」
聞き間違いだったらいい…と何度思ったか判らない。
洋画で良く耳にするガッデム…。goddamnだったらいい…と。
だけどそれでは願いにならない。
そして敦賀さんが聞き間違えをするような発音をするはずもない。
敦賀さんとはかつて、英語だけで会話を成立させていたことがある。
たとえ英語であっても私が、敦賀さんの言葉を聞き間違えるはずも無い。
「 Please, God Damn me…。永遠に、俺を断罪すればいいと思った 」
「 嫌だ!嫌です!!どうしてそんな事を言うんですか?私がどれだけ悩んだと… 」
「 うん、そうだよね。君ならきっと、俺の事ばかり考えてくれると思った。そして必ず、俺を捕まえに来てくれると… 」
「 ………敦賀さん? 」
「 ごめんね。今日に結び付けたくて、俺はずっとわざと君から逃げていたんだ。どうしても今日、君を捕まえたくて 」
「 私を、捕まえる…? 」
「 さっき君が口にしてくれたお願いの数々、すごく嬉しかったな。一つ、とっても気に入ったのがある 」
「 それは、なんですか? 」
「 俺が抱く素敵な願いはすべて叶いますように…って 」
「 ……っ…!! 」
「 最上さん。このキャンドル、早く吹き消して? 」
「 いやです!それは出来ません 」
「 …出来るよ。出来るから。君なら俺を一生倖せに出来る 」
「 なん…でそんなこと言うんですかぁ!!一体、どんな方法だったら私が敦賀さんを倖せに出来るっていうんですか!しかも、一生ですよ!? 」
「 それは、凄く簡単に見えて、でも案外すごく難しいかもしれないこと。
君がずっと俺と一緒にいてくれることだよ。それだけで俺は倖せになれるから 」
「 違います!それは私が倖せになれる方法です!そうじゃなくて! 」
「 そう?そう聞くと余計嬉しいけど、むしろ君は倖せになれないかもしれないよ?なぜなら俺、今日、君がどんなに嫌だと拒絶しても、絶対に君の首を縦に振らせるつもりでいたから 」
「 …ふえ? 」
「 神の鉄槌を受けても仕方のない行為だよね。だから先に懺悔をしたまで。あの時すでに、俺はこの日を想定していた。これが二つ目 」
真面目な顔でそう言った敦賀さんを、私は滲む視界の向こうに捉えていた。
…そう、よね。
よく考えたら
19本のキャンドルなんて用意しておかなきゃ、こんなことは出来ないもの。
今日のこの時を想定していたってことは
私、敦賀さんの手の上で転がっていたってことなのかな。
やっぱり、どうしたって敦賀さんの方が一枚も二枚も上手なんだって
しみじみと痛感した気がする。
だけど、それでいいって思った。
私は、そういう敦賀さんが好きなんだもの…。
「 敵わないなぁ…。どうやったって敦賀さんには 」
「 ん? 」
「 でも、大丈夫です。敦賀さん、私もちゃんと倖せになれます。
だって私、敦賀さんの近くにいられるだけでこんなにも倖せなんだもの 」
そのとき、敦賀さんの家の時計が
25日を迎えたことを教えてくれた。
「 最上さん。19歳のお誕生日おめでとう 」
「 ありがとうございます 」
「 図々しい事を言うけど 」
「 はい? 」
「 今年のプレゼント品は俺だから 」
「 え?…ふふっ。もう、信じられないぐらい、すごく嬉しいです! 」
灯ったキャンドルを吹き消した途端、視界はまたゼロになった。
キャンドルがテーブルに置かれたんだろう音が聞こえて来たあと、私を抱きしめてくれた温かい胸と腕に縋り付いた。
19歳を迎えたクリスマス当日。
私は
大好きな人から
一番欲しいと思っていたものを頂きました。
E N D
ふふ♡やっべ!超可愛い!!( ´艸`)そして見事なハッピーエンド!!
キョーコちゃんの優しい心が彼女自身を癒してくれますように…。
キョーコちゃん、お誕生日おめでとう♡
そして、メリークリスマス♪
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