気まぐれ連載、2話目お届けです。一葉です。
このお話はサクっと進めて誰にも忘れられないうちにサクッと終わらせるつもりでおります。
さてこちらのお話、魔人sei様のリク罠№160 をお題として頂きました。
内容を確認したい読者様はこちら↑リンクでご確認下さい。
現代設定パラレル蓮キョ。最後まで突っ走れるかどうかは読者様の反応と一葉のやる気次第です(笑)
短く完結する予定でおりますが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです♡
前話こちら【◇1 】
■ 恋する生徒会長 ◇2 ■
翌日の放課後、俺は社さんに連れられてLME女学園に足を踏み入れた。
耳に届くざわめきにうんざりしながら無視を決め込む。
「 ぎゃー!!あれ、敦賀蓮だぁ 」
「 すごっ、背、高っ!かっこいい~!!本当に王子みたい 」
「 あ、社さんも一緒にいるー 」
「 ねね!声かけない?これ、チャンスじゃない? 」
「 えー?マジ?どうしよう!どうするぅ 」
「 ねえ、挨拶しちゃう?勇気出しちゃう? 」
「 女嫌いって言われてるけど、そんな人に笑顔で挨拶返されたら脈ありってことじゃない!? 」
「 きゃー!!!!そうかもぉ!! 」
脈って何の脈だよ。
だいたい、冗談だろ?
見ず知らずの君たちになぜ俺が笑顔で挨拶を返す必要があるんだ。
ああ、でももし最上キョーコがいまの俺の立場だったとしたら
確かに笑みを浮かべるのかも知れないな。
「 蓮、こっちだ 」
「 あ、はい 」
ざわめきは歩くたびに耳に障り、似たり寄ったりなセリフがあちこちから聞こえて来ていた。
「 隣の生徒会長よ 」
「 ほんと、聞きしに勝るイイ男だわ 」
「 やばいほど腰砕けになりそうじゃない? 」
「 声かける?今なら挨拶返してくれそうじゃない? 」
冷徹に、それら全てを聞き流す。
もともと自分は、この容姿が異性の目を惹きつけるのだという事をずいぶん前から自覚していた。
だからこそ、様々なことを学習してきた。
余計なしがらみを寄せ付けないために、無関係の人間に良い顔をしないのはその学習の賜物。
だから自然と女嫌いのレッテルが貼られたのだろうが、自分が敢えてそれを否定しないのはそれで不都合がないからなのだ。
生徒会室と書かれたドアの前に立つと、ノックをする前に入り口が解放されて俺たちは室内に踏み入った。
ドアを開けて出迎えてくれた副会長が軽く俺達に会釈をかます。
「 いらっしゃいませ。ざわめきだけでお二人がどこを歩いているのか判ったわ 」
副会長の琴南奏江が静かにドアを閉めると、ようやくざわめきから解放されて一呼吸つけた気がした。
「 男子校に女子が来るよりは俺たちが出向いた方がいいと思ったんだけど、まだ生徒が大勢いてちょっと驚いたな。な、蓮 」
「 …そうですね 」
予想以上に人目があって
正直、動物園のパンダになった気分だったけどね。
「 そりゃ、それだけ整った顔の男が二人も雁首揃えた日には、女子も浮足立つってもんでしょ 」
「 はは…。蓮だけじゃなく俺までついでに褒めてもらって光栄だな 」
いつもの冷静な態度を崩すことなく声を滑らせた社さんの隣で、俺は黙って視線を一巡させた。
扉を閉めた黒髪ロングの美女が副会長、琴南奏江。
頬杖をついて社交辞令を吐いたのが書記の天宮千織。
礼儀として顔ぐらいは把握しておけ、と社さんからもらった情報は既に頭に入っていた。
そして…
「 初めまして。お忙しいなか足を運んでいただいて有難うございます 」
生徒会長席から腰を浮かせ、右手を差し出した人物に視線をくれた俺は
「 LME女学園で生徒会長を務めております、最上キョーコです 」
そう言って柔らかい笑顔を浮かべた彼女を冷めた視線で見下ろした。
そもそも、LME女学園の生徒会長に納まっている最上キョーコという女性は、男嫌いの才色兼備ともっぱらの噂だった。
登校途中に幾度か見かけたことがあって、確かに見た目は可愛い、と俺も思っていた。
だが、男嫌いが聞いてあきれる。
どんなにいい男が声をかけても鋭い目つきで見返されるだけ…という噂話を聞いていただけに、その光景を初めて目の当たりにした時は、噂話ほど当てにならないものはないな、と思ったものだ。
今朝もそうだった。
いつもより早めに登校を済ませ、所属する生徒会室の窓から校門に視線を向けた俺の視界に入った光景は、とても陳腐なそれだった。
「 おはようございます、最上生徒会長 」
「 おはようございます 」
女学園の制服に身を包んだ女子たちが笑顔を浮かべて生徒会長に頭を下げると、声を掛けられた生徒会長も笑顔を浮かべて挨拶を返していた。
もちろん、それ自体は特になんてことの無い光景なのだが、問題はこの後だ。
「 お、おはようございます、最上キョーコさん。今日も可愛いですね! 」
行き過ぎる女子に紛れて男子学生が彼女に声をかけた。
男嫌いなら当然ここで、仏頂面を下げそうなシーンなのだが…。
「 そうですか?有難うございます 」
初めて俺がそのシーンを目撃したのと同じ
彼女は華やかな笑顔を浮かべたのだ。
最上キョーコの笑顔が見たいなら、学校付近に限るらしい。
その噂が流れて来たのは、初めてその現場を目撃してから間もなくのことだったと記憶している。
生徒会長という肩書きがそうさせるようになったのか、はたまた教師の目を意識してのことなのか知る由もないが、とにかくこの最上キョーコという女性は、LME女学園の近くで声をかけられたときに限り、男女問わず笑顔で挨拶を返すようになったのだ。
――――― そんな男嫌い、あるか…?
勧められるまま椅子に腰を下ろした俺たちの対面に自分の場を設けた最上キョーコは、左右に取り巻きを置いてから実に柔和な笑顔を浮かべた。
それ。
その笑顔に騙された男が何人いると思ってるんだ。
全ての感情をかみ殺し、どうも、と簡素な挨拶文を口にして視線を伏せると、天宮千織が生徒会長の肘をつついた。
「 流石に申し分ないでしょ?進学校LMEで生徒会長を務める眉目秀麗なこの男と付き合うってことになれば、合同学園祭も無事に乗り切れると思うわ 」
「 …そりゃそうかも知れないけど、でもそもそも人を巻き込むなんて… 」
「 ダメよ、キョーコ。アンタも納得したことでしょ。あんた、この学園の生徒会長よね? 」
…どこかで聞いたセリフだな。
「 そりゃそうだけど…。でもショーちゃんだって本気じゃないと思うのに… 」
「 甘いわよ!アカトキのバカ生徒が大量に流れて来ることを想定しておかないと、本気でとんでもない事になるわよ 」
「 そうですよ。せっかく男嫌いって噂が浸透したのに…って。あら、人がいたんだっけ…って、ま、いいか 」
「 大丈夫でしょ。別に言いふらすこともないでしょうし。第一、この人達ならウチの生徒に害を及ぼすこともないでしょうしね 」
本人の目の前で勝手に進む会話を聞き流しながら、憮然としつつ俺はそのとき脳内で様々なことを考えていた。
…やっぱり男嫌いは仮面だったんだ。
会話の内容から、どうやらアカトキにショーちゃんって知り合いがいるようだけど。
あそこは共学校ではあるがガラの悪いのも大勢いるからな。
この子に告白をして玉砕した男は大勢いると聞いている。アカトキの中にそれが居ないとも限らない。
大方、中学時代の同級生であるショーちゃんとやらが、最上キョーコと知り合いだと自慢でもしたんだろう。男嫌いなんて噂を流したところで、女友達のツテを辿られたら無視を決め込む事は難しい。
それに、友人のショーちゃんとやらとの友好関係にも少なからず影響が出るだろうしな。
それで、男ができたって事にしたくなったって所かな。
何にしても、才色兼備にしては処世術が甘いんだよ。
場所を選んで笑顔を作って男心を弄ぶ真似なんてするから自分の手に余る事態になるんだ。
そんなツメの甘い女と、よりにもよってなぜ俺が付き合わなければならないんだ。
「 興味の無い人間の噂話を流すほど俺も暇じゃないんでそれに関しては心配無用。だけど、俺と違ってそちらの生徒会長はウチの生徒に害を及ぼしていそうだよね。男嫌いの割に愛想だけは名前通りの最上級のようだし…って。ああ、男嫌いは仮面だったね 」
「 蓮!お前、なんてことを言うんだよ。これからお世話になろうってのに… 」
「 本当のことでしょう。それに、俺がお願いした訳じゃないですよ 」
「 バカ!俺がお願いしたんだよ 」
言いたい事ぐらいは言わせてもらう。
どうせ、社さんが決めたことには逆らえないんだ。
「 おや?こちらも同じ事情を抱えてるって話ですよね?お互いがお互いの利害のために手を結ぶ以上、立場は対等のはずです。話を持って行った方が下、ってことはありませんよ 」
同じ事情?
自分で言っておきながら皮肉めいた笑みが浮かんだ。
全然違うよな。
なぜならこちらのお嬢さんは、自分でその種を蒔いているんだから。
自分と同列だと思われるのは不愉快だ。
あからさまに機嫌が悪い俺に視線をくれた最上キョーコは、クス…と勝気な笑顔を浮かべた。
「 仕方ないでしょう?それしか方法が見つけられなかったんだから 」
「 …なに? 」
「 ご存じでしょうけど、LME女学園は女子高なんです 」
「 知ってるよ 」
「 歴史ある学校ですから、当然それに魅力を感じて入学してくる生徒が大勢いる訳ですけど、中には男子が苦手で逃げる様にこの学園に入学した子もいるんです。なのに隣は男子校。いたたまれないでしょう? 」
「 ………だから? 」
「 言わば私は目くらまし。これでも初めはどこでも無視を決め込んでいたんですよ。でも登下校時間は自分以外の生徒も大勢いるので… 」
「 ああ、人目があるから良い顔をしたいってこと? 」
「 違います。敦賀さん、人の話を聞いていました?私が無視をすると、その腹いせを他の生徒で解消しようとする人がいる事に気付いたんです。だから、無視することをやめただけですよ。学校の近くではね 」
それは、余計なしがらみを作るだけじゃないのか?
身に降りかかる火の粉が増えるのを承知でその道を選択するなんて俺には考えられない。
この女、本当に才女なのか?
「 私、生徒会長ですから。生徒の安全を確保するのも仕事のうちだと思っているので 」
俺の頭の中に浮かんだ問いに答えるように
平静な態度でそう呟いた勝気そうな笑顔が俺を静かに見据えたとき
限りなく澄んだその瞳の中に
生徒会長としての責任感の強さと
彼女個人としてのプライドの高さが
美しい光彩を放った気がして
俺は知らず、彼女の瞳を食い入るように見つめていた。
⇒3話 に続く
予定より長くなってしまって2分割にしようかと思ったのですが、それはそれで中途半端になってしまうのが嫌だな、と思い長いままで1話にしました。
ふふふふ……( ̄▽+ ̄*)…ふっふっふ…。
これで本当に6話でラブラブになるのか…?とお疑いでしょうが(笑)
まあ、温かく見守っていて下さいませ♡ ←まだ3話目書けておりませんけどね
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