SS 春の妖精 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 どうも♡未来の皆様。ただいまの一葉の時間軸、2015年9月です。

 へへ(●´ω`●)ゞつまりこの記事、以前にセットした予約投稿です。

 事前に目次チェックして下さっていた方は、おいおい…って思われていたでしょうね(笑)


 発掘作業は面白いのですけど、こうして思いっきり季節外れの物を見つけてしまうと流石にどうしてくれようか汗…といつも思います。

 しかも春って…(^▽^;)戻った方が季節近いんだもん。いや、戻れませんけど…。


 書いた時にすぐUP出来ればこんな問題、起きないのですけどねー。あははー。

 そういうこと全部ひっくるめて、結局は闇に葬る事が出来ず予約投稿になりました。

 少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。


■ 春の妖精 ■





 ピークを過ぎた淡いピンク色の花びらたちが

 一斉に大地に色を添える桜吹雪の季節になったある日




 信じられないことに

 また東京に雪が降った。






「 もぉ―――――― っ!!信じられないほどさぶいぃぃぃぃ…… 」




 さすがに雪は降らないと思いますよ…なんて

 朝見た情報番組で天気予報士のお姉さんは春風のような笑顔を浮かべていたけど


 雪…というキーワードが出た時点で、私はそれを疑うべきだった。




「 いやぁぁぁ…。気合い入れて春物で揃えたのにぃぃぃ!! 」




 ガタガタと震える身体を抱きしめながら、逃げるようにLMEビルに駆けこむ。




 柔らかい素材の薄地のブラウス


 パステルカラーのふんわりスカート


 真っ白なロングシャツを羽織った理由は



 少しでも女の子っぽく見せたかったから。




 辺りを見回してみたけれど、やっぱり求める人の姿はどこにも無くて

 じんわりと私の眼に涙が浮かぶ




 …もともと、敦賀さんとは逢えない確率の方が断然高い。



 やっとロケから戻ってくると聞きかじって張り切ってはみたものの


 約束もしていないのに偶然、顔を合わせる…なんてことは

 本当は奇跡に近いことなのだって、最初から判っていた。



 だけどそれでも…って思ったの。

 あの人にこの恰好の自分を見て欲しかった。



 まるで春の妖精を思わせる柔らかい色とデザインの服を着て


 少しでも可愛く着飾った自分の姿を

 あの人に見て欲しいと思った。



 だから手に入れた春物のコーディネイトで

 頑張って自分を装ってみたものの


 目的を達成する前に私の心は破滅寸前になっていた。




「 もぅやだぁぁ…ムリぃぃ!!せめて温かい物が飲みたいぃ… 」




 ともすれば歯さえもかみ合わなくなりそうなほど寒さが戻った東京は

 愚かな私を嘲笑うかのように冷気を漂わせている。



 ビルの中に入った事で寒さはいくらか軽減されたけれど

 私はラブミー部室には向かいもせずに自販機コーナーに駆けこんだ。



 もう、いい!!

 こんな時にはむしろ敦賀さんに逢いたくない。



 だってこれ、完璧に季節ガン無視だもの。


 今日こんなに寒いのにその格好?…なんて笑われ方をされたら立ち直れないわ!




 缶コーヒーを両手に抱き

 震える肩を慰めながらベンチに腰掛け

 祈るように瞼を閉じた私の耳に届いたのは社さんの声だった。



 はたから見たらきっと私、10センチは飛び上がったに違いない。




「 あっれー?キョーコちゃん!今日はラブミーツナギじゃないんだ?それ、春っぽくてかわいい服だねー 」


「 ピャッ!!…や…しろさん…と、敦賀さん…。こ…こんにちは。お久しぶりです 」


「 久しぶりだね、最上さん。その私服、可愛いね。君に良く似合っているよ 」


「 あ、りがとぅ…ございます… 」



 本当に私って間抜け!!

 よく考えたら自販機コーナーって、駐車場からの通り道じゃないの。



 腰を浮かせて慌てて頭を下げた私は、けれど身体を起こしても敦賀さんの顔を見ることは出来なかった。



 …褒められたのだから喜んでいいのかも知れないけれど

 心がちっとも高揚しない。




 だって、こんなにも今日の天気にそぐわない服装なのに

 それを似合ってる…なんて言われちゃったら


 この間の抜けた感じが私っぽいよね…って

 そう言われている気がして…




「 …ん?最上さん? 」


「 は、はい!? 」


「 もしかして寒いの?肩が震えてる 」


「 はい、実は 」


「 あれ?あーそっか。今日、雪なんて降っちゃったもんなー。じゃあキョーコちゃん、いま時間ある? 」


「 はい。大丈夫ですけど… 」


「 んふふー。じゃあ、お兄さんが温かいものをおごってあげよう。ちょうど帰って来たばかりでゆっくりしたかったし 」


「 へ?いえいえ、大丈夫ですよ、社さん。私いま缶コーヒー買いましたし… 」


「 そんなこと言わないでキョーコちゃん。それに、缶コーヒー1本じゃちょっとのあいだ手を温める事しか出来ないと思うんだけど、違う?

 だから、少し早いけど一緒にお昼でも食べようよ。ね?お前もいいだろ?蓮 」


「 そうですね。いいと思います。

 …最上さん、社さんもああ言ってるし、遠慮しないで時間があるなら俺たちに付き合って?社さんからのご馳走が嫌なら俺がご馳走するから 」


「 そ…そんなっ!嫌とかそんなのないですよ! 」


「 俺がキョーコちゃんにご馳走するのが嫌なのはむしろお前の方だろ。……ま、いいか。じゃ、行こうか。何がいいかなー 」



 えええ~~~~??


 確かに!!

 確かにいまはまだ温度を保ってはいるけれど、缶コーヒー一本で身体が温まるはずも無いけれど。



 だけどぉ…


 お二人だけじゃなくて、行った先にいらっしゃる方たちにまで私

 季節ガン無視って思われるじゃないですかぁ~。


 さすがにそれはちょっと嫌ぁぁ…。



 それでも華麗なスキップを踏んでいる社さんのあとに続き、勇気を振り絞って一歩を踏むと……。



「 あ、最上さん、ちょっと待って 」


「 はい? 」


「 俺の荷物の中に…っと、はい、あった。これからもっと寒くなるかもって誰かが言ってたから、実は新作のストールを貰って来たんだ。それを使って? 」


「 えええっ!?アルマンディの新作っ??いえ、いいですよ、そんな!仰る通りこれからもっと冷えると思いますから、敦賀さん、ご自分で使って下さい! 」


「 俺は大丈夫だから。これ割と大きめだからショール代わりにもなると思うし。

 それに、女性が持ってもおかしくない柄だから、もともと君にあげられたらなって俺、考えていたんだ。だから遠慮せずに貰って? 」


「 ……私にって…ほんとうに? 」



 優しい笑顔を浮かべて

 そうだよ…と甘い声で囁いた敦賀さんは



 まるでドラマのワンシーンのように私の肩にストールを巻いてくれた




 こんなに薄い布なのに

 まるで敦賀さんの優しさがしみ込んだみたいにそれはすごく温かくて…



 本当に、目に涙が滲むほど嬉しかった。




「 …うん、良かった。やっぱり君に似合うよ。いつも君にはお世話になっているから遠慮せずに受け取って?

 今日に限らずね、春先はまだ冷える時間があるし、出来れば毎日使ってくれると嬉しいかな 」


「 …ありがとうございます。今日、予想以上に寒くて…。

 私にって敦賀さんが考えて下さったってだけで嬉しいのに…。いま私、こんな場違いな格好だから。だから余計に嬉しいです 」



 一拍の間をおいて

 折り曲げた人差し指を自分の顎に添えた敦賀さんが


 柔らかく目を細める。



「 ん?場違い?そうかな。俺はそう思わないけど 」


「 だって外、雪ですよ? 」


「 うん、そうだね。ちなみに明日は昼間、春らしい陽気になるらしいよ? 」



 敦賀さんのその言葉に、自嘲の笑みがふっと漏れた。


 私ったら今日

 敦賀さんに逢えるかも…って、そればっかりを考えていたから


 明日の天気のことなんて、まるで考えていなかったの。



「 明日ですか…。明日だったらきっとこの服だけでも寒くなかったんでしょうね 」



 そう言った私の言葉で

 クスリ…と笑った敦賀さんは



 膝を曲げて腰を落とし、ガックリと肩を落とした私の顔を覗き込んだ。



 端正な顔に浮かんでいたのは私を甘やかす優しい笑顔。


 その眩しさに、自然と私の足は泳ぐ。




「 最上さん…?明日、東京は春の陽気になるらしいよ? 」


「 うきょっ!は…はい、聞こえましたけど…?? 」


「 …何で逃げる? 」


「 だ…だだだ…だってっ!! 」



 あなたの顔がものすっごく神々しくて

 互いの距離の近さに心臓が飛び上がっちゃったんだもの!


 2歩下がったのは自分の命をつなげるためですっ。



「 ま、いいや。あのね、たぶん春の妖精が舞い降りたからだと思うんだ。ちなみにその子はいま俺の目の前にいるんだけど 」


「 …は…る、の…? 」



 三度まばたきを繰り返し


 急いで辺りを見回した私を見つめて


 敦賀さんはさらに笑みを深めて私の耳元に近づいた。



 私の肩と頬に触れた敦賀さんの温かい手と指の目的は

 私にぬくみを与えることではなく、きっと私を縫い付けることだったに違いない。




「 だから、君のことだよ。春っぽい装い、本当に可愛いよ?……ん 」


「 うきゃ―――――――っ!!な…な…なにをぉぉぉ… 」


「 春の妖精に歓迎のキス 」


「 二人ともーっ!何をじゃれ合っているんだ!おごってやらないぞー! 」


「 あれ?お兄さんがご立腹だ。最上さん、早く行こう?そうそう。寒くて歩けないなら抱っこしてあげようか? 」


「 んなーっ!!も、もう寒くないから大丈夫ですっ!! 」


「 そう?残念。ほら、行こう? 」


「 ……は、はい! 」



 眉尻を下げてクスリと笑った敦賀さんの優しい顔は本当に素敵で



 私の頬に触れた唇と指先の温もりを思い出すだけで


 恥ずかしくて

 なのに凄く嬉しくて



 本当にこのまま

 春の妖精のように空に舞い上がってしまいそうだと思った。




「 蓮…。いまこの耳にキョーコちゃんの叫び声が届いた気がしたが、お前、何かしたのか? 」


「 え?それは気のせいじゃないですけど悪いことはしていませんよ?

 俺、最上さんを祝福しただけですから。…ね?最上さん? 」


「 そ…そうですねっ!!えっと…。そう!!このストールを頂いて!!嬉しくて叫んでしまったんです!! 」


「 …なんだ?祝福って… 」


「 社さん、そこは追及なしでお願いします 」






 身体はまだ少し寒さを覚えてはいたけれど



 敦賀さんの香りを放つアルマンディの新作ストールに守られて

 その大きな手に引かれて一歩を踏み出した私の心は



 いつのまにか、春爛漫な陽気に変化していた。






 今日、あなたに逢えてすごく嬉しい。








     E N D


ちょっぴり手が早い蓮君♡(〃∇〃)

きっと久しぶりにキョーコちゃんに逢えて感激しちゃったのでしょう。


そして、蓮君が持っていたアルマンディの新作ストールは絶対一点ものだろう…と妄想する一葉。人とかぶるものなんか絶対あの人、キョコにプレゼントしそうにない(笑)


※この妄想、2015年の春に実際に起こった桜が散る頃に降った雪の日に書いたものです。すっごく寒くって!どうしてくれようか、と思ったのに次の日は少し暑いくらいの春爛漫で、このやろう…と思ったのを覚えています(笑)



⇒春の妖精・拍手

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