SS 春花の塵 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 にょほーい♡о(ж>▽<)y ☆両片想い萌え・いちよーでーっす♪

 取り敢えず元気でーす!


 そして頑張りましたっ♡(`・ω・´)キリッ☆ ←エラそう・笑

 発掘しました、発掘しました、発掘しましたーっ!!

 はぁ~良かったわ♡これで来年に持ち越しなんて危険な橋を渡らなくていいのねっ。


 両片想いのスペシャリスト・一葉がお贈りいたします本日の原作沿い両片想い蓮キョ。もちろん時節モノです。


 念のため申し上げておきますと、本日のこちらはキョーコちゃんサイドなのですが、発掘品ですのでね。蓮さまsideをキュルっと搾るのはムリだと思いますのでー。あらかじめご了承くださいませねー(笑)


~~ しゅんかのぢん ~~

■ 春花の塵 ■





 今日、卒業式があった。


 自分は一年遅れで入学した学校だから、今日卒業していったあの人たちとは縁もゆかりも全くなく、関わり合いも一つも無い。

 自分とはただ同じ学び舎を利用した、同年代の人間だということだけ。



「 卒業、おめでとうございまーす! 」


「 頑張ってくださいねー 」


「 これからも応援しています!ご卒業、おめでとうございます! 」



 飛び交うエールに耳を傾け、ただひたすら、自分は拍手を送り続けた。

 他人の卒業式だというのに、こんなにも自分の胸にこみ上げてくるものがある。



 来るべき時が来たとき、果たして自分はきちんと卒業することが出来るだろうか?


 やるべきことを見極め、やらなければならない事をきちんとこなす。

 そんな人間になっているだろうかとまだ見ぬ未来の自分に向けて、自身に疑問を投げつけた。



 だけど、なっていたらいいな、と思う…。そんな自分でありたいと願う。


 夢を追い続け、戦い続けるあの人のように

 自分もそんな人間でありたい


 それにもし、ちゃんと卒業することが出来たら

 いまよりずっと大人になれたと、きっと実感できるに違いないから





「 最上さん。今日、学校で卒業式があったんだって? 」


 式が終わってラブミー部室でそれを反芻していた私に向かって、休憩させて、とやってきた敦賀さんは、私が淹れたばかりのコーヒーに口を付けながら柔らかい笑顔を浮かべて頬杖をついた。


「 はい。さすがに芸能学校だけあって、花束の数はお見事の一言でした。それらが風にあおられて花束から零れ落ちた花びらが、祝福するように空を舞ったときは圧巻で、とても美しくて…。自分には関係のない儀式だったのに、胸に迫るものがありました。…敦賀さんにも見せてあげたかったです 」


「 そう?…じゃあ最上さんが卒業する日は俺、見に行こうかな。それこそ大きな花束を山ほど抱えて 」


「 ええっ!?冗談ですよね?ダメですよ、そんな。だって敦賀さん、その頃は今よりもっとお忙しいでしょうし、それにウチの学校に敦賀さんがいらしたら、それこそパニックになっちゃいます!ダメです! 」


 きっぱりと私がそう言い放つと、敦賀さんはほんの少しだけ顔を曇らせて苦笑した。

 そんな姿でも素敵だなんて、なんだかちょっとズルイと思っちゃう。


「 …そんなにハッキリ否定されると少し悲しいな。じゃあ最上さんは、社長からのお祝いがあればいいって事か。残念だな… 」


「 へ?社長のお祝い…? 」


「 あれ?最上さん、知らなかった?君がいま通っている学校の敷地内でね、卒業式当日に社長が盛大に卒業祝いをしてくれるんだよ。ほら、社長と校長先生、顔見知りだろう?だから多少の融通が利くんだろうね。その学校の生徒の特典ってやつだと思えばいいのかな。LME所属で最上さんと同じ学年の在学生はいないから、その時は君一人のためってことになる。…嬉しい? 」



 このときサーっと血の気が引いた…なんて言ったらやっぱり失礼に当たるのかしら。



「 えーっ?!し…知らないですよ、そんな特典があるだなんて…。あの、でもそれ、もちろん敦賀さんの冗談なんですよね? 」


「 ん?本当の事だけど?そうですよね、社さん? 」


「 うん、そう聞くね 」


「 そ!!そんな恐ろしいコトが…?そ…それは回避のしようが無いのでしょうか? 」


「 どうかなぁ…。社さん、どう思います? 」


「 んー?…――――― そうだなぁ…。ああ、でも、キョーコちゃんがどうしてもってお願いしたら、蓮なら何とか出来そうな気がするけど? 」


「 えっ!?敦賀さんなら何とか出来るんですか?本当ですか!? 」


「 …うん?何とかして欲しいの? 」


「 でもキョーコちゃん、俺はそれ、もったいないと思うよー?だってあの社長のお祝いだよ?かなり見ものだと思うし、一生記憶に残ること間違いナシだよ。噂にしか聞いた事がないから、俺も見てみたいかなー 」


「 …でしょう?じゃあ社さん、最上さんの卒業式は最優先って事にしておいてください 」


「 おっ!じゃあ、そうするか!? 」



 ちょっともう、本当にずるい!

 私の事をネタにして、二人だけでそんなに楽しそうに意気投合するなんて!



「 もう、ひどいです!お二人とも他人事だと思って。高校の卒業式は一生に一度ですよ!私は平穏で厳かな式が良いですっ! 」


「 …だってさ、蓮 」


「 最上さんがそう言うなら仕方ないな。じゃあ、それは何とかしてあげるから、だから俺は行っても良いよね? 」



 変わらず頬杖をついたままの敦賀さんが

 少しいたずらっ子な笑顔を浮かべている。



 ……これって…

 私、ひっかけられた…とか、そういうことではないわよね?



「 …本当に、何とか出来るんですよね? 」


「 誠心誠意、努力するよ? 」


「 じゃあ、お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いします… 」


「 はい、了解。社さん、そういう事なんで 」


「 OK!りょうかーい!! 」



 なんだか社さんの返事まで軽い気がするのは私の気のせい?



 本当に良かったのかしら…と、ぶつぶつ言いながら


 でももし本当に敦賀さんが来てくれたら

 当日、卒倒しちゃいそうかも…なんて、想像しただけで頬の筋肉がほにゃりと緩んだ。




 卒業式のその日は

 いまよりもっと、自分が大人であったら嬉しい


 たとえば自分が敦賀さんの隣に立ったとしても

 まったく遜色のないような、そんな自分だったら本当に…



 だけどこの時ふと思った。


 きっとその日がやって来ても

 自分はたぶん、卒業なんてしていないんだろうな…って




「 …ん?最上さん、どうした? 」


「 え? 」


「 いま、凄く誇らしい顔をしていたから。…なにを考えていたの? 」


「 ええっ?誇ら…?いえいえ、別にそんな、高尚なことなんて全く何にも考えたりとかしていないですよ 」


「 そうなの? 」


「 はい!そうなのですっ! 」





 いつか学校は卒業する。

 それは、まず間違いなく訪れてくれる未来だと信じられる。




 だけど私は、こうも思うの。



 もしも私に、一生卒業できないものがあるとしたら


 それは



 敦賀さんを好きだと想う、自分の恋心に違いない…って






    E N D


去年、この時期に代マネあたりのコミックスを読み返しながら妄想したと記憶…。発掘できて本当に良かった(^▽^;)

これで今年タイミング外したら、いさぎよくボツにするところだったわ♡


タイトルは春の季語をモジってみました。イメージは風に舞った花びらが霞を作る…的な♡

⇒春花の塵・拍手

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