同時上映祭り会場へようこそ!( ´艸`) 一葉でっす♪
何だか不思議ね、と思った方も、すぐにピンと来た方もいらっしゃったでしょう、本日のタイトル♡
実は先日、マリモ様宅でUPになったパラレル蓮キョ…の続き妄想だったりします(笑)
本来なら捧げものSSですから当然、マリモ様宅のみでUP…が普通なのですが、あろうことか続きを書けそうな予感まであったりして、マリモ様にお願いして同時上映ならぬ同時UPとさせていただきましたのです!
一葉ってばマリモ様のお話を拝読するたびに、いつも何となく続きを考えてしまうのよ♡
そんな訳で、もし読まれていないわって方がいらっしゃったら是非、リンクから飛んで行ってマリモ様のお話を先にお読みくださいませ!!
前話となるマリモ様のお話はこちら⇒「愛の戦士は悪と敵対する…のか?」
あー…( ̄□ ̄) いつものことながら一葉のお話は長いので、その辺はあしからずー。
■ 愛の戦士は悪と敵対…しないらしい ■
その日、キョーコは某デパートの化粧品売り場の一角で非常に悩んでいた。
ラブミー部員1号こと、最上キョーコ。
自身が所属する地球防衛軍の最高司令長官であるローリィ宝田から勅命を受けたのはつい先日のこと。
努力と根性が取り柄…と自負するキョーコではあったが、実は彼女が愛の戦士…という名の地球防衛軍の前衛として仕事を引き受けたのには訳があった。
それはある意味とっても切実な問題で、彼女にとっても仕事に対する覇気というか、どれほどの心血と努力を捧げるか、そのさじ加減にもかかわって来る重要な問題でもある。
その理由とは…
―――――― 特別手当が入ることで給料が少しだけ上がる…ということ。
しかし、いかんせん世の中はなかなか自分の都合よくは動かないものである。人前に出ることが多くなれば相応の悩みもまた出て来るというもの。
愛の戦士…というからにはそれなりに身だしなみには気を使わねばならず、キョーコは以前より興味こそあったものの、高くて手が出せなかった化粧品類に手を伸ばさざるを得なくなっていた。
…が、それに関するあれこれは自費で賄わなければならない。結局のところ、給料が上がったとはいえそれで裕福な生活に転じるか、といえば決してそうはならず、これがラブミー部員1号ことキョーコの目下の悩みの種であった。
「 …こっちの方が機能性高い…けど、こっちの方がちょっと可愛くて少し安くて量もある。…うーん…どっちにしよぉ… 」
悩みは大きく惑いは深い。
すでにどれほどの時間が経過したのかも判らないほど化粧品売り場の前で佇んでいたキョーコ。
そのタイミングでまさかの秘密結社の総帥が現れる。
――――― あ…あれは…。
スクリーン越し…。自分に向かってぺこりと丁寧に頭を下げ、挨拶をしてくれたキョーコの仕草を思い浮かべ、悪の総帥である蓮はニヤリと不敵に口角を上げた。
――――― まさか、外の様子を見に来て彼女と対面するとはな…。
これも神の采配だろう…と蓮は長い手足を優美に揺らしながらキョーコに一歩、二歩と近づいた。
悪の秘密結社である自分たちの矢面に立とうという少女。彼女は栄えあるその1号である。
その実力はいかに…とばかりに蓮は気配を殺し、彼女の背後に近づいた。
ざわめく女性店員の恍惚たる表情やざわめく黄色い声などはまるで無視して、彼はキョーコだけを見据える。
彼女の後ろまであと3歩、という距離まで近づいたところでキョーコの余りの無反応さに蓮は思わず感心を覚えた。
へえ…これだけ近づいても振り向く気配さえない、か。
それほど自分に自信があるってことか…。ふ…ん。面白い…。
フ…とニヒルに笑みを浮かべ、彼女の痩躯に手を伸ばした蓮はいたく冷静にその細い肩に自分の手を置いた。
思惑を孕み相手を陥れるための眩しい笑顔を繰り出すのはむしろ蓮の得意技である。
「 …え? 」
しかし振り向いた一瞬の素顔。なんのてらいもない彼女の素の表情はとてつもなくかわいすぎた。同時に蓮の似非紳士スマイル攻撃はラブミー部員1号には全くと言っていいほど功を奏さない。
どれほどの手ごたえを味わえるのかと思っていた彼の予想は見事に打ち砕かれ、さらなる予想外の攻撃に蓮は戸惑いすら覚えた。
「 あ、こんにちは。先日はどうも 」
丁寧にぺこりと頭を下げられ、思わず自分も頭を下げる。
「 いや…こちらこそ。先日はご丁寧に… 」
公衆の面前とはいえ――――――― 何をやっているんだ、悪の総帥…。
「 …えーっと…?キョーコちゃん、だっけ? 」
「 なっ!!やだ!やめて下さい!ちゃん呼びなんて!私の名前は最上キョーコですっ! 」
「 ああ、そうだったんだ。先日スクリーン越しで挨拶を頂いた時は、下の名前しか聞いていなかったから… 」
「 あ、そう言えばそうでした。すみません、自分の方に非があったのに…。許して下さい 」
「 いや、俺は別に…。じゃあ、最上さんって呼べばいい? 」
「 ええ、そうですね。そう呼んでください、悪の総帥さん 」
「 うん?俺にも一応、敦賀蓮って名前が有るんだけど? 」
「 じゃあ、敦賀さん、ってお呼びしてもいいですか? 」
「 そうだね。こんな公の場で悪の総帥って呼ばれるよりずっといいかな 」
軽く挨拶を交わし、キョーコはえへへ…と頬を染める。
…もしかすると、これが彼女の持つ技の一つなのか…?
ハニースマイルを満面なく浮かべるそれは、自分がもつキュラキュラ笑顔に匹敵する破壊力である。気を引き締めねば、と蓮が考えた矢先、両手に一つずつ化粧水の瓶を持ったキョーコはそうだ、と思い立ち目をキラキラと輝かせた。
「 あの…お会いしたばかりなのに恐縮ですが、できればアドバイスをいただけませんか…? 」
「 え?アドバイス? 」
「 はい!世界征服なんて大胆な事を実行しようとする判断力を持った敦賀さんの言葉なら、むしろ信用出来そうですし… 」
まるで気負いのないセリフである。本当に彼女は自分と戦う気があるのか、と毒気を抜かれた気分を味わいながら、蓮はそれでも得意の似非紳士スマイルを顔面に張り付けて応答する。
「 …うん、なにかな? 」
「 実は先ほどからずっと悩んでおりまして…。この化粧水、どちらがいいと思いますか? 」
あまりに予想外の質問に、返答は15秒遅れた。
「 ―――――――― …化粧水…?悩んでるの? 」
なんて小さい悩みだろうか…。
しかし次に続いたキョーコのセリフで、似非紳士スマイルの仮面は見事に剥がれ落ちた。
「 実は愛の戦士を任命された事でお給料がわずかながら上がったんです。それは嬉しかったんですけど、身だしなみをきちんとしろと命令されてしまって手を抜くわけにもいかなくて… 」
「 お給料…あがったんだ?どのくらい? 」
「 えっと、1万円なんです。でも、化粧水の他にも乳液やら保湿液やら揃えなければならなくて… 」
「 1万円?たったそれだけ? 」
仮にも世界征服を企む秘密結社と戦うのだ。
特別手当としても安いし、第一、わが組織はそんなちっぽけではない。
驚きの余り思わず目を見開いた蓮に向かい、キョーコは大きく口を開けた。
「 たった…だなんて、とんでもないです!だって1万円あればひと月分の自分の食費を優にまかなえるんですよ! 」
彼女の顔はまるで真剣だった。もう毒気がどう、とか言っている場合ではない。
請求をすればもっと手当をもらえるだろう…と思わなくもないが、いまはそれ以上に目の前の彼女を放ってはおけない…と思った。
「 ――――――― よし判った。ちょっと俺に化粧品のこと教えてくれる? 」
「 へ? 」
「 お勧めするにも内容を知っていないと判断出来ないからね 」
「 そっか。そうですよね 」
そうして小2時間ほど二人で化粧品売り場を渡り歩いた秘密結社の総帥と愛の戦士、もとい蓮とキョーコ。
交わした言葉の数は多く、その間、互いの人となりはなんとなく判って来るもの。
「 …と、こんな所でしょうか 」
「 ありがとう。知らない事ばかりだったから、すごく勉強になったよ 」
「 そんな。でもよく考えたら男の方に化粧品のあれこれを説明するなんて、少し変でしたよね 」
「 そんな事ないよ?君のことも何となく判ったしね 」
当然、この時になれば蓮の顔に浮かぶのはもはや似非紳士のそれではない。
彼は蕩けんばかりの神々スマイルを惜しみなくキョーコにさらけ出した。
「 ありがとうね。時間をかけて丁寧に教えてくれて 」
「 こちらこそ変なお願いをしたばかりに時間を取らせてしまって…なのにそんな事を言って下さるなんて、敦賀さんって優しいんですね 」
にょへら…と肩の力を抜いて気さくに笑みを浮かべるキョーコ。
頬がほんのりと赤く染まり、目を細める彼女のそれはまさしく愛の戦士の名にふさわしい可憐さである。
「 最上さんが気になっていたのはこれとこれと、この化粧品だよね? 」
彼女の話を聞きながら、テンションの上がった様子を認めてチェックを入れていた化粧品たち。
それらを一式集めた蓮は、ついでにこれとこれとこれも…なんてさらにいくつかを選び出すと、これらが俺のおススメだから、とそのまま会計へと持ち込んだ。
「 あ、待ってください!さすがにそんなに買うお金が… 」
「 いいんだよ、君は払わなくて。これは授業料として俺が支払うから 」
「 ええっ?でも!! 」
「 あがったお給料の1万円は、別の事に使えばいいよ。ねっ? 」
「 …そんな…だって… 」
「 じゃあ別の言い方をしよう。これは秘密結社の総帥に付き合ってくれた愛の戦士さんへの戦利品として献上する。君と俺との対決は今日、君の一勝ってこと。それならどう? 」
「 クス…敦賀さんって本当に優しいんですね… 」
もはや細かい理由なんてどうでも良かった。
キョーコの笑顔を見るたびに、蓮の心にはある感情が浮かんでいた。
でもそのことは今はまだ内緒。
なぜならそれについては、自分ですらうまく説明することが出来なかったから。
「 …ありがとうございます。本当に嬉しいです。そう言えば私、男の人に何かを買ってもらうなんて初めてです 」
「 そうなんだ。君の初めての男になれて俺も嬉しいよ 」
―――― おーい、何を言ってるんだ悪の総帥…。
後日、キョーコは偶然を装って再会を果たすべく、網を張って待っていた蓮のそれにきちんと掴まることになる。
別の事に使えばいい、と言われたそのお金を使ってお礼をしたいと言ったキョーコの申し出を快く受け入れた蓮は、お勧めの所があるから、とキョーコの腰を抱いてその場から優雅に移動し、少し洒落た喫茶店で二人はお茶をすることになる。
「 可愛いお店ですね。それに、お茶もケーキも美味しいです 」
「 そう?気に入ってもらえたなら良かった 」
悪の総帥こと蓮のリサーチはもちろん徹底していた。
その日、キョーコと交わした会話の中で、化粧品の使い心地やその使用感について手際よく情報を仕入れた蓮は、後日、今度はお茶のお礼としてまた化粧品一式をキョーコに献上。あろうことか彼女の住居に配達する、という手段に躍り出た(もちろんリサーチの時に本人から聞いた個人情報)
また更にその後日、再び偶然を装って二度目の再会を果たした蓮に向かい、キョーコはお礼をさせて下さい、と言ってまた蓮をお茶に誘うという、ある意味とても立派なメビウスの輪が出来上がった。
「 …うん。お茶は2回済ませたから、今度は食事かな… 」
退屈過ぎて死にそう…とのたまっていた秘密結社の総帥は、いま見る影もない。
今度はどんな偶然を装って彼女と再会しようか…に日々思考を巡らせ、忙しく、けれど楽しそうに毎日を過ごしていた。
「 社さん、どこか良い所知っていますか? 」
「 あー…ちょっと待てよ、調べてみるから… 」
愛の戦士ラブミー部員1号、最上キョーコ。
彼女は地球防衛軍の一員として、受け取った指令通り見事その役割を果たしていた。
なるほど。愛の戦士は悪と敵対、しないらしい…。
E N D
マリモ様、快く献上品をお受け取り頂きまして有難うございましたー!
ほんとに続き書けそう♡(〃∇〃) …超楽しかった♪
…え?マリモ様のお話の引きと辻褄があっていない?いやん、それはこれから合・う・の♡←ほんとかよ
サブタイトル…秘密結社の総帥、愛の戦士と直に対面す
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※こちらはその続きです⇒「愛の戦士は悪と敵対…する、かも?」
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