横になっていますが。
マキノのオーダー、今日、早稲田のサイクリング同好会の部長さんが取りに来てくださいまして。
誠実な方だったので、お譲りしたことに悔いはない。
でも、娘を嫁にやる気持ち。
達者でな。
私にとって父親代わりとなってくれた競輪選手のご紹介でオーダーした。
しばらく前、マキノにお返ししようと思いましたが、引き渡しの当日、家を出ようとしたら息子が「家に置いといて」と言い出し。
私もなんとなく決心がつかなかったので、牧野さんにお電話して、お返しするのをやめたのです。
それから時が経ち、うちにお人形をお迎えすることになりまして。
羽生ファンの沼で知り合った人形作家、西村勇魚様の作品。
単なる物体なのに妖精のよう。
命を宿した芸術品は初めて見たのです。
最初に見た作品は、私がギャラリーに伺ったときに売約済み。
次に京都のギャラリーに出品された作品を実物を見る前に入札。
全国から公平に買えるよう、展示開始から数日間、入札が行われて。
めでたくお迎えすることに。
その子を私の部屋に招くには、愛車が場所を取っているので。
妖精のように儚く、そして強靭な心を秘めたお人形をお迎えするために、愛車をどなたかにお譲りする決心がつきまして。
学生時代にお世話になっていたサークルにご連絡。
「マキノのオーダーとあって、部員は皆、喜んで乗ると思います」という部長さんからのメールが来まして。
いつか「この方になら」という出逢いが訪れるのを待っていたかのような。
調整してくださった牧野さんもなかなかの人物で、競輪のような切った張ったの修羅場で生きる男たちにとってセラピストのような癒しとなる存在。
その方の作ってくださった自転車を、誠実な若者が取りに来てくださって、妖精のようなお人形をお迎えする席ができた。
人形作家さんにお話したら「私の小さな頭で作った娘ではなく、日々、形や素材の持つことわりに逆らわないように作ったら生まれた娘なので、私が恐縮する必要もないですね。最後まで自然のことわりの導く形に逆らわず歓声のお手伝いに徹します」
自転車をオーダーし、お人形をお迎えするために自転車を手放し、お人形がいらっしゃるのを待っています。
それだけの話なのに、関わったすべての人に神の巡り合わせを感じてしまう。