昨日、私はコンサートに行きまして。

 

  コンサートと言っても、野外で、観客席は50席くらいだったのですが、立ち見も出るほど盛況で。

 

  80人ほどの観客だったのでしょうか。

 

  主役は二胡界の天才少年、小学生のときからプロとして演奏活動をしているというA君。

 

  小学生4年生のときに香港のコンクールで入賞したのをきっかけに世に出たのですが。

  

  おばあさまが二胡をたしなんでいたので、その影響でA君もニ胡を習い、おばあさまとお母様と一緒に中国に留学したという。

 

  歌舞音曲なんか息子にやらせるのは、富裕層と決まってますけどね。

 

  私が初めてA君と会ったのは、「ニ胡振興会主催の日本人演奏家によるコンサート」でした。

 

  まだ小学生だった彼は、とてもかわいらしく、大人用しかない二胡が大きすぎ、小さな体で一生懸命に弾く姿に人々は喝采を送った。

 

  コンサート終了後、出演者はロビーに並んで会場を出る観客に挨拶していたのですが、A君と一緒に写真を撮りたい人たちが列を作り、でも写真の真ん中にはA君のお母様が。

 

  その時の様子、私には「A君のママは自分が主役だと思っている。息子はママの言うことに従っている」と見えたのですが。

 

  このママ、可愛くて、その可愛さが普通のレベルじゃなんですね。

 

  ものすごく可愛い。

 

  これでは、真ん中で写真に映るのもOK!でございます。

 

  私は少し離れたところで、A君親子を見ていたのですが、A君と目が合ってしまい、彼は何かを訴えるかのように私を見つめるので。

 

  すごく嬉しそうでもなく、嫌という感じでもなく、彼は「ニ胡の天才少年、人気を博しているがステージママがくっついている」の図を淡々と受け止めていた。

 

  その後、私はA君のホームページを覗いたことがあり、「息子のマネジャーを辞めました。母親が口出しするより、他人に任せた方がいいと思ったので」みたいなママのコメントがあり。

 

  すごく賢明な判断ですよね。

 

  賢い女性なんですよ、ママは。

 

  それから月日が流れ、通勤途中の乗り換え駅で「大手新聞社プレゼンツ、スーパー中学生の二胡奏者」という告知を見たので。

 

  可愛い小学生だったA君は中学3年生になっていたのですね、しかも大新聞が後援者?

 

  その新聞社はどういう形で彼についているか分かりませんが。

 

  で。

 

  昨日、私はA君にお菓子とお花を差し上げることにしまして。

 

  お花屋さんで花束をお願いし、レジのそばに「サントリー社が初めて開発、紫のカーネーション」という広告と紫の濃淡のカーネーションが飾られて。

 

  「A君のママにもこれを差し上げましょう、母の日も近いからカーネーションがぴったり」と思い、A君のためとママのために花束を2つ、用意していただいて。

 

  会場に着くと、ステージには近づけないように柵があったので、司会の女性に「A君にお花を差し上げたいのですが」とお聞きしてみると、演奏終了後にファンがお花を、という想定はしていないとのこと、コンサート終了後に楽屋に行ってお渡ししてくださいとのことで。

 

  楽屋といっても、舞台後ろのテントに布が張られたにわか作りの場所なのですが。

 

  で。

 

  肝心の演奏ですが。

 

  A君はうまいと言えばうまいのですが、私にとっては自分の先生が世界一だと信じているので。

 

  A君とうちの先生と何が違うのか?

  

  うちの先生は普通の学校ではいじめられてしまう、という強烈な負の体験があり、半身不随になるかという重傷を負ったので、その哀しみが演奏ににじみ出る。

 

   演奏家に限らず、表現者は不幸じゃないと人の心を動かすことはできないのかも。

 

  小学生の時から演奏活動、本場中国のコンクールで入賞、大新聞がバックについている、可愛い、と、二胡演奏家としてA君は、大衆には分かりやすいセールルスポイントがたくさんあるのですが。  

  

  強烈に惨めな記憶、はまだまだなさそうである。

 

  で。

 

  立ち見も出るほど盛況だったコンサート終了後、私は関係者に「A君のお母様はどちらに?」とお訊ねし、まず彼女にカーネーションを差し上げまして、とても喜んで下さったのですが。

 

  その可愛らしさ、3年前と変わらず。

 

  中学生の息子がいるのですから、40代ですよね?

 

  でも、本当に本当に可愛い。

 

  「3年間前に二胡振興会のコンサートでお会いし、A君とママがどちらも驚くほど可愛いと思いました」とお話しすると、喜んで下さり、A君と私は一緒に写真を撮り、ママがその写真をメールで送ってくださるという。

 

  いただいた名刺には自分の名前、裏に息子の写真とホームページに飛ぶアドレスが書いてあり。

 

  「お母様は元モデルか元芸能人か、そういう方なのですか?」とお聞きしたら、なんと卓球のコーチだという。

 

  コンサートに同行するママが自分の本業もちゃんと持っている、それは息子にとってもいいことでしょう。

 

  その日、おばあさまもご一緒で、これではA君は二胡奏者を辞めるわけにはいかないでしょうが。

 

  A君のママがとても可愛く、そして自分の仕事も持っている方だったので、私は「A君、良かったね。これからも演奏家として頑張ってください、応援します」と思いました。

 

  A君はその日のコンサート、最後に「賽馬」を弾いたのですが。

 

  私、前回の発表会でこの曲を弾きまして、次の発表会は「チャルダッシュ」を弾くつもりです。

 

  そうママに私がお話しすると、Aはまだ「チャルダッシュ」が弾けないんですよ、と意外なお言葉が。

 

  あら、じゃあ私、ニ胡の天才少年よりも上?

 

  なんてね。

 

  A君、またコンサートにうかがいますね。

 

  ママにお会いするのも楽しみです。