人前で弾けるくらいにはうまくなりたいの。


  それは、なんちゃって演奏家を目指すということ。


  なんちゃって、がついたいたとしても、ギャラなしだったとしても、そこに聴衆がいるわけで。


  上手く弾かないと失礼でしょ。


  聴衆がいるかどうかで、二胡を弾く心構えも違ってくるということ。


  で。


  先生に「人前で弾けるくらいにはうまくなりたいんですよ、おばちゃんは」と言ってみたら途端にご指導が厳しくなり。


  「一弓一息、が原則。弾く前に息を吸い、吐きながら一弓弾く」


  つまり、「ドレミファ ソラシ ド~」と弾くとしたら。


  息を吸ってから息を吐きながら「ドレミファ」を弾き、息を吸ってから息を吐きながら「ソラシ」を弾き、息を吸ってから息を吐きながら「ド~」を弾く。


  めんどくさ・・・。


  しかし、ですよ。


  先生によれば「速弾きの部分、息を吐きながら弾く、をやれば、間違いもなくなります」。


  え?


  そんなに呼吸と弓を合わせると変わるものなの?


  で。


  月曜にお稽古があり、火曜、水曜と、先生の言うとおりに弾いてみた。


  あら不思議。


  本当に間違いがなくなり、弾くのが楽になる。

  

  こんなに違うとは。


  たった2日ですよ。


  私にこの先生を紹介してくれた友達は、「二胡を弾いて人を感動させるほどにうまい」を「二胡が歌う」と表現していたが。


  演奏者の呼吸を二胡に合わせる。


  「だって、歌うとき息を吸いながら歌う人はいませんよね、それと同じです」と先生は可愛い顔で言う33歳。


  歌うように呼吸し、そしてニ胡を弾く。

  

  「二胡が歌う」という表現はまさしくそう。


  ああ。


  足かけ3年くらい、私は二胡を習っているが。


  先生は何度も「呼吸を二胡の音に合わせて」と言っていたはずだが。


  どうして本気でその通りにしなかったのであろうか、自分。


  目指す次元が違えば、本気の度合いも違う。


  ゴメンね、二胡ちゃん。


  おばちゃんはマジメに弾いていなかったのか。


  呼吸を二胡に合わせてみると、まさに二胡が体の一部のようで、二胡が私の代わりに歌っているようである。


  が。


  皮の部分はニシキヘビ。


  ヘビと一緒に歌ってる私?


  成仏してくれよ、ヘビ。


  どこでとっつかまって皮にされたか知らんけど。


  日本のおばちゃんのおひざの上で、おばちゃんと一緒に歌う運命だったのね・・・。