80過ぎの友達が認知症の施設に入って。


  彼女は母から逃げる、1人で生きていく、が人生の基本だった。祖父母に可愛がられ、姉と助け合ったとしても。


  彼女と話していて、胸を突かれたことが度々あったが。


  それは、「家族を信頼できない、親から逃げたい」は、私も同様だったからである。


  彼女はバレンタインにチョコを贈ることも、クリスマスにケーキを食べることもなかった由。


  家族を持たないというのは、そういうことなのだ。


  認知症の薬を飲ませに、ヘルパーさんが家に来る。ときどき、施設の行事に呼ばれる。そこで初めてクリスマスにケーキを食べたそうで。


  巨大なケーキを前に、彼女と施設の所長さんが笑顔で並んでいる写真。


  そのケーキを施設にお世話になっているお年寄りと職員で切り分けるのだ。つかの間、家族のように。


  私には家族がいる。


  夕べ、夫が私にマギのアラジン君のフィギュアをくれたので、彼と結婚して良かった!と心から思った。今、私はアラジン君にはまっているのだ。


  世間様は私ごときが何にはまっていようが、どうでもよかろう。しかし、家族はアラジン君フィギュアをくれるのである。


  家族にとっては、家庭が世界の大半を占め、家族を思う気持ちが毎日の生活に占める割合が大きい。


  毎年、「クリスマスケーキ、どこのにする?」と家族で決める。今年は娘が「ゴシップス」という雑誌に載っていた「BEN&JERRY」のアイスケーキに決めた。ワン・ダイレクションもそこのアイスが大好きだって。


  娘はワン~の映画をわざわざ渋谷まで友達と見に行き、表参道に行って、BEN~のアイスを友達と食べてきた。 


  そして、クリスマスはそこのアイスケーキと決めた。


  たわいない・・。


  そもそも、ワンダ・イレクションって何?いや、ワン・ダイレクション?


  家族と過ごす毎日は、たわいないこと、普通のことで過ぎていく。


  でも、振り返ると。


  クリスマスに誰かとケーキを食べたことがない。施設に入って、初めて食べた。


  そういう人もいるのだ。


  そういう人生を自分を選んでいたかもしれない、とふと思う。