75 「アフガン、たった一人の生還」 マーカス・ラトレル パトリック・ロビンソン


 アメリカの特殊部隊シールの一員がアフガニスタンに派遣され、4人のチームで1人だけ生き残り、現地の村の人に助けられて、という話。


 「読者はこの特部隊が世界で一番強くて素晴らしい、とどうして俺が思ってるんだ?」と疑問を持つだろうから、と主人公は説明してくれるのですが、訓練がとにかく過酷。


 また、負傷した主人公がさまよう場面は、とにかく痛そう。


 テキサス出身の主人公とブッシュ元大統領が対面する場面も、俺たちはテキサス人同士、という共感も日本人である私にはぴんとこない。


 薩摩隼人同士、という感じ?違うかな。千葉県民同士?これも違うような。


 主人公はアフガニスタンの村をさまよい、その原始的な暮らしぶり、道もなく、唯一の農産物麻薬を運ぶのもロバ、トイレも家族ごとに外に穴が掘ってあるだけ、という様子を見て、「こういう国は中央政府があったとしても全土を支配することはできないだろうなあ」と実感します。


 彼が戦闘中行方不明になったから生きていると米軍に確認されるまでの5日間、テキサス州の自宅には200人から300人のアメリカ人が集まり、その人たちの分の食料をいろんな食品会社が寄付してくれるのである。トラックで。


 ・・・すごい。一体いくらかかるのか?マスコミに取り上げられているとはいえ、アメリカ特殊部隊はやはりアメリカ国民にとってそれほど名誉な仕事なのだろうか。地元の高校が特殊部隊シールの訓練に施設を貸したりして売るところを見ると、国を挙げて協力、という感じなのだろうか。

 

 アフガニスタンについて、かつて緒方貞子さんは「国の道路網もなく、病院もなく、税金も関税も入ってこない。国家公務員に払うお金もない。アフガニスタンはニグレクトされた国で、この国を立て直すことができるか国際社会は試された。この国に関しては失敗したと言わざるを得ない」とCNNのインタビューに答えていました。


 この本を読むと、村ごとに部族がおさめ、この主人公が助けられた村は「客人は命がけで守る」が掟なのでした。


 私は日本を出たことがない。よその国のことはその国に行ってみないと分からない。


 でも、やっぱり日本から出るのはやめよう・・・。