月刊・愛石 

2024年4月号(3月1日発行)
【温故知新】
愛蔵石との縁(えにし)を語る。



瀬田川石(本真黒石)

銘『山笑ふ』

左右21.高17.奥行8㎝。





 台座は山桜の古材を使用した名工の作で、石の頭部を持ち上げても、台座は寸分も動じない。

 シンプルで見事に石を活かす台座に只々感服。



 この石は数年前、愛石クラブの会員有志3人で早朝から滋賀県・瀬田川へ探石(たんせき)の際に採取しました。

 減水した広い川原で、ポイントを定め、腰を下ろして砂礫を慎重に掘り起こすことを2時間余り繰り返し、その日唯一持ち帰った妥協の石です。

 



 広い川原には無尽蔵の石。しかし、観賞に値する石は川原表面には在らず。硬質緻密で優美な輪郭線と石膚を具備した石は、川原を覆う軟質で比重の低い膨大な石達の下に姿を隠しています。

 この探石時、途中から旧知の石友(せきゆう)で、瀬田川近くにお住まいのM氏と兵庫県から来られた若い愛石家・K氏ともお会いでき、それぞれ採取した石を囲んで、暫し石談義。

 思い出に残る楽しいひと時でした。


 ありがとうございました。次回もご笑覧賜れば幸いです。🙇‍♂️