加茂七石の一種で、古くから茶庭の高級石材として尊ばれてきた鞍馬石ですが、水石趣味(愛石趣味)に纏わる文献にも「石は鞍馬に始まって鞍馬に終わる。」などと、古くから趣味者の間で伝聞されているとあります。
左右25・高10・奥行15 cm
鞍馬石は、主に京都市左京区の鞍馬山一帯から北東側の天ヶ岳(あまがたけ)南麓にかけて産出する花崗閃緑岩(深成岩)で全国に分布する花崗岩の1種ですが、石の含有成分が異なり、角閃石や鉄分の多い磁硫鉄鉱などの鉱物を多く含むため、空気中の水分などの作用で経年とともに石肌が茶褐色から黒褐色や赤銅色へと変化し、その渋い侘び・寂び感が独特の趣を醸し出し、趣味者を魅了します。
産地へ入れば至るところで多量の鞍馬石を目にすることができますが、観賞に値する条件を具備する鞍馬石は真に少なく、探石(たんせき)を重ねても稀にしかお目にかかれないのも趣味者の興味を惹く要因の1つです。
また、全国各地で産出する鞍馬石に似た花崗岩の中には、○ ○鞍馬石と産地名を頭に付けて庭石などとして市場に出回っていますが、それらが観賞石としての魅力に欠けることは自明の理でしょう。
過去数十回、鞍馬石が出る谷や川のほぼ全てを網羅しましたが、妥協できる鞍馬石はほんの3、4石しか得られませんでした。
当該石は、令和元年5月末に自分の鞍馬石探石のポイントとも言える静原川にて採取した物です。
これも人一倍の"鞍馬石愛"を持つと自負する自分の情熱が、この石との出会いを与えてくれたのでしょう。
ありがとうございました。
次回もご笑覧賜れば幸いです。



