趣味で"自然無垢の観賞石"を蒐集していますが、長年に亘り蒐集した蔵石の中には唐木製の台座を誂え観賞したいが為に、石の底面に突起部分が在り、台座製作には障害になるその一部分を躊躇なくヤスリで削り取った過去の苦い経験もあります。その唯一の例を挙げてみました。
古道石(ふるみちいし)
京都市左京区・花背峠旧街道辺りの産
※私有地のため入山には許可が必要です。
W30・H19・D10 ㎝
紫檀の台座に据えていますが、下部に背景が見える隙間が数箇所在り、石から安定感も見られず、陳腐で下品な石と感じます。
底面の1㎝四方の突起部分を削り取った痕
(写真の白く見える部分)
削り取ってもまだまだ石の安定に難が有り、これ以上は石の底面の全面をスパッと切断するしかありません。
この石を眺める度に、30余年前の熟考せずに自然石に手を入れてしまった軽率な行為に今尚後悔の念に苛まれていて、それがこの珍品種の古道石をまだ1度も石展に出品していない所以です。
思い出しては偶に出して来て深めの水盤・砂上に据えては眺めていますが、、、もっと大きく深い水盤に据えなければ、、、とか考える以上に、一部分でも加工した軽率な行為に後悔が積るばかりです。
あくまで"自然無垢の石"を標榜する自分は、石の極一部であろうと人為が入った石は単なる"工芸品"としてしか観られません。
但し、愛石趣味家それぞれの石に対する趣向や加工石の蒐集に異論や反論を唱えるつもりは全くございませんので、誤解の無きようご理解下さいませ。
ありがとうございました。
次回もご笑覧賜れば幸いです。😊



