川や山、或いは海岸で採取してきた自然無垢の石を、さてどうやって観賞するか?。板の上に置く。布を敷いて、その上に置く。水盤に据える。等々工夫次第で多様な観賞方法があります。
宇治川蓬石(京都府)
左右17・高5・奥行11㎝
自然無垢の石で、且つ石の坐り(底面の安定)が良いので、板の上に置いてみました。しかし、直に置くと硬い紫檀製の板でも疵の付く恐れがあります。そこで、この石に合う水盤に天神川産の砂を敷き、そこに石を据えると見違えるほど観賞価値が高まりました。
瀬田川金梨地石(滋賀県)
銘「重ね山」
左右12・高13・奥行11㎝
石の底面は、紙一重も通さない安定した坐りです。しかし、観賞価値をアップする為に紫檀製の台座を自作、台座に石を収めると石の品格が醸し出されました。
私見ですが、そもそも観賞石を蒐集する為の基本中の基本は①自然無垢の石である。②石質が良い(適度の硬度)。③坐り(底面の安定)が良い。④山や島など、自然の景を一石に凝縮した様な、何らかの見処を持っている石。などと自ら定義付けています。
瀬田川虎石(滋賀県)
銘「虎丘」
左右18・高5・奥行9㎝
この石も座りが安定していますが、観賞価値を高める為、プロの台師に製作を依頼した台座(紫檀材)に収めました。
石を水盤に据えて観賞するにも、台座に収めて観賞するにせよ、いずれにしても石の底面が安定していないと石に不釣り合いな異常に深い水盤の使用を余儀なくされたり、非常に高度な技術が必要な台座製作に長時間を要するため心身共に負担も多く、悩まされたりします(※これも趣味の一環で、楽しみでもある、、、との考え方もあります。)。
自分も愛石趣味に入った若い頃から、不器用なりに台座の製作を続けていましたが、歳を重ねて参りますと作業そのものが億劫になり、十数年前からは専ら製作を依頼しています。
そもそも台座や水盤を使用しなくても、底面が安定(坐りが良い)していて、観賞に値する形姿や紋様、色彩などに見処を持つ自然無垢の石こそが非凡な真の「観賞石」と言っても過言ではないでしょう。
支えが無くては安定せず、観賞するにも台座が必要不可欠な石を観賞の対象にしたいが為、本来黒子役である筈の台座に必要以上に期待して、過度とも思える技巧を凝らした台座に収める、本末転倒の感がします。坐りの悪い石こそ、そもそも無限に存在する石の中の一石に過ぎない凡石と喝破した次第です。🙇♂️
ありがとうございました。
次回もご笑覧賜れば幸いです。





