今年7月に、女流愛石家のD女史から賜った古谷石(ふるやいし)の原石を、ワイヤーブラシやステンレスブラシ、それに木綿針等を使用して石の表面を覆う泥岩屑を2ヶ月掛かりで取り除き、現れた硬質緻密な石芯を根気良く化繊布で乾拭きしました。その石に台座製作を依頼して、先日出来上がってまいりました。

古谷石 銘「亀瀬山」※かめのせやま。
W 19・H7・D13㎝。
坐り(底面)も佳いお気に入りの一石です。

石銘は、藤原道長が扶桑略記の中で詠んだ漢詩「亀瀬山乃嵐  紅葉影脆・・・」から採りました。
この亀瀬山とは、自分の住む奈良県三郷町から大阪府柏原市に通づる大和川(龍田川)沿いの龍田古道の名所「亀の瀬」を指しています。つい最近、この【龍田古道・亀の瀬】は日本文化遺産に認定されましたが、その記念にとの想いも有ります。


硬質な石芯に現れた繊細な皺が古谷石の特徴です。
蔵者の希望を取り入れながらも、いつもながら期待以上の台座の出来栄えに、プロの技と心意気を感じます。


昔、紀州田辺藩が「お留石」として、この古谷石の保護、管理を徹底したと伝わります。

蔵石に台座を付けたり、桐材の共箱を設るのも、蔵者(自分)が楽しんでいる愛石趣味の思い出と軌跡を残し、広く後世に伝える為でもあります。
但し、蔵する石の全てに台座や共箱を設る訳ではなく、自分の場合は年間10数回の探石(たんせき)で採取して、持ち帰った石の中でも特にお気に入りの2.3石を対象にしています。
つまり、台座を設ない多くの石達は、石展時に進呈石としたり、採取した箇所へ戻しています。

・・・ありがとうございました。
次回へ続きます。・・・