2024年12月22日
 今から5年半前、知事に就任して数ヶ月経った頃、山本一太の有力な支持者のもとに、匿名の葉書が届いた。そこには、大沢前知事を最後まで引っ張り出そうとしていた某政治家の後援会幹部が集まった席で、ある人物(=政敵)が、「山本知事は2年で引きずりおろす!」と宣言した事実が、記されていた。
 葉書に書かれていた内容や雰囲気から、直感的に事実だと感じた。そこで、当時のブログにこのエピソードを紹介し、「その人物(政敵)に、そのまま同じ言葉をお返しする!」と(こちらも)宣言した。
 が、実際には、この人物を本気で攻撃するようなことはやらなかった。理由は2つ。相手の戦闘力が低くて、何の脅威にもならないと思ったことと、知事という立場で、「そんな大人気ないことをやるのは、やめた方がいい!」という友人のアドバイスがあったことだ。
 それからの5年間、本当に心配していたのは、利権に塗れた、その「胡散臭い人物」(政敵)のほうだったに違いない!(笑)相手の悪行に関する情報とそれを広める発信力を持っていたのは、明らかに自分の側だったからだ。
 山本一太知事の誕生で、「利権を奪われた」「既得権益を侵された」と憤慨している人々は、今も「山本知事を何とか落選させて、自分たちに都合のいい知事を据えたい!」と思っているに違いない!!
 が、ふと、こう思ったりする。「万一、山本知事を追い落としたら、逆に『自分たちへの脅威が増す』ということが、彼らには分かっているのだろうか?!」と。(笑x2)
 知事というポストにいるからこそ出来ないこともある。言えないこともある。リミッターが外れた6歳児の方が、自分たちにとって「今よりずっと危険な存在になる!!」ということに、なぜ気づかないのだろうか?!ホント、分かってないよなあ!!(苦笑)
 さて、過去のブログでも何度か書いた憶えがあるが、群馬県の職員は、真面目で優秀だ。いわゆる霞ヶ関の役人に比べたら、扱う事業のスケールや、知識の幅広さでは敵わない。が、地域に根ざした公務員には、中央の官僚とは違った強みがある。
 特に(他の都道府県もそうなのか分からないが)群馬県の場合、資料作成のセンスでは、霞ヶ関を凌駕していると感じる!!
 24年間も国会議員を務め、大勢の霞ヶ関官僚と付き合って来た自分が言うのだから、間違いない!!
 担当分野の政策や事業を必死で勉強し、知事の手足となって事業を進めている県職員たちが、(口には出さなくても)県議会や県議に対して「いろいろ言いたいこと」があるのは当然だ。
 細かいことは言わないが、ある種の不条理を感じることも多いだろう。が、だからと言って、県議会や県議の意見を軽視するようなことがあってはならないと(様々な場面で)伝えるようにしている。
 例えば、前回の庁議でのパワースピーチでも、幹部職員を前に、改めて「県議とのあるべき関係」について言及した。要約すると、次のような発言をした。
 「年齢や経歴、会派、当選回数は違っても、それぞれの県議は、選挙で選ばれた地域の代表だ。見た目や発言がどうであろうと、『選挙に勝ち抜く』というだけで、ただものではない!!やっぱり、選ばれるだけの人間的魅力があるということだ。1人1人が民意を背負っていることを忘れず、個々の県議には、敬意をもって接してもらいたい!!」
 「釈迦に説法だが、地方自治は2元民主制だ。議会を説得出来なければ、事業を実施するための予算は通らない!!知事がどんなに偉そうなことを言っても、あらゆる構想を進めるためには、議会の議決が不可欠だ!!だからこそ、本会議の質問や常任委員会の議論には真剣に向き合い、説明の努力を尽くす必要がある!!」
 「そもそも、県議会の最も重要な役割は、知事の暴走を止めることだ!そこには、常にある種の『緊張関係』がある。時にせめぎ合ったり、ぶつかったりするのは、ある意味、自然なことだと捉えている。」
 「ただし、議会との関係が大事だからと言って、県議から言われのない圧力を受けたり、目の前で机を叩いて恫喝されるみたいな職員へのパワハラは、自分が知事である限り、絶対に許さない!!」と。
 そもそも自分が欠点だらけの人間、不完全な知事であることは、よく自覚している。時々、県議の皆さんから「お叱り」を受けたりしているが、自分の心情としては「一貫して、県議会との信頼関係を大事にしてきた」つもりだ。
 実際、1人1人の県議とは、いつも本気で向き合っている。当選回数に関わらず、「会いたい」と言われれば、極力、時間を作ることにしている。「外に言わないで欲しい!」と言われれば、(会ったことも含めて)情報は漏らさない。
 お願いされて「内々に2人でお茶を飲む」とか、「非公式に食事をする」ことも、実は結構、あるのだ!!
 え?知事として、議席の約7割を占める自民党、与党である公明党との関係を特に重視しているのは、ある意味、当然の流れだ。だって、そうでしょう?!自民党県議団と話が付けば、その瞬間に議案の議決が決まるのだから!!歴代の知事も、ずっと同じスタンスだった。
 が、知事のこの基本戦略は、(幸か不幸か)副知事の続投問題を契機に、変更を余儀なくされた。自民党県議団が自ら戦線を広げ、他の会派(いわゆる三階)を巻き込んだからだ!!
 その結果、副知事の1年間の再任に賛成してくれた「リベラル群馬」と「つる舞う」にも、合意文書に基づき、今まで以上に、丁寧なアプローチをせざる得なくなった。
 そのことを批判するつもりもないが、要は自民党県議団の意向により、知事として「全方位外交」を強めざる得ない状況に追い込まれたということだ!!
 事実、上記の4会派(自民、公明、リベラル、つる舞う)との合意を踏まえ、これまでは自民党とだけ行なっていた「意見交換会」を他の会派にも広げている。これまでも自民党を除く各会派の毎年の予算要望には、真摯に耳を傾けていたが、今まで以上に気を遣わざる得なくなっている。
 が、何でも前向きに捉える知事としては(笑)、この流れは「結果的に良かった!」と考えている。今までは自民党との関係を気にして付き合いを控えていた他会派の県議の人たちとも、より積極的に話が出来るようになったからだ!!
 宇留賀副知事の再任問題が決着した後、県議会との関係については、このブログに、「雨降って地固まる」みたいな流れにしていきたいと綴った。
 これまでと比べて、より「全方位外交的なスタンス」を取っていくことになった状況下であっても、最大会派であり、県議会の絶対多数を握っている自民党県議団との関係を特に重視していく方針は理に適っているし、今後も変えるつもりはない!
 上述した流れを受けて、1人1人の県議と誠実に向き合っていく。その中で、政治家としての初心に戻って、県議会の中に「真の同志」を増やしていけるよう、努力を重ねていきたい。
 そのことを断った上で、年内に「どうしても書き残しておかねばならないこと」を、続編で詳しく書かせてもらう!!