2023年5月5日:パート3

 知事の定例会見でも、政務の会見でも、複数の記者たちから、「連合群馬に推薦を求めた理由」を聞かれた。その際には、知事である自分の意図を、かなり丁寧に説明したつもりだ。会見の議事録にも、しっかり掲載されていると思う。

 繰り返しになるが、近年の知事選挙において、現職の候補者を「与野党が相乗りで応援する」というのは、よくある現象だ。いわゆる「知事与党」は、お馴染みの構図と言っていい。

 議院内閣制における国会と、大統領制に近い地方自治体での議会では、そもそも置かれた状況が違う。もともと県知事は当選を重ねると、どうしても(良くも悪くも)「全方位型」になりやすい宿命がある。

 例えば、先の愛知県知事選では、共産党を除くほぼ全ての主要政党が、知事与党として、現職である大村知事の支援に回った。まあ、主要政党に推薦されたからと言って、票が伸びるとは限らない。4選を果たした大村知事の得票率が(前回に比べて)低下したことが、その事実を物語っている。

 過去の会見でも言及したが、連合の芳野友子会長が、安倍元総理の国葬に参列してくれたことにも、好感を抱いている。

 政治的な立場の違いを超えて、人としての信義を優先させた芳野会長の行動に感服した。このことも、保守政治家として、「初めて連合群馬に推薦を求める」ことへの抵抗感を弱めた要因の1つだった。

 さて、前回のブログで、「連合群馬に推薦をお願いしたことと、県議選で自民党と公明党の候補者だけを応援したことの間に、矛盾は感じていない」と記した。

 が、同時に、「正直に言うと、連合とも関わりの深い『リベラル群馬』や『令明』の現職県議の人たちには、申し訳ない気持ちもあった」とも綴った。今回のブログでは、そう感じた理由を率直に書き残しておく。

 振り返ってみると、知事としての4年間は、試練の連続だった。災害、豚熱、鳥インフルエンザ、そして新型コロナを含む様々な難問に、次々と見舞われた。まさしく「毎日が危機管理」とも言うべき、苦しい日々だった。

 こうした中、県民の生命と安全、暮らし、県内産業を守るため、県議会で過去には考えられなかった数の審議を重ね、本予算や補正予算を組んで来た。

 過去4年間、知事として議会に提出した全ての議案は、ほぼ全会一致で可決されている。すなわち、「リベラル群馬」と「令明」に所属する県議の皆さんには、全ての補正予算と本予算に賛成票を投じてもらっているのだ。

 え?もちろん、この人たちは「知事与党」ではない!本会議や委員会では厳しい指摘や注文もする。知事とは「是々非々」で臨む姿勢を貫いている。
 
 が、結果として、緊急対策を含む県の全ての予算に賛成してもらっていることには、心から感謝したい!県議会の議決がなければ、予算は確保出来ない。すなわち、どんな事業も実行出来ないのだ。

 上述した2つの会派(リベラル群馬と令明)に所属する現職候補が、知事が自民党と公明党の候補者の応援に必死に飛び回る姿を見て、「自分たちだって、(結果として)知事の政策に賛成して来た。あっちばかり応援するのは、アンフェアじゃないか!」と感じたとしても、不思議はない。いや、自分が同じ立場だったら、きっとそう思うはずだ。

 自分は欠点だらけの人間だが、政治家としては、出来る限り正直でいたいと思っている。何度も言うが、狡く(器用に)立ち回るのは苦手だし、やりたくない。

 だから、県議選が始まる前に、(3月の上旬くらいだったと思うが)当時の自民党県議団総務会長(幹事長代行)だった伊藤県議に事情を説明した上で、リベラル群馬と令明の県議を、それぞれ意見交換という形で、知事応接室に招いた。

 各会派の要望に関するフォローアップ等に関して暫く議論した後、次のように切り出した。

 「県政には緊張感が必要です。皆さんからの厳しいご指摘や要望は、しっかりと受け止め、県政にも反映させてもらっています。」

 「加えて言うと、(結果として)これまで知事として提出した全ての予算案に賛成して頂いていることには、改めて感謝を申し上げたいと思います。」

 「その上で今日、率直にお伝えしておきたいのは、来月、告示される県議選で、皆さんの応援に入ることは出来ないということです。ごめんなさい!これからも県民のために、切磋琢磨していければと考えていますが、このことだけは直接、お話ししておきたいと思っていました。」

 あ、大事なメールが届いている。この続きは、その4で。