2023年1月28日

 夕方。高崎の自宅で、パソコンの電源を入れた。

 少し前に、農政部から鳥インフル(3例目)防疫措置の状況に関する報告のメールが届いていた。本日15時時点での殺処分の進捗状況は64、5%。「大きなトラブルなく作業を進めている」とのこと。

 先ほど、倉澤農政部長に電話をかけた。寒い気候が続く中、防疫措置の作業に携わる県庁職員の健康管理を徹底してもらうよう、改めてお願いした。

 今回、3例目の鳥インフルの発生を防げなかったことは、痛恨の極みだ。知事として、県民の皆さんに申し訳なく感じている。当然のことながら、県が防疫措置の先頭に立ち、再発防止策の実施や農家への支援にも、しっかりと取り組んでいく。

 が、そのことを断った上で、患畜が確認された直後から、動員された県職員たちが、(週末も返上して)24時間の交代制で、鳥の殺処分を行なっていること。県内で豚熱や鳥インフルが起こる度に、県の建設業協会やJA等の関係者の皆さんが、防疫措置の作業を支援してくれていることは、ぜひ県民の方々にも、知っておいて欲しいと思う。

 もう1つのウイルス(新型コロナ)の現状についても触れておく。本日、発表された県内感染者は853人。病床使用率は42%まで低下した。県民の皆さんに更なる感染防止対策の徹底をお願いすると同時に、引き続き、医療提供体制の強化を図っていく。

 さて、昨日の知事会見で発表した「子ども医療費無料化」が、地元メディア等で大きく報道されている。このブログでも、詳しい政策の中身を説明しておきたい。

 子ども医療費については、現在、市町村と協力し、中学校卒業までを無料としている。この政策に関して、現在、「自己負担なし」「所得制限なし」「窓口支払なし」で「中学生まで無料」としている子ども医療費の対象を拡大し、「高校生まで無料」とすることを決定した。(ブログに添付したスライドを参照。)

 「子ども医療費助成制度」とは、子育て世帯の負担を軽減し、子どもたちが安心して必要な医療が受けられるよう、医療保険の自己負担額を、県と市町村で1/2ずつ助成するというものだ。

 群馬県では、昭和48年にこの制度が始まった。平成21年からは、対象範囲を中学校卒業まで引き上げている。県内どこに住んでいても、子どもの医療が無料で受けられる環境が整っている。

 現在、全国の47都道府県のうち、入院・通院の両方で中学生まで医療費を助成しているのは、13都府県ある。これ以外の都道府県は、小学生までか、就学前までを助成の対象としている。

 もう少し詳しく言うと、この13都府県のうち、自己負担や所得制限などの条件を設けていないのは、群馬県と沖縄県だけだ。 つまり、群馬県の制度は、現状でも、既に全国トップクラスの充実した、使いやすいものになっていると自負している。

 にもかかわらず、今回、更なる措置に踏み込むことを決めた背景には、次の4つの状況がある。

(1)県内の市町村でも、独自に財源を確保し、対象を高校生まで拡大する地域が増えつつある。その流れを受けて、多くの市町村から、県として一律の支援を求める強い要望が寄せられていたこと。また、県議会でも、同様の動きがあること。

(2)岸田総理が、子ども:子育て政策は待ったなしの課題であり、少子化対策に本格的に取り組む」と宣言したこと。事実、岸田首相は、今週23日の施政方針演説で、「急速に進展する少子化により、我が国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際に置かれている」という強い危機感を言葉にしている。

(3)群馬県の子ども医療助成への満足度(=子育てしやすい環境への評価)が高いというデータがあること。例えば、子供服で有名な「ミキハウス」が2017年に実施した調査では、関東1都6県の中で、群馬県が子育て満足度第1位だった。

(4)群馬県は、ふるさと回帰支援センターが実施する昨年の「移住希望地ランキング」で、過去最高の5位まで躍進している。この数字を更に上昇させ、トップ3を目指していくためにも、全国トップクラスの子育て環境を一層、充実していく必要があること。

 上記の点を踏まえ、(厳しい財政状況ではあるものの)今回の決定に至った。議会や市町村長の方々にも、必ず賛成して頂けるものと信じている。

 ちなみに、高校生までを助成対象としている県は、(いずれも自己負担などの条件があるものの)現時点で、福島、静岡、鳥取の3県だ。東京都なども、高校生まで拡大する方針を打ち出している。この流れは、今後、益々、加速していくだろうと見ている。

 特に強調したいのは、群馬県が上述した「所得制限なし」「自己負担なし」「窓口での立替払いなし」という仕組みを維持したままで、対象年齢を拡大することだ。

 改めて調べてみたが、これは先行自治体でも例がない取り組みだと判明した。すなわち、群馬県の「子ども医療費助成制度」は、使いやすさ」という点で、「全国で最も手厚い(全国トップの)制度」になるということだ。

 今回、群馬が示した対象年齢の拡大については、県内すべての市町村が同じ条件で取り組めるようになった時点で、開始したいと考えている。現時点で具体的な時期は示せないが、なるべく早く実施できるよう、必要な調整を進めていくつもりだ。

 なお、既に高校生までの医療費無料化を実施している市町村に対する県の補助についても、上記の対象年齢の拡大と時期を揃えて開始する方針だ。この点は、ぜひご理解をいただきたいと思う。

 今般の制度改正を県全体で一律に実施することで、先行していた一部の市町村の負担が軽減されることになる。個人的に言うと、財政負担が減る該当市町村には、この分の財源を活用して「さらなる子育て支援の充実」に取り組んで頂けるといいなあと感じている。

 そもそも、少子化対策の成果をすぐに出すのは難しい。が、今後も、市町村や関係団体、民間企業等と連携し、群馬県がフロントランナーとなったこの取り組みを前進させていきたい。皆さん、「日本一、子育てがしやすい群馬県」を実現するため、ぜひ、知恵と力をお貸しください!!