2022年12月31日

 20時。高崎の自宅からのブログ。少し早めの「年越しそば」を食べ終わった。大晦日の今日も急遽、公務が入った。夕方から県庁に出勤した。

 17時過ぎ。県庁の会見室で、臨時の知事会見に臨んだ。夕方、前橋市内の農場で、特定家畜伝染病である「高病原性鳥インフルエンザ」が疑われる事例が発生したからだ。

 現在、群馬県家畜衛生研究所で遺伝子検査を実施中だが、限りなくクロの可能性が濃い。「高病原性鳥インフルエンザウイルス」が検出され、疑似患畜と確認されれば、県内の養鶏場における初めての事例となる。

 鳥インフルエンザ対策については、国内有数の生産地である群馬県の養鶏業を守るために、知事就任直後から(豚熱と同様に)国及び市町村と連携しつつ、最重要課題の1つとして取り組んで来た。

 近隣の埼玉県や茨城県を含め、12月だけでも30件近い事例が全国で報告されていた。ここ数ヶ月、特に警戒を強めていたが、恐れていたシナリオが現実となった。残念としか言いようがない。

 早急に防疫措置をとり、鳥インフルエンザの拡大を防ぐ必要がある。16時過ぎに急遽、オンラインの対策本部会議を招集。以下のような今後の対応方針を確認した。

 明日の早朝、疑似患畜が確認がされた場合は、速やかに現地対策本部を設置する。県庁が一丸となって、殺処分と埋却処分等の防疫措置を進めていく。

 群馬県では、これまで豚熱(CSF)が9例、発生している。が、そこに鳥インフラの脅威が加わることとなった。関係部局の県職員も、休日を返上で対応している。ここから、畜産農家の方々や関係者の皆さんとも力を合わせ、しっかりと抑え込んでいく。

 それでは、今回の疑い事例の詳細を説明する。添付したスライドを見ながら読んで欲しい。

 今般、高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が確認されたのは、前橋市に所在する農場だ。疑似患畜と確認された場合、殺処分が必要な飼養羽数は約15,000羽となる。

 この農場の3km圏内には、他に1つの農場がある。この農場は、家畜伝染病予防法に定める家畜の「移動制限」の対象となる。加えて、3~10km圏内に、33の農場が存在する。これらの農場には「搬出制限」がかかる。

 近隣への感染拡大を防ぐためにも、早急の防疫措置が不可欠だ。

 ちなみに、農場の所有者や所在地等の情報については、県の防災マニュアルに基づき、今回も非公表とさせてもらう。風評被害の防止や、部外者等の立ち入りによる感染拡大防止の観点からの判断だ。この点は、ご理解いただきたい。

 次に、県が第1報を受け取った後、高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が判明するまでの経緯と、防疫措置開始までの流れについても時系列で示しておく。

 該当農場の通常死亡羽数は、1日あたり5~7羽程度だった。が、本日、約30羽程度の死亡が判明したとのこと。

 この異変を受け、本日31日(土)11時15分に、当該の農場から県中部家畜保健衛生所に対し、「鶏の死亡が増加している」旨の最初の報告があった。

 上記の報告を受け、同家畜保健衛生所が立ち入り検査を実施。その後、家畜衛生研究所において簡易検査に着手。その結果、16時15分に「鳥インフルエンザの感染が疑われる」陽性の結果が出た。

 実は今も、家畜衛生研究所での遺伝子解析が続いている。検査結果の判明は、明日1日(日)5時頃の見込みだ。上述したように、高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出され、疑似患畜と確認されれば、速やかに殺処分等の防疫措置を開始する。実際、関係部局の県庁職員は、すでに作業の準備を始めている。

 これまでの経緯に加え、疑似患畜確認後に想定される防疫計画にも触れておく。

 現時点で、殺処分が必要となる羽数は、約15,000羽だ。

 殺処分後は、農場主の所有地に埋却する予定だが、埋却後の周辺環境等についても、関係機関と協力しつつ、適切に対応していきたいと考えている。

 防疫作業には、農政部を中心に県職員を動員する。疑似患畜確定後、明日(元旦)から作業をスタートする。その際には、近隣市町村にも協力を依頼し、作業に当たる計画だ。

 もちろん、建設業協会やJAをはじめ、関係団体にも協力をお願いする。ご協力をいただく皆さんには、知事として改めて深く感謝を申し上げる。

 現時点の見込みだと、殺処分終了まで24時間以内。その後の消毒を含めると、4日程度で防疫措置が完了。清浄性を確認して移動制限を解除出来るのは、1月下旬頃になると考えている。

 風評被害も懸念されるので、次のお願いも書き留めておく。

 現在、全国各地で、鳥インフルエンザの発生が相次いでいる。が、鳥インフルにかかった鶏肉や卵が市場に出回ることは無い。さらに言うと、これまで、鶏肉や鶏卵を食べたことによってヒトに感染したという事例の報告も皆無だ。県民の皆様には、落ち着いて行動していただくよう、お願いしたいと思う。

 今回の事態を受け、県としては先ず防疫措置に重点的に取り組む。並行して、国や市町村ともしっかり連携しながら、今後の再発を可能な限り防いでいく方針だ。

 本県にとって、養鶏業は農業産出額の約1割近くを占める重要な産業。豚熱(CSF)と同様、農家の皆さんが安心して養鶏業に取り組んでいただけるよう、今後も全力を尽くす。

 県内の農場主の方々にも、これまで以上の「飼養衛生管理基準の遵守徹底」をお願いしたい。皆さん、力を合わせて、この危機を乗り越えていきましょう!!

追伸:明日の元旦から4日まで、農政部を中心とした160人の県庁職員が(お正月の休みを返上して)防疫措置にあたる。職員の皆さん、寒い中、本当に大変だと思いますが、頑張ってください!

 いつも言っているように、我々県庁職員は、評論家でも傍観者でもない!現場のプレーヤーであり、当事者なのだ。いかなる緊急事態が起こっても、先頭に立って県民を守れるのは、私たちしかいない!そのことを忘れないでください!!