2022年1月27日:パート2

 21時30分。睡魔と戦いながら、本日2本目のブログを書き始めた。

 NHKの最新報道によると、20時30分までに全国で確認された新型コロナの新規感染者は7万8931人。2日連続で7万人を上回り、過去最多を更新した。それでも、「直近1週間の10万人あたりの感染者数」では、全国の17〜18位あたりを行ったり来たりしている。それだけ、他の地域の感染拡大が急激だということだ。

 こうした中、群馬県内の今日の感染者も1000人を超え、過去最多を記録している。深刻なのは、依然として感染のピークが見通せないこと。ここから更に感染者数が増えていく事態を想定しつつ、あらゆる対策を講じていく。苦しい持久戦を覚悟しなければならない。

 政府による「まん延防止等重点措置」は、32都道府県(全国の約7割)にまで広がっている。が、実際にまん延防止の適用を受けている県知事としての現場感覚で言うと、今回の対策でオミクロン株による感染爆発(?)を食い止められるとは到底、思えない。

 コロナとの戦いが「人知を超えている」とまでは言わないが、従来のデルタ株の2倍から3倍も感染力の強いオミクロン株に対して、これまでと同様の感染対策が通用しないことは明らかだ。事業者に対する営業時間短縮要請の効果にも疑問が残る。事実、人口や経済の規模に関わらず、大多数の都道府県で感染が急拡大している。オミクロン株による市中感染を防ぐことがいかに難しいかが、よく分かる。

 もちろん、県として、(引き続き)出来る限りの感染対策を打ち出していく。医療提供体制の逼迫を回避するためのあらゆる方策も実行する。が、この段階まで来ると、「今後も感染者が増え続けていく」ことを前提に、対応を考えていく必要がある。これは、どの都道府県にも言えることだ。

 感染防止対策に限界がある以上、知事として県民の生命と暮らしを守るための方策は、「3回目のワクチン接種を可能な限り前倒しして、1人でも多くの県民に出来るだけ早く追加接種を受けてもらう」ことしかない!誰の目から見ても明らかな結論だ。

 だからこそ、記者会見や直滑降ブログ、厚労省との協議を通じて、繰り返し「思い切ったワクチン接種前倒しの決断」を求めて来たのだ。

 通常のオミクロン株の約2倍の感染力を持つ亜種(ステルスオミクロン株)の出現により、日本国内では「長引く第6波の直後に第7波が到来する」、すなわち「国内のコロナ感染がピークアウトしない可能性がある」と指摘する専門家もいる。

 これまでの研究や分析によれば、3回目のワクチン接種(いわゆるブースターショット)の効果は明白だ。2回の接種で形成された抗体は、時間の経過とともに低下していく。追加接種は、減少した抗体を倍加させ、感染予防効果や重症化予防効果を再び高める。このことは、様々なデータから、科学的に証明されている。

 もう1つ重要なことがある。それは、現時点で主流となっているオミクロン株が今後、どう変異しようと、(幾つかの理由で)「3回目のワクチン接種による重症化予防効果は残る」と考えられていることだ。

 何度も書いているように、山本一太は楽観主義者だ。今回、群馬県が早い段階でまん延防止措置の申請をすることにも、実は慎重だった。ようやく第5波が落ち着き、地域経済にも回復の兆しが出て来ていたからだ。

 感染対策の徹底を呼びかけながらも、ある程度、経済を回さなければ、県民の暮らしが成り立たなってしまう。これまでも、「地域の経済活動を制限するような措置には、出来る限り踏み込みたくない」という姿勢を貫いている。

 しかしながら、今までとは桁違いの感染の急拡大とそれに伴う病床稼働率の急増という事態を受け、やむなく国に適用の申請を行った。その後の展開を考えると、この判断は間違っていなかったと確信している。

 何でも前向きに捉える楽観主義者としては、「感染しても症状の軽いオミクロン株の登場は、パンデミックの終わりの始まりだ」と信じたい。

 しかしながら、地域住民を守らなければならない知事としては、常に「最悪のシナリオ」や「そうなった場合の対応」も考えておかないわけにはいかない。

 過去のブログでも触れた憶えがある。事あるごとに「山本一太の頭を過る悪夢」は、次のようなものだ。

 「ある晩、欠かさずチェックしている米国NBCの報道番組やCNNから、『某国で新たな変異株が発見された模様。オミクロン株と同じくらい(或いはそれ以上に)感染力が強いことに加え、強毒性(致死率)でもデルタ株を上回る可能性のある危険なウイルスの疑いがある』みたいな最新ニュース(Breaking news)が伝えられる。この報道を受けて、日本全国に衝撃が走る。」

 万一、上記のような事態になったら、多くの国民が大きな不安に襲われるに違いない。行政が対応を間違えると、国民の間に「軽いパニック状態」を引き起こすことも考えられる。3回目の接種(追加接種)のスピードが遅い日本国内では、「多くの国民の抗体が低下している」(=国民の間の感染予防効果や重症化予防効果が下がっている)と見なされるからだ。

 日本人は、もともと慎重で、注意深い。危険なウイルスが出現したと聞けば、多くの人が外出を逡巡する。飲食店は再び大きな打撃を受ける。観光地の人出も、激減する気がする。県内(いや全国)の学校だって、一斉休校を余儀無くされるだろう。そうなると、すでに疲弊している地域経済へのダメージは計り知れないものになる。

 上述したような最悪の事態も考えつつ、第5波が収まった昨年の12月から、政府に対して「自治体の判断で、ワクチン在庫を活用した追加接種の前倒しを実施することを認めて欲しい」「3回目のワクチン接種までの間隔をもっと大胆に縮めてもらいたい」と強くお願いして来た。

 可能性が低くても最悪のシナリオを想定し、県民が不安な気持ちに陥る前に、「希望する全ての県民に対して、1日も早く3回目の接種を終わらせておきたい。それが重症化のリスクを低減させ、県民を守ることに繋がる」と思うのは、知事として当然だ。そうでしょう?!

 もう一度、言っておくが、個人的には(感染症の専門家ではないものの)「オミクロン株の流行が、新型コロナ感染の終わりの始まりになる」という説を支持している。もっと言うと、そうなる公算の方が大きいとも考えている。

 が、あらゆる面から考えて、今、政府がやらねばならないのは、国民への3回目のワクチン接種を少しでも加速することだ。そのためには、政府による必要量のワクチン確保が不可欠となる。ここが最大のネックであることは間違いない。

 今回のブログでは、「なぜ、知事である自分が追加接種の前倒しにここまでこだわり、そうするためのワクチン確保戦略の強化を政府に求めているのか?」を、シンプルに解説させてもらった。このことを前提に、先月16日に掲載した「知事として岸田総理に強くお願いしたい2つのこと:①」の続編に突入する。

 あ、運動の時間だ。この続きは次回のブログで。