2021年12月19日

 14時。高崎駅周辺のカフェで、パソコンを起動させた。晴天なのに、空気は冷たい。大勢の人が、ダウンジャケットを着ている。街中に「賑わい」が戻っているのは、嬉しい。心なしか、今日は少し高齢者が増えている気がする。

 本日、県内で新型コロナへの感染が確認された人は19人。昨日と同数ではあるが、桐生市内の工場で発生したクラスター関連の感染者は1名のみ。クラスター以外の陽性者は18人。昨日より状況は良くない。しかも、感染経路不明の人が5割もいる。ここらへんは、不気味だ。

 19人のうち、相変わらずワクチン未接種の人が半数以上。相対的にワクチン接種率が低い外国籍のひとたちへの呼びかけも、更に強化していく必要がある。

 地域別の内訳は、最多の伊勢崎地区が9名、太田地区が5名、館林地区が2名、高崎市、渋川地区、桐生地区が各1名だ。依然として、東毛地区(群馬県東部)が多い。特に、伊勢崎と太田の2つの地域の感染者数が落ちない。今晩、臂伊勢崎市長に電話する。

 過去のブログでも触れたが、群馬県の人口比のワクチン接種率は、東京より高い。人口や経済の規模(「密」の程度)も全く違う。例えば、若者で混雑する渋谷のような場所は、県内に1つもない。満員電車もない。群馬県人の交通手段は、圧倒的に自動車が多いからだ。

 にもかかわらず、なぜ、「10万人あたりの群馬の感染者数」が、東京の何倍も(全国でも突出して)多い状況が続いているのか?!もしかすると、潜在的な感染者が表面に出て来ていないだけなのか?!様々な面から分析しているが、なかなか明確な答えが見当たらない。

 感染者の多く出ている東毛地域の首長とも、頻繁に連絡を取り合っている。地元の首長の皆さんは、それぞれ責任感を持って、一生懸命、努力してくれている。「県に責任を押し付ける」ような市町村長は、1人もいない。県内の保健所長との意見交換会も、定期的に行っている。保健所のスタッフは、日々、最前線で全力を尽くしている。

 県内の医療関係者とも、色々なチャンネルで議論を重ねている。群馬県の大規模接種センターが全国で最も成功したのは、医療関係者の方々の献身的な協力があったからだ。何より、県民の皆さんに、頑張っていただいたお陰で、第5波のピークを乗り越えることが出来た。

 にもかかわらず、この段階に来て、群馬県の1日あたりの人口比の感染者数が全国で最も多い日々が続いている。まだ医療提供体制に支障を及ぼすような事態には陥っていないものの、県民の皆さんに不安を与えているとすれば、(知事として)とても悔しいし、申し訳なく思う。

 何れにせよ、冷静かつ迅速に、感染防止対策を強化&改善していくしかない!最も大事なのは、医療提供体制の逼迫を起こさないことだ。各地の保健所とも協力しつつ、引き続き、しっかり対応していく。

追伸:一昨日(12月17日)、県内の新規感染者が全国最多の52名(うち30名は桐生市内の某工場でのクラスター関連)になったことを受けて、知事の臨時会見を開いた。感染の現状と今後の対応を説明するためだ。

 冒頭、県として反省すべき点に言及した。それは、クラスターの「芽」(兆候)が見られた初期の段階で、事業者にもっと協力を求め、県としてより速く広めにPCR検査を実施すべきだったということだ。それが出来ていれば、感染の拡大を防ぐことが出来たのではないかと感じている。この点に関しては、15日に行った医療関係者との意見交換の場でも指摘されていた。

 改めて分かったのは、こうした対応を的確かつ迅速に行うためには、事業主の方々の協力が不可欠だということだ。その観点からすると、今回のケースでは、県と事業主の間の初動対応でのコミュニケーションが、明らかに不足していた。そのことで、感染が拡大してしまった可能性が高い。

 上記の反省を踏まえ、一昨日、県内57の業界団体を通じ、事業者の方々に対し、「感染者が発生した場合の疫学調査に対する協力」などについて、群馬労働局長と知事との連名で文書を発出させていただいた。通知の中では、「感染防止対策の徹底」、「ワクチン接種の勧奨」、「保健所の疫学調査への協力」をお願いしている。

 前述したように、感染者のワクチン接種状況を見ると、ワクチン未接種の人の感染が目立っている。事業者の皆さまには、従業員の方々に対する「ワクチン接種の勧奨」を今一度、お願いしたい。
 
 加えて言うと、派遣会社や請負会社を通じて、人を受け入れている場合でも、派遣元の事業主を通じて、ワクチン接種を促していただくよう、重ねてお願いしたい。

 県としても、引き続き市町村と連携しながら、1人でも多くの方にワクチンを接種いただけるよう、きめ細やかな情報発信を行っていきたいと考えている。

 特に、本県は、他県に比べて多くの外国籍県民が暮らしている。現状、多くの外国籍県民の方々にワクチンを接種していただいているのものの、言葉の壁があるために情報が伝わりにくいという状況があることは事実だ。

 このため、これまでも、ベトナム・ネパール大使館等と連携した取組を進めてきた。今後も、多言語での発信、企業やキーパーソンとの連携など、様々な方法で、外国籍の人たちへの働きかけを強化していく。

 早速、3日前から接種を呼びかける新たな情報を、SNSや、地元のキーパーソン等を通じて発信している。また、地元市町村との話し合いの場を設け、さらなる対策についても検討を実施中だ。

 繰り返しになるが、職場でのクラスターを早期に検知、収束させるためには、事業者の協力が必要不可欠だ。県内事業者の皆さん、是非とも、この点をご理解いただき、万一、事業所内で感染者が確認された場合には、保健所の調査に、積極的にご協力いただきますよう、重ねてお願いを申し上げます!