2021年12月8日:パート2

 20時30分。高崎の自宅にいる。少し前に意識を取り戻した。(ふう)熱い紅茶で眠気を覚ましながら、昨晩、書けなかった豚熱(CSF)に関するブログを書き始めた。

 今回のシリーズ連載(3回?)は、県内の養豚農家の皆さん、県民の皆さん、そして県議の方々にも、ぜひ読んでいただきたいと思う。

 12月2日の地元紙(上毛新聞)の社会面に、子豚への豚熱ワクチン接種に関する記事が掲載された。「深刻 相次ぐCSF」という特集の一環だ。紙面の右の上段には、「県が前倒し伝達〜1、2日 農家不満『遅すぎる』」という大きな見出しが躍っていた。

 上記の記事は、次のような文章で始まる。

 「県内で5例が相次いで確認されたCSF(豚熱)を巡り、子豚へのワクチン接種時期について、県が今月、『生後30〜40日齢での接種』を推奨する方針を県内の全農家に伝達っしたことが2日、分かった。従来は『生後50〜60日齢』『各農場で判断』としており、接種を前倒すよう方針を転換した形だ。」

 「ただ、国は7月には前倒しを促し、他県では既に前倒し接種が行われている。後手に回った印象が否めない県の対応に、農家は『遅すぎる』と不満を募らせる。」

 この記事にあるように、(1)農水省が、子豚への接種の適期に関して、6月末の委員会で、それまで推奨してきた50〜60日齢での接種から、前倒しを促す新方針を決めたこと(2)その方針を踏まえ、7月13日に『前倒しについて、より柔軟な検討が適当』とする内容を都道府県に伝えたことは、事実だ。

 記事の中では、「農家数が異なり単純比較は難しいが、茨城県では8月から同県内の養豚農家で接種時期の一律の前倒しを開始。岐阜県でも農水省の通達前の4月から、『同県独自の検査結果に基づいて、50〜60日齢よりも接種を早めるよう農場に指導してきた』」とも説明されている。

 こうした事実を踏まえ、同記事は、「他方、群馬県では、県としての接種の推奨時期が不透明だったため、各農家が適期の見極めを迫られる状況が続いていた」と指摘。その上で、県から接種のタイミングを巡る情報が農家に正確に伝わらず、現場で混乱が生じていた証拠として、複数の養豚農家の声を紹介している。次のような記述だ。

 「桐生市の養豚農家の男性は11月30日の取材に対し、『(接種の適期について)行政から何も知らされていない。早めるべきなのか、ずっと分からないまま』と困惑していた。」

 「前橋市の養豚農家の男性は2日、県の方針転換に『県はもっと明確に「接種時期を早めた方がいい」とアナウンスすべきだった。あまりにも対応が遅すぎる。行政の責任放棄だ』と憤った。」

 その日の朝、県庁に向かう知事車の中で、この記事を読んだ。豚熱の現状や対策に関して、農政部から頻繁に説明を受けていた自分の立場からすると、とても唐突な感じがした。特に、記事の中で取り上げられていた桐生と前橋の養豚農家の方々の証言(?)が、胸に響いた。さっそく、農政部の幹部を呼び、事情を聞いた。

 翌日(3日)の定例会見で、5例目の豚熱に対する緊急対策(消毒命令の発出等)を発表した。その際、この記事で指摘された問題点にも言及。「情報共有が不十分だったために、養豚農家の方々を不安を与える面があったとしたら、知事としての自分の配慮が足りなかった。その点は、率直にお詫びしたい」と申し上げた。

 いろいろと言いたいことはあったが、毎日、豚熱の発生という恐怖に耐えながら養豚業に携わっている農家の方々から、「県の説明は不十分」という批判が出ているのだ。ゴチャゴチャと言い訳する前に、先ずは県のトップである知事として、行政の努力不足を謝るのが筋だと思った。

 ただし、この記事を目にした県内の養豚農家の皆さん、県民の皆さんに、県の豚熱対策に関する誤った印象を持たれるようなことがあるとすると、農政部職員の必死の努力を目の当たりにしてきた知事として、あまりに忍びないと感じる。

 そこで、今回、報道された問題に関する正確な経緯や状況、県のこれまでの豚熱対策の内容と今後の対応に関する考え方について、この際、しっかりと書き残しておくことにした。この続きは、次回のブログ(続編)で。

 さあ、運動の時間だ。今晩はランニングマシンで走る。