2021年12月6日:パート2

 21時過ぎ。高崎の自宅からのブログ。

 17時15分から、知事の臨時会見を開いた。太田市内の某工場で発生した新型コロナのクラスター(集団感染)による影響で、昨日の県内新規感染者は30名まで増えた。同日、都道府県で発表された数字では、全国で最も多かった。

 事実、NHKが毎日公表している「人口10万人あたりの感染者数」でも、群馬県は(昨日時点で)4、63人。全国で最も高くなっている。

 こうした状況を受け、県民の中には、「何が起こっているのか?」「群馬は大丈夫なのか?」と、不安を感じる方々もいるはずだ。だからこそ、知事である自分から直接、県民の方々に対し、現状や今後の対策について説明する必要があると判断した。

 現在、発生中のクラスターの内容に関しては、ブログ末尾に添付したスライドを見て欲しい。場所は太田市内に所在する某工場。昨日、26名の感染者が判明したことで、合わせて42名に及ぶ大型のクラスターとなった。

 これまでに検査を行った人の合計は128名。そのうち、陽性が確認された42名は、すべて従業員の人たちだった。年齢層は、10代から50代までと幅広い。比較的若い人が多くなっている。

 現在、管轄保健所が積極的疫学調査を実施している。濃厚接触者に限定せず、300人規模の検査を追加で実施中だ。工場関係者の協力もあり、スムーズに進んでいる。結果は、数日のうちに判明する見込みだ。

 この300人検査の結果次第では、週末に(一時的に)新規感染者が再び急増する可能性もある。が、県としては、冷静に対処していく。現時点で、市中感染の連鎖が起きている兆候は見られないからだ。実際、今日の県内新規感染者は1人だった。

 加えて、県全体の医療提供体制をひっ迫させるようなレベルでもない。県としては、県民の皆さんにも、ぜひ、この事態を冷静に受け止めていただきたいと思う。

 更に言うと、本日、新たに25検体について、デルタ株のスクリーニング追加検査を実施したが、全て陽性だった。現段階で、今回のクラスターがオミクロン株によるものである可能性は極めて低いと考えている。

 特筆すべきは、太田市内のクラスターによる陽性者42名のうち、ほとんどの方々が軽症又は無症状であることだ。いろいろな角度から分析を試みているが、同じ工場内でここまで感染が拡大した明確な原因はまだ分かっていない。

 保健所の調査によると、作業的に密が生じるような状況はなかったとのこと。当該企業でも、社内のガイドラインに基づく感染防止対策を徹底していた。

 そうなると、ワクチン接種率が高くなったことで感染に気づかない無症状の人が増え、そこから少しずつ感染が広がり、知らず知らずのうちに、工場全体に感染が拡大した可能性も考えざる得ない。

 今回のクラスター発生から得られた教訓は、ワクチン接種は重症化の予防に極めて有効ではあるものの、「感染の予防には、必ずしも明確な効果があるとは言えない」という点だろう。

 もし、今度のクラスターの原因が無症状者からの感染拡大だとすれば、ワクチン接種が進んだからこその現象とも言える。すなわち、工場に限らず、どの企業で発生してもおかしくないケースだと捉えるべきではないか?

 他の地域のことは、分からない。が、少なくとも、首都圏にある群馬県内では、検査に基づいて公表している感染者の数と、実際に感染している人の数の間には、かなりの違いがある(実際には、公表された数字より多くの潜在的感染者がいる)と想定すべきなのではないか?!

 以上のような流れを踏まえ、県民の皆さんには、次の2つのことをお伝えしたい。夕方の会見でも、同じことを訴えた。

 1つ目は、今回のクラスターの影響で群馬県の新規感染者数が突出して多くなっている事態を、冷静に受け止めて欲しいということだ。前述したように、現時点で県内に市中感染が広がっている兆候はない。しかも、現在の感染レベルは、医療提供体制に影響を与えるような状況ではない。

 追加検査を実施している約300人の従業員の感染状況が判明する週末には、(前述したように)再び感染者が多くなる場合もある。が、あくまで現在進行形のクラスターが原因だ。県としても、冷静かつ迅速に封じ込めを図っていく。

 2つ目は(そうは言っても)、ワクチン接種率が上昇したことで無症状の人が増え、無意識に感染を広げている(=検査で拾える感染者の数よりも実際の陽性者が多くいる)可能性があることを考えると、県民の方々に、改めて基本的な感染防止対策(マスクの着用やこまめな換気)の徹底をお願いする必要があると考えている。この点は、重ねて県民の皆さんのご協力をお願いしたい。

 あ、お湯が沸いた。熱い紅茶を飲む。本日、山際大志郎新型コロナ担当大臣と堀内詔子ワクチン担当大臣に、電話で直接、群馬県の要望をお伝えした。次回のブログでは、その内容について説明する。