2021年12月5日:パート2

 23時過ぎ。高崎の自宅にいる。桐生市内の農場で発生した豚熱(CSF)への対応に関するブログの続編を書く。短期間での豚熱連続発生を踏まえた県の緊急対策の内容は、大きく言って、次の5つだ。

(1)知事による消毒命令の発出。
(2)知事認定獣医師を活用した「離乳豚舎」のチェック体制強化。
(3)野生イノシシ対策としての経口ワクチンの集中的散布。
(4)関係市町村長との緊急会議を通じた連携の強化。
(5)子豚へのワクチン適期接種(生後30〜40日齢含む)の再周知。
 
 今回の緊急対策の柱の1つは、家畜伝染病予防法に基づく「知事による消毒命令」だ。
12月3日に、県内全ての養豚農家に対して、「離乳豚舎」周囲を中心とした消石灰散布の実施を求める消毒命令を発出した。

 これまで県内で5例の豚熱が発生しているが、その全てが「離乳豚舎」に集中している。先ずは、感染リスクの高い「離乳豚舎」での飼養衛生管理を徹底・強化することが急務だ。消石灰散布に必要な経費については、県が消石灰購入経費の補助を行う。

 併せて、知事認定獣医師を活用した「離乳豚舎」のチェック体制の強化を図る。そのために、獣医師が農場を巡回し、ワクチン接種を行うと同時に、その都度、消石灰の散布を始めとした「飼養衛生管理基準の遵守」についてもチェックする。こうした群馬県独自の(恐らく全国初の)仕組みを通じて、「離乳豚舎」へのウイルス侵入を防止する。

 加えて、野生イノシシに関する緊急対策も実施する。ここ最近、豚熱に感染した野生イノシシの報告が相次いでおり、1日に3頭の感染が同時に確認された日もある。農場が集中する地域の周辺でも野生イノシシの感染が確認されていることを考えると、極めて深刻な状況だ。すなわち、「いつ、6例目となる豚熱が発生してもおかしくない状態」が続いている。知事としても、こうした現状には、強い危機感を抱いていている。

 こうした事態を考えると、前述した「消毒命令」だけでなく、「野生イノシシ対策」も不可欠だ。経口ワクチンの集中散布には、すでに着手している。が、改めて、養豚農家が密集する赤城南面地域を中心に、12月中旬にかけて、集中的な散布を行うこととする。

 さらには、緊急捕獲エリア等の関係市町村長と早急に会議を実施する。野生イノシシの捕獲状況を把握し、危機感を共有するためだ。出来るだけ早く、今後の具体的な対策を話し合う。

 子豚へのワクチン接種に関しては、改めて(続編で)県の考え方や方針を詳しく説明する。12月3日に地元紙(上毛新聞)に掲載された記事の内容について、どうしても指摘しておかなければならない点があるからだ。

 前回のブログでも触れたが、知事(行政)には、県民に対する「説明責任」というものがある。太田市内の工場で発生したクラスターの影響を含む新型コロナの現状と今後の対応についても、豚熱問題への新たな対処に関しても、知事の「説明能力」が試される局面だ。その意味で、ここ数日の発信は、極めて重要だと思っている。

 あ、お湯が沸いた。熱いミルクティーに蜂蜜を入れて飲む。