2021年8月23日:パート3

 間もなく21時。前回のブログで取り上げた豚熱の続編を書かねばならない。ブログの末尾に、疫学調査チームによる現地調査の概要に関するスライドを添付した。

 国と県の獣医師で構成される疫学調査チームが実施した「飼養衛生管理状況や感染経路に関する現地調査」の概要が、13日に公表された。

 報告によると、「飼養衛生管理の状況」及び「農場の周辺環境」に関して、評価されるべき点と問題とされる点の両方が指摘されている。

 調査チームが評価したのは、飼養衛生管理について、車両消毒や畜舎ごとの長靴・衣服交換や豚の豚舎間移動通路の消毒等が実施されていたことだ。この点では、きちんと管理が出来ていたと分析された。

 他方で、問題とされたのは、畜舎内で多数のネズミが確認されたこと、農場周辺で豚熱に感染したイノシシが確認されていたこと等だった。農場外からウイルスが持ち込まれた可能性に言及している。

 こうした指摘を踏まえ、県として次のような3つの対策を講じることを決めた。

(1)飼養衛生管理の更なる遵守徹底。

 今回、疫学調査チームから指摘のあった農場内におけるネズミなどの小動物の対策指導を強化する。加えて、今年5月に県が開発した「飼養衛生管理基準の自己点検アプリ」を幅広く普及させ、現場とのコミュニケーションを高めることで、より実効性のあるものとする。養豚農家の方々には、飼養衛生管理の更なる徹底をお願いしたい。

(2)野生イノシシ対策の強化。

 関係市町村・猟友会と連携しつつ、緊急捕獲エリアに捕獲戦略会議を設置。データと経験を加味した捕獲の強化を図る。また、経口ワクチンについても、11月以降、赤城南面地域を中心に2回目の散布を実施する。

(3)リスクレベルの分析とアラートの発動。

 野生イノシシの捕獲状況や感染イノシシの発生状況等のモニタリングを強化し、より精度の高い分析を行う。そのデータを踏まえ、リスクが高まっている地域の農場に対しては、自己点検アプリを通じたアラートを発動。事前に注意喚起する。

 3例目の豚熱発生を受け、県内の養豚農家の方々は、大きな不安を抱えているはずだ。知事として、3度目の豚熱を防げなかったことには、責任を感じている。養豚農家の皆さんにも、県民の皆さんにも、本当に申し訳なく思う。が、発生したからには、必ず理由がある。

 今後、発表される疫学調査チームの詳細な調査結果を十分に検証し、国とも協力しながら、出来る限りの対策を打ち出していくしかない。引き続き、市町村や養豚協会関係者の皆さんと力を合わせ、本県の主力産業の1つである養豚業を守り抜いていく。それが群馬県知事の責務だ。