2021年8月22日

 14時過ぎ。高崎の自宅からのブログ。今日も早朝から活動中。新型コロナに関する内外の最新情報を集めている。

 13時30分。携帯が鳴った。もちろん、武藤健康福祉部長からだ。今日の新規感染者も300名を超えた(正確にはとのこと。緊急事態宣言の効果が現れるとしても、1週間くらいはかかる。県民の皆さんにも、更なるご不便とご負担を強いることとなるが、ここは力を合わせて耐え抜くしかない。

 最も心配なのは、感染経路不明の割合が7割に達していること。新規感染者のあまりの急増に、各保健所による追跡調査が追いつかなくなりつつある証拠だ。が、群馬県は、積極的疫学調査(感染ルートの追跡と濃厚接触者の把握)を、懸命に続行している。最後まで諦めない。

 それもそのはず。濃厚接触者を追いかけることをやめてしまったら、感染拡大を食い止める手段が無くなってしまう。実際、東京都を含む首都圏での感染源追跡調査能力が低下している(=濃厚接触者の特定が難しくなっている)ことが、群馬県のコロナ防衛戦略を更に難しくしているという専門家の指摘もある。

 現場で感染ルートを追いかけている各地の保健所職員の負担は、限界に達しているはずだ。今後は、状況に応じて、柔軟に対応を見直していかざる得ないだろう。

 来週中に、10回目となる「知事と保健所長との意見交換会」をセットしたい。保健所スタッフの皆さん、本当に大変だと思いますが、現場への更なる支援も検討したいと思います。群馬県の医療提供体制を守る(=県民の生命と健康を守る)ために、引き続き力を貸してください。知事である私も、先頭に立って走り続けます。

 本日、県内で感染が確認された303名の地域の内訳は、最多の館林地区が91名、太田地区が83名、伊勢崎地区が49名、高崎市が24名、前橋市が22名、桐生地区が15名、吾妻地区が5名、渋川地区が4名、藤岡地区と富岡地区が各3名、利根沼田地区と県外が各2名。

 前述したように、感染経路不明の人が全体の約7割。当然、新たなクラスターも発生ている模様だ。変異株感染も40件。累計で1,309名となった。

 陽性者を年代別に見ると、10歳未満が11%、10代が16%、20~30代が44%、40〜50代が24%、60代以上が4%となっている。

 陽性者(303名)のうち、ワクチン未接種の人が130人、1回目の接種を済ませていた人が10人、2回の接種を終えていた人が4人。残りの159人は確認中との報告を受けている。

 考えて見て欲しい。現時点でワクチンの接種状況が判明している人は144名。そのうち、2回目の接種を完了していた人は4名(3%)しかいない。しかも、過去のデータから考えて、この4名の人が重症化する確率は極めて低い。県民の皆さんに、改めてワクチン接種の効果を知って欲しいと思う。

 次の庁議と今週の知事会見で、いかなる状況になっても、群馬県が最後まで諦めてはならない次の3つのことを訴えるつもりだ。

1.県民へのワクチン接種のペースを落とさない。

 群馬県の人口比に対する1回目のワクチン接種率は、現時点で全国5位。過去のブログでも触れたように、(現時点の接種能力を考えれば)この順位は更に上がっていく計算だ。

 何度も言っているように、群馬が首都圏で(1回目も2回目も)最も高い接種率を維持している(他の地域より平均10%も先行している)ことは、どこかの段階で、必ず大きな意味を持って来る。

 医療提供体制が更に逼迫したとしても、2つの県営ワクチン接種センターの能力を落としてはならない。それが、(中、長期的にも)感染者の急増に歯止めをかける唯一の手段だ。これに関しては、医療関係者の皆さんにお願いするしかない。

2.積極的疫学調査(感染経路の追跡)を(いかなる形でも)最後まで続行する。

 ブログの前段にも書いたが、万一、群馬県が濃厚接触者の特定を諦めてしまったら、その途端に、感染拡大を抑えるための最大のカードを失ってしまう。1日あたりの感染者が300名を超える状況が続いている今、保健所による感染経路の追跡調査が、より難しくなっているのは当然だ。が、それでも、知恵を絞って(これまでのような密度では出来なくなったとしても)感染原因の調査と濃厚接触者の割り出しは、何としても続けなければならない。

 この点に関しては、次の会議で、保健所長の皆さんとも、よく相談したいと思う。

3.新たに「自宅療養」という枠組みを設けざる得なくなったとしても、感染した人たちは、「出来る限り、入院するか、療養施設に滞在してもらう」という基本方針を放棄してはならない。

 今回の第5波に見舞われる以前、群馬県では、新型コロナに感染した人のほぼ全員を「入院か、療養施設に振り分ける」ことが出来ていた。更に、第4波の前には、実質的に「入院待機ゼロ」の状況を維持していた。

 残念ながら、これまで想定していた最悪のシナリオ(1日あたり100人の新規感染者)を遥かに上回る危機的状況(1日300人超の感染者)に見舞われる中では、さすがに「自宅療養」という新たな区分を作らざる得なくなった。先般、患者療養に関する県の新たな方針を発表したのは、そのためだ。

 しかしながら、自宅療養を含む新たな方針を打ち出さざる得なくなったとしても、最も望ましいのは「陽性が判明した全ての人を入院させるか、療養施設に滞在してもらうことだ」という感覚は持ち続ける必要がある。この基本的姿勢を、最後まで諦めないことが肝心だ。

 加えて言うと、いわゆる「自宅療養」をお願いせざる得ない方々に対して、「万一、症状が悪化した場合には、スムーズに入院してもらえる」体制を整えることも重要だ。先週の新型コロナ関係部局会議でも、こうお願いしておいた。

 「人的リソースの不足を補うため、デジタル技術(アプリの活用等)を導入したり、システムの効率化を図ることは、もちろん大事だ。が、感染して不安を抱える県民にアプローチするためには、ヒューマンタッチが不可欠だ。そこらへんのバランスを十分に考えながら、必要な対策を進めていこう」と。

<テレビ等でも報道された知事の街頭演説>

https://news.yahoo.co.jp/articles/b1742abc73e0a467b56a25af06b162d0b47f0d8f

  <群馬県のワクチン接種率:首都圏では一貫してトップを維持>