2021年8月8日

 午前10時過ぎ。高崎の自宅にいる。

 先ほど、角田農政部長に電話した。豚熱の防疫措置の状況について説明を受けた。昨晩から、飼養豚の殺処分が始まっている。暑い中、現場に派遣される県庁職員の体調が心配だ。昨晩は、あまり眠れなかった。

 農政部の職員が本格的に現場に入るのは、今日からだと聞いている。その後、全庁的に動員をかけていく。前回と違うのは、新型コロナの急速な感染拡大が続く状況下の作業であることと、猛暑が続いていることだ。作業に携わる関係者の負担をよく考えながら、対応してもらう必要がある。

 新型コロナに関しては、群馬県でも、これまで経験したことのない深刻な状況に直面している。出来ることなら、今月は、知事として「県民の生命と暮らしを守るための仕事」(新型コロナと豚熱への対応)に、全神経を集中させたい。が、他にも、やらねばならないことがある。どの問題に対しても、一切、手を抜くようなことは出来ない。

 特に、ここから2週間は、肉体的にも精神的にも過酷だ。いろいろな意味で、「厳しいプレッシャー」に晒されることになるだろう。が、何事も正直に、真っ直ぐやる。最も大切なのは、県民に「真実を語る」ことだ。

 どうやって、県民の皆さんに、自分の考え方や思いを伝えればいいのか?過去25年間、政治家として様々な場面で議論を重ね、様々な立場で説明責任を果たして来た。その経験は、決して無駄にならないと思う。危機に陥った時ほど、「リスクコミュニケーション」の能力が求められるのだ。

 さて、ここからは、昨日、県内で発生した豚熱に関するブログの続編。

 何度も言うように、養豚業は群馬県の主力産業の1つだ。それだけに、飼養豚へのワクチン接種に関しては、今年6月、群馬県が全国に先駆けて「知事認定獣医師制度」をスタートさせた。

 県内全飼養豚に対しても、適切な時期でのワクチン接種を進めて来た。他県に比べても、全く遜色はない。過去のブログでも触れたが、そもそも「知事認定獣医師制度」は、知事である自分が、野上農林水産大臣に強くお願いしたからこそ、実現した制度だと考えている。

 加えて、農場での防鳥ネットの整備支援、農場の飼養衛生管理徹底のための点検アプリの運用、野生イノシシの捕獲強化や経口ワクチン散布等にも、本気で取り組んで来た。

 こうした「考え得るあらゆる対策」を、先手先手で実施し、万全を期してきたつもりだった。が、結果として、3度目の豚熱発生を防げなかった。県民の方々、特に養豚農家の皆さんの日頃の努力を思うと、知事として、申し訳ない気持ちで一杯だ。

 しかしながら、発生してしまった以上は、事実を冷静に受け止め、これ以上、感染を広げないための対策を、速やかに講じなければならない。新型コロナ感染拡大に対応している最中ではあるが、今回の事態に対しても、畜産農家の方々や関係の皆さんと協力しつつ、しっかりと対応していく。

 このブログの末尾にスライドを添付した。今回、豚熱の感染が確認されたのは、桐生市に所在する農場。正確な数は確認中だが、殺処分が必要な頭数は約5千頭となる。ちなみに、昨年9月の第1例目は約5,900頭、今年4月の第2例目は約1万頭規模だった。

 この農場の3km圏内には、他に29の農場がある。が、全てワクチン接種済みだ。家畜伝染病予防法に定める家畜の移動制限は、かかっていない。さらに言うと、10km圏内には、他に85の農場がある。ここも全てワクチン接種済みであるため、搬出制限はかからない。

 とはいえ、これだけの農場が密集している地域だ。近隣に波及させないよう、早期に殺処分や消毒を含む防疫措置を、進めなければならない。

 なお、農場の持ち主や農場の所在地等の情報については、県の防疫マニュアルに基づき、非公表とさせていただく。風評被害防止や部外者等の立ち入りによる感染拡大防止の観点からのことだ。ご理解、いただけるものと思う。

 今後の対応については、次回のブログで。