2021年6月19日:パート2

 夕方。高崎の自宅からのブログ。

 午後から開かれた全国知事会のオンライン会議で発言した後、市内の様子を視察した。小雨交じりの天気と時間帯のせいか、人出は先週の8割程度という感じがした。が、大型商業施設内の飲食フロアやカフェには、1週間前と同じくらいの人がいた。

 午後。武藤健康福祉部長から電話が入った。本日、県内で判明した新規感染者は3名。感染状況は、相変わらず落ち着いている。今日の3人を含む直近1週間の感染者は24人。この数値は、11月上旬の第2波と第3波間の底と同レベルだ。

 気になるのは、昨夕の入院患者数(65人)が、前日に比べて減っていないこと。当然、病床稼働率も14、2%のまま。しかも、重症者数が、前日より1人増の10人と高止まりしている。

 連日、低い感染者が続いているにもかかわらず、病床稼働率と重症者数が、なかなか減らない。今後も、油断なく推移を注視していく。

 さて、ここからは「知事と県議会のあるべき関係」に関するブログの続編(その8)を書く。

 萩原渉前県議会議長の時代に、知事と議長による定例懇談会を始めた。萩原議長在任中に4回、この枠組みで意見交換した。新たに就任した井田泉議長とも、先日、最初の懇談を行なった。

 県行政のトップである知事と議会の代表である議長が、定期的に意見交換をする仕組みは、過去に1度もなかった。議会との関係が重要だと思うからこそ、知事から議長に提案して、この懇談会を立ち上げたのだ。

 そう言えば、前回のブログ(その7)の最後に、こう綴った。

 「知事として大切にしているのは、県議会での議論や会派からの要望、提案ばかりではない。個々の県議からの要望や意見にも、真摯に対応している」と。

 知事応接室には、時々、若手や中堅の県議が飛び込んで来る。秘書課を通じて、「知事に会えないか」と頼まれる。もちろん、こちらから、お願いして来てもらうこともある。

 知事との面会の目的は、県議会の一般質問の中身に関しての相談だけではない。「こんな提案があるが、検討してもらえないか?」とか、「この問題を何とか前に進められないか?」とか、「この人に会ってくれないか?」とか、要望は様々だ。が、面会の要請には、出来る限り日程を調整して、応じることにしている。

 さらに言うと、Facebookのメッセンジャー等を使って、直接、連絡して来る県議もいる。忙しくて少し返答が遅れる場合もあるが、必ず(大抵は時間を置かずに)反応する。

 特に、それが群馬県と県民のためになるアイデアや提案なら、真剣に受け止め、庁内で議論する。詳しいことは言わないが、県議からのSNSを通じたメッセージが、知事の決断を促すことだってある。

 個人的に知事にアプローチして来る県議が、ベテランの有力者であろうと、1期生の若手であろうと、どの会派に属していようと、基本姿勢は変わらない。可能な限り、真摯に対応して来たつもりだ。

 これでも、全身全霊で、知事の仕事に取り組んでいる。毎日、睡眠時間を削って、あらゆる難問に立ち向かっている。別に暇だから、時間が余っているから、県議の人たちに会う時間を作っているわけではない。眠気と戦いながら、メールやメッセンジャーの返事を書いているわけでもない。

 地域の民意で選ばれた県議会の存在を重視しているから、地域の代表である1人1人の県議との関係を大事にしたいと思っているから、努力して時間を確保しているのだ。そのことは、県議の皆さんにも、ぜひ、分かっていただきたいと思う。

 知事には、それぞれのスタイルがある。時代状況も違う。だから、歴代の知事のやり方を、批判するつもりはない。が、古参の県職員や親しいベテラン県議の話を聞く限り、(前任の大沢知事や小寺知事に比べて)山本一太知事が、「県議会の議論を軽視している」とか、「県議との関係をなおざりにしている」とは、到底、思えないのだ。

 このブログシリーズを連載するきっかけとなった問題(県央ワクチン接種センターの概要を県議会の委員会で説明せず、翌日の会見で明らかにした件)については、素直に反省している。どう考えても、知事である自分の配慮が足りなかったし、今後は十分、気をつけたいと思っている。

 が、それでも、この2年間、知事として、「県議会の議論や個々の県議の意見に真剣に向かい合う努力をしている」ことに言及してくれた人は、誰もいなかった。そのことを、とても残念に感じた。

 だからこそ、この際、県民の方々には、しっかり伝えておきたい。知事として、「県議会の役割を軽視したり、県議の意見を軽んじるつもりは全くない」ということを。

 逆に、「執行機関(知事)と議決機関(議会)という役割分担の中で、常に県議会の議論を政策に反映させる努力を重ねて来た」事実を、県民の皆さんにだけは、分かっていただきたいと思う。

 知事に就任してから、2年が経過した。20年以上も自民党国会議員を務めていた自分の中には、まだある種の「国会議員シンドローム」が残っている。議院内閣制と首長制の相違を十分、認識しないまま対応してしまう場面がある。逆に、議会の側にも、前任者の時代(大沢県政の12年間)との違いに、戸惑う部分があるようだ。

 このシリーズのその4で、こんな趣旨のことを書いた。

 「もし、県議会側に『知事に軽んじられている』かのように感じている人がいるとすれば、それは過去の県政(前知事の12年間)とのスタイルの違いに由来するものではないか。もう少し具体的に言うと、前知事と自分では、『行政と議会の役割分担』や『知事と県議とのあるべき関係』に関する考え方が違うということだと捉えている」と。

 続編(その9)では、この点を解説したい。

追伸:

1.書き忘れていたが、県議会1人会派の3人の県議からの意見や要望にも、しっかり耳を傾けている。もともと、この3人は健全な保守だ。以前から、親しく付き合っている。

2.今回、県議会への配慮が欠けていた問題を反省する中で、もう1つ、改めて再認識したことがあった。それは、「誠意と熱意だけでは、物事を動かせない時もある」というシンプルな真実だ。

 これからも、県政の様々なプレーヤーとの関係は大切にしていく。特に、市町村との連携や、県議会との信頼関係を常に重視するのは当然だ。が、政治家、しかも群馬県に1人しかいない知事だもの。いつどんな窮地に陥るか、どんな戦いを強いられるかは、全く分からない。
 
 だからこそ、いざという時の臨戦態勢だけは、整えておこうと決めた。今から粘り強く情報を収集し、様々な武器を装填し、勝ち抜くための戦略を練っておく必要がある。

 細かいことは言わないが、このブログの発信力と捨て身の覚悟があれば、かなり大きな突破力(破壊力?)を生み出せるはずだ。