2021年5月23日:パート3

 21時過ぎ。高崎の自宅。ジャズを聴きながら、本日3本目のブログを書き始めた。

 前回のブログで、本日の新規感染者は50名を超えると記した。正確には58名。残念ながら、先週日曜の数字(51名)を上回ってしまった。

 昨日までの1週間の数値は、前週に比べると、かなり減少していた。が、また、元のトレンドに逆戻りしてしまうのか?!いや、何としても、まん延防止等重点措置の期間内に感染拡大を抑えなければならない。

 それでも、群馬県は、「直近1週間の10万人あたりの感染者数」では、まだ全国20位だ。ただし、関東地域では、東京、神奈川に次ぐ高い数値になっている。感染力の強い変異株の影響で、クラスターが発生しやすい状態だ。何度も言うが、粘り強く対応していくしかない。

 北関東地域では、栃木県も茨城県も頑張っている。特に、県境を接している栃木県が安定しているのは、群馬にとっても有難い話だ。栃木県の感染者が増えると、どうしても群馬県東部が影響を受ける。茨城県も踏ん張っている。

 お2人の知事のご努力には、敬意を表したい。「なぜ、栃木県が(ここのところ)感染の封じ込めに成功しているのか?」は、様々な角度から研究中だ。

 しかしながら、福田知事も、大井川知事も、けっして安心はしておられないと思う。そりゃあ、そうだろう。つい4ヶ月前(今年の1月あたり)の状況を思い出して欲しい。その頃、北関東地域では、群馬県が最も感染拡大をコントロール出来ていた。北関東3県のうち、感染者が急増した栃木県だけが緊急事態を要請し、国が適用を認めた。茨城県は、独自の緊急事態宣言を発令した。

 例えば、大規模なクラスターが何日か続いただけで、上記の数字は(たちまち)逆転する。ちょっとしたキッカケで、新規感染者の急増が始まる。福田知事も、大井川知事も、そのことをよくご存知のはずだ。結局、全体の状況を変える「ゲームチェンジャー」は「ワクチン接種」しかない。

 ちなみに、本日の陽性者58名の内訳は、前橋市が14名、太田地区が11名、桐生地区が8名だった。高崎市(4名)と伊勢崎地区(6名)は(今日に限って言うと)、比較的、落ち着いている。が、今週の展開は分からない。

 さて、たまには、新型コロナと関係ないことも書いてみよう。

 先週、知り合いのある有識者と電話で話をした。こんな会話を交わした。

 「山本知事、お疲れ様です。知事のブログ、ちゃんとフォローしてますけど、本当にお忙しそうですね。頑張ってください。」

 「00さん、電話いただいて、嬉しいです。ご活躍はいつも拝見しています。お言葉、嬉しいです。が、なかなか感染拡大を抑え込めなくて、苦労しています。あらゆることをやっているつもりなんですが、ずっと避けたいと思っていたまん延防止等重点措置のようなことも、やらざる得なくなってしまいました。それがとても悔しいし、県民の皆さんにも申し訳ないと思っています。」

 「いや、どの都道府県も苦労していると思いますよ。ましてや、群馬県は首都圏で東京にも近いですからね。知事もブログで、『変異株の登場で、コロナとの戦いは新たな段階に入った』と書いてましたが、やっぱり感染力の強い英国型は、強敵ですよね。」

 「うん、そうなんです。もっと心配なのは、隣県の栃木県で確認されたインド型のウイルスです。今のところ、県内では見つかってませんが、早晩、入って来ると覚悟しています。もっと検査体制を強化しないといけないと考えています。」

 新型コロナ対策について議論した後、その有識者は、こう言った。

 「私の目から見ると、山本知事はスゴく面白い。皆が思っている以上に、画期的なことをやっていると思います。特に、いいなと思うのは、知事が県庁職員の能力や潜在力を最大限に引き出そうとしている部分。定例の知事会見でも、幹部職員の人たちのキャラに光が当たってますよね?知事以外の職員の存在感を感じます。」

 「知事のネット番組『直滑降ストリーム』の県庁職員コーナーもそうですが、ここまで職員を表舞台に出そうとしている知事、他には見当たりません。このスタイル、大事にして欲しいですね。どうやって人的リソースを活用し、組織全体のモラルを上げられるかどうかは、組織のトップに求められる大事な能力だと思います。」

 この人のこの言葉は、(半分、お世辞だと分かっていても)素直に嬉しかった。が、本当に面白かったのは、次の発言だった。

 「実は一太さんが知事になる前は、私のところにも、『山本知事は滅茶苦茶をやるんじゃないか?』『独断専行で突っ走るんじゃないか?』という心配の声が届いていたんですよ。例えば、00さんとか、00さんから。でも、杞憂でした。ある人から聞いたんです。山本知事は、歴代の知事に比べても、県庁の職員を大事にしている、と。」

 この言葉には、次のように答えた。

 「いや、00さん。私は、本当に必要だと思うことをやるためには、誰に嫌われようと、反発があろうと気にしません。そもそも、県庁職員のご機嫌を取るために、知事になったわけでもないし。事実、この1年10ヶ月、かなりの自然体でやって来ました。」

 「でも、知事である私にとって何より幸運だったのは、群馬県庁の職員が、とても優秀で、モラルの高い人たちだったことです。ある意味、非常事態ですから、知事として、随分、無理なお願いもしています。コロナ対策に忙殺される苦しい日々です。でも、彼らと働くことは、スゴく楽しいんです。」

 自分の興味を引いたのは、この人が、「山本一太が知事になったら大変だ」という話を吹聴していた複数の人物の名前を出したことだ。これまで、こちらから(他の人に)「誰がそんなことを言っているんですか?」と聞いたことはなかった。それを知ったところで、何の意味もないと思っていたからだ。

 え?犯人(?)が分かっても、ちっとも怒っていない。だから、具体名を書くようなことはしない。もちろん、「本当に嫌なヤツだ」とは思ったが、何の意外性もない。最初から、人間性を見抜いていたからだ。

 そんなやり取りをしながら、知事選への出馬を決めた後、議事堂の廊下で話しかけて来た他県の某議員のことを思い出した。その人は、こう言った。

 「一太先生、いよいよ知事選への立候補を決めたんですね。報道で拝見しました。地元でいろいろ、反発もあるようで大変ですが、頑張ってください。まあ、一太さんは選挙には滅法、強いから、当選は間違いないと信じています。」

 「私の聞いたところだと、地元の県議や県庁職員も、山本知事誕生を心配しているようですよ。一太先生って、普通の議員と違う発想力があるじゃないですか。まあ、一種の天才(もちろん皮肉だ)ですよね。周りがついていくのは大変だと感じても、仕方ないですよね。誤解なのにね。」

 随分、嫌な言い方だなと思いつつ、こう答えた。

 「いろいろ、ご心配いただき、ありがとう。でも、人の心配をする前に、自分の心配をした方がいいと思うよ。」

 この議員の事務所では、次々に秘書が辞め、その都度、入れ替わっていた。選挙区でも、なかなか秘書が定着せず、困っている事情も知っていた。秘書にルール違反のことをやらせ、それを隠していることも。

 何よりも、この議員の事務所で働く現職の秘書が、ある人を介して、(内々に)「山本一太事務所で雇ってもらえないか?」と頼んで来ていることも、知らないんだろうなと思った。

 もちろん、上記の話は断った。「上州人」(群馬県人)は義理と人情を重んじる。自分が今、仕えている議員の悪口を平気で言うような人間を、自らのチームに加えるわけがない。

 過去のブログにも書いた。「山本一太事務所の秘書は、大多数が10年、20年のベテラン選手だ」と。国会議員時代の秘書は(東京と地元を合わせて)7人。知事に就任した後、いったんチームを解散せざる得なかった。が、もし参議院議員を続けていたら、7人とも、そのまま残ってもらったに違いない。全員が、「ずっと一緒にやりたい」と言ってくれていたもの。「他の事務所に行くのは嫌です」とも。(感謝)

 いろいろ考えた末、5人の地元担当秘書のうち、3人は、知事の新たな地元事務所の秘書として残ってもらった。残りの2人のうち、1人は引退。もう1人は、県内の企業に再就職した。東京の2人の秘書も、それぞれ自民党衆院議員の秘書として採用された。全ての秘書たちに、次の道を見つけられて、とても安堵した。

 政治家・山本一太の秘書たちが、こんなにも長く、自分を支えてくれた(今も助けてくれている)のは、なぜか?それは、欠点だらけの自分にも、少しは「いいところがある」からだ。そうとしか考えられない。

 宇留賀副知事を群馬県に引っ張ってこれたのは、世耕弘成経産大臣(当時)の尽力のお陰だ。でも、経産省から来てもらった宇留賀副知事も、プロバーの津久井副知事も、岡田デジタル化推進監も、宇佐美メディア戦略アドバイザーも、森原政策アドバイザーも、平田教育長も、中島企業管理者も、知事である自分に「少しはいいところがある」「一緒に働くのは面白い」と思ったから、お願いしたポストを引き受けてくれたのだと思っている。そう考えても、いいでしょう?!

 

 だから、こう言わせてもらっても、叱られないと思う。「そもそも、自らの事務所の秘書の信頼も得られていない、選挙区事務所のスタッフも集められない議員たちから、『山本一太が知事になったら、県庁職員が大変だ』とか、『勝手に暴走して、責任を取らない可能性がある』なんて、言われたくないよなあ」と。「だいいち、仕事の上では、自分のほうがずっとスタッフを大事にしている」と。


 皆さん、ご存知ですよね?「人間は見た目(外面)と本質(内面)が違う」ということを。そう、表面を見ただけでは、相手の正体は分からない。だからこそ、魂の本質を見抜く「6歳児の感性」が役立っているのだ。

 

 特に、政治家は「内面と外面を使い分ける」人が多い。知り合いの有識者との久々の会話の中で、改めてそのことを胸に刻んだ。

 それでも、知事になってから、自分は大きく変わった。陰で意地悪をしたり、足を引っ張っていると分かっている相手の前でも、ニッコリ笑って話をする。群馬県と県民のために必要だと思えば、心にもないお世辞も言うし、喜んで頭も下げる。

 何度も言うが、「知事」が偉いわけではない。「知事」は、群馬県を少しでも良くするための手段なのだ。だから、知事のプライドなんて、最初から捨て去っている。要は、群馬県と県民のためになればいいのだ。

 これって、(60歳を過ぎて)「大人になった」ということなのだろうか?!

 あ、お湯が沸いた。紅茶ばかり飲んでいるので、たまには日本茶(ほうじ茶)を飲む。