2021年3月29日:パート2


 須藤和臣前市長は、真面目で誠実。清廉潔白な人物だ。時代の流れを感じ取る優れたアンテナもある。加えて、常に最新の情報を吸収し、行政に活用しようと努力している姿勢には頭が下がる。同じ政治家として、学ぶ点が多い。

 例えば、県議、市長時代に、仕事をしながら勉強を重ね、防災士と危機管理士の資格を取得していることだけ見ても、前市長の向上心の高さがよく分かる。ソフトな印象とは裏腹に、自らの信念を曲げない頑固さもある。こういうところ、自分はスゴく好きだな。

 逆に、ドロドロした政局を乗り切る権謀術数とか、昔ながらの根回しみたいなことは得意ではない。あえて「やらないことにしている」ようにも見えた。

 ひとことで言うと、須藤前市長には、「政治家らしくない」部分があるのだ。ここが須藤氏の大きな魅力であると同時に、不必要に市政運営を難しくしたり、保守系市議団との摩擦を引き起こす原因になっていることも、否めない事実だ。

 今から振り返ると、「保守系の市議の人たちと、もう少し上手く付き合えなかったのなあ」とも思ってしまう。今回、多田候補の支援に回った市議の方々だって、須藤氏の市長としての実力は認めていたのだ。

 もしかすると、「どんな政策でも相手を論破してしまう」優秀さが、かえって反発を生む土壌を作ってしまったのかもしれない。首長とは、つくづく難しいビジネスだ。他人事ではない。

 市長続投はならなかったが、須藤氏はまだ53歳。これからも、様々な舞台で活躍するチャンスは山ほど巡って来るはずだ。捲土重来を期して、前向きに新しいスターを切って欲しい。敗れたとはいえ、投票した市民の44%は、市長の続投を支持した。そのことには、自信を持ってもらいたい。

 須藤さん、4年間、お疲れ様でした。少し落ち着いたら、2人でゆっくり食事でもしましょう。感染防止に十分、気をつけながら。

 ブログを続けよう。少し前に、須藤前市長の演説をYoutubeで見た友人が、こう言った。

 「なるほど、この人の容姿や喋り方には、清潔感がある。若者や女性に人気があるでしょうね?」と。

 そうじゃなかったら、今回と同様に保守系同士の一騎打ちになった前回の市長選で、1万8千票まで支持を伸ばすことは出来なかっただろう。

 にもかかわらず、初当選から4年経った2度目の市長選では、最初の選挙で取った1万8千票を、約4千票も減らしている。この点については、研究熱心な須藤氏も十分に敗因を検証し、反省しているに違いない。

 保守系同士の一騎打ちとなった今度の市長選での政策論争で、現職の須藤候補が多田候補に優っていたことは間違いない。演説の内容や深みも、明らかに須藤候補が上回っていた。地元ケーブルTVの討論を見れば、ほとんどの人がそう感じるはずだ。しかも、須藤候補は多田候補より8歳も年下なのだ。

 さらに言うと、1年8ヶ月前の知事選において、館林市内で7割以上の得票をマークした現職知事(あんまり大したことないけど)も全面的に応援した。普通なら、現職有利の流れになる可能性が高い。そうでしょう?!

 にもかかわらず、多田新市長の票が、須藤候補の票より2,400票も多かった。投票率が(コロナ禍にもかかわらず)須藤陣営が目標としていた50%をほぼ達成した中でのこの結果だ。多田候補が、無党派層でも女性票でも健闘したことは疑う余地がない。

 自分が1ヶ月以上前に実施した世論調査では、「70代以上は多田候補、20代から50代では須藤候補が強い」という傾向があった。この流れは最後まで変わらなかった気がする。

 上述した数字から分かることが2つある。1点目は、須藤前市長の4年間の政策や業績が、(残念ながら)一般の館林市民に浸透していなかったこということ。2点目は、多田候補(新市長)にも、(須藤前市長とは違う)個人的魅力があるということだ。

 多田新市長は、(男性でも女性でも)年配の方々に信頼される何かを持っているのだ。そうじゃなかったら、この選挙結果は説明出来ない。

 あ、そろそろウェブ会議の準備をしないと。この続きはその③で。