2021年1月6日:パート2

 間もなく20時。高崎の自宅でパソコンを起動させた。

 本日、県内で判明した新規感染者は59名。午後の時点では51名という報告を受けていた。が、夕方以降、ある地域で確認された8名が加わったようだ。

 相変わらず高い数値が続く。今日(水)と明日(木)が、最も感染者が増える傾向にある。明日の数字が心配だ。

 明日、発令される予定の「1都3県に対する緊急事態宣言」が効力を発揮するには、ある程度の時間がかかる。来週から、更に強い波に襲われることも覚悟しておく必要がありそうだ。

 本日14時から新型コロナウイルスに関する関係部局長議を招集。続けて、16時から新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開いた。

 14時からの会議では、県内の病床確保問題について議論した。関係部局から、「新型コロナ向けの病床を増やすためには、こんな改修工事が必要になる」とか、「これだけの数の医師と看護師の配置が要る」等の説明があった。それを踏まえて、様々な選択肢を検討した。病床の稼働率を抑えるための複数の方策を整理した上で、もう一度、協議を行うことになった。

 知事室には、2つのホワイトボードが置かれている。そこに書かれている県内の新型コロナ感染に関する数字が、毎日、更新される。現時点で群馬県が確保している新型コロナ向けの病床数は335。医療関係者等とも相談しつつ、懸命に積み上げて来た現実的な数だ。そのうちの107床が使える状態になっている。

 宿泊療養施設のほうは、全体で1300室を確保。現在は129名が滞在してる。

 少し前のブログでも言及したが、知事として、新型コロナ病床の数を「希望的観測に基づいて計算する」(ましてやその数値を公表する)などということは、あってはならないことだと考えている。県民に誤解を与えるからだ。

 さらに言えば、知事として(常に)「今、群馬県内にどのくらいの数の新型コロナ対応病床があるのか?」「稼働率はどのくらいになっているのか?」は、正確に把握している。これも当然のことだ。

 過去のブログでも触れたが、「医療機関に入院するのか?それとも宿泊療養施設で受け入れるのか?」を調整中の感染者の数も重要だ。群馬県では、(現在)感染者の9割以上を、医療機関か宿泊療養期間に振り分けている。自宅で待機中(?)の感染者の方の数も、きちっと県民に伝えることが大事だ。

 16時からの新型コロナウイルス感染症対策本部会議では、緊急事態宣言を含む政府の新たな方針を確認。県内の現状を分析すると同時に、今後の対応を話し合った。

 会議の後、7、8人の市町村長に電話した。県として何か重要な決定をする際には、それによって影響を受ける市町村の首長に対して、知事である自分から直接、連絡することにしている。制度的、法律的にそうする義務がない時でも、相談したり、説明したり、説得を試みたりする。県知事に就任して以来、ずっとそうやって来た。

 必要があれば、市役所や町村の役場に、こちらから足を運ぶ。昨年夏、知事選に当選した直後に訪問したのは、南牧村の役場だった。長谷川村長に会うためだ。事実、前橋市長にも、高崎市長にも、太田市長にも、自分の方から会いに行くことが多い。

 このブログの愛読者である他県のある首長から、こう言われたことがある。

 「ブログを拝見すると、とにかく毎日、良く動いてますよね。山本知事くらい、県内の市町村長とマメに連絡を取り、自ら地域に足を運んでいる知事って、全国でも滅多にいない気がする。少なくとも、僕は知らないな。」

 「市町村との連携を重視しているということなのかもしれないけど、ここまで細かく配慮するというのは、やはり国会議員時代の感覚が残っているからなんですかねえ」と。

 念のために言っておくが、自分が県内の市町村長に気を遣うのは、気が優しい(弱い)からでも、嫌われたくないからでも、優柔不断だからでもない。ましてや、次の選挙のことを心配しているからでもない。

 何度も言って来たように、理由は明確だ。「群馬の魅力と存在感を倍加させ、あらゆる手段で県民の幸福度をアップさせる」という知事としての目標を実現するためには、県と市町村の連携が不可欠だと信じているからに他ならない。別の言い方をすれば、「どんな政策を叫んだところで、市町村との協力がなければ、絵に描いた餅に終わってしまう」と分かっているからだ。

 加えて言うと、35人の市町村長は、それぞれ(タイプは違うが)個性的で、魅力的な人ばかり。政治家として尊敬している人もいるし、真の同志だと感じている人もいる。個人的にも「好きな人物」が多い。

 ましてや、豚熱(CSF)問題や災害対策、新型コロナ対策等で頻繁に連絡を取り合い、協力を進める過程の中で、それぞれの首長が「いかに自分たちの地域に誇りを持ち、地域の発展のために真剣に頑張っているか?」を痛感した。同じ首長としてのシンパは強まるばかりだ。

 地方自治体の長(首長)の責任の重さ、苦しさ、やり甲斐は、議員とは全く違う。

 ただし、知事として(県民のために)決断しなければならないと思った時は、(どこの誰からどんな反発があろうと)決断する。そして、その決断の責任を取る。昨年夏、群馬県知事選史上最多得票で知事に選んでいただいて以来、その覚悟は一瞬も揺らがない。

 どんな政策を決める時も、現場(担当部局)の意見には耳を傾ける。政策を実施する際には、出来る限りの説明責任を尽くす。1人でも多くの県民の理解を得るための真摯な努力をする。当然のことだ。

 他方、少しでも新しいことをやれば、必ず反発がある。そもそも「全員がハッピーになる」結論など、どこにも存在しない。

 だからこそ、「譲れないことは譲らない」と決めている。「必ず県と県民のためになる」と信じる政策を形にするためなら、いかなる対決も厭わない。「群馬県を少しでも良くする」ために知事になった。どうしても必要な時は、目的を果たすために(あらゆる手段で)徹底的に戦う。25年間、ずっとそのスタイルを貫いて来た。

 政治家山本一太には、そうした勝負を勝ち抜くための十分な戦闘力(意志力+行動力+発信力)があると(勝手に)思い込んでいる。

 あ、そろそろ運動の時間だ。右肩と右腕を庇いながら、30分、走る。明日の朝、早く起きて、ブログの続きを書く。「なぜ、地域を絞って営業時間短縮の要請をせざる得なかったのか?」を説明したい。

       <本日の会議で示された5日時点での状況>